41/43
消える魔法
風が強くて髪がみだれる。
大きな木がザワザワと葉を揺らす。
空の青さと緑の葉が
この星の色のように見える。
僕のお気に入りの場所はいつも
このふたつの色で構成されている。
僕は空に向かって手を伸ばす。
風をつかまえるように
空をつかむように
消えた記憶と引き換えに
何を消したかわかるかな。
それは毒。
僕はいつも、毒を浄化するために
見えない魔法を使う。
記憶と引き換えに、毒を消す。
それができるようになるまで
何度も、何度も、
貴女をひとりにしてしまった。
もう、貴女をひとりにはしない。
僕にはこの魔法があるから
生き延びることが出来るから
貴女の記憶から僕が抜け落ちてしまっても
貴女を守り続ける。
長い夢で会いましょう。
いつでも、傍に居ますから。




