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透明な風
ゆっくりと立ち上がり、
珈琲を淹れて
煙草に火をつける。
春の光。
冷たい風。
窓を開けると、
灰が風に煽られる。
風が、さらっていく。
風が、消してしまう。
昨夜、雨の音が聞こえて
ざぁざぁと地面を濡らす音が聞こえて
何故か安心して眠った。
包まれているような心地よさに
深く、深く
朝の光に目を覚ませば
身体を探して、慌てることもなく
優しく
眠りにつくのも、目を覚ますのも
不安では無くなった。
ここにあるものに
依存してはいけないと思いながらも
すっかりもう・・・。




