第9話 お姉ちゃん
佐藤君とコンビニで待ち合わせていた所に、クラスメイトの後藤君にバッタリ会ってしまった。
私は内心どうしよう?かと色々考えていたら、後藤君から話かけてきた。
「新井さん。珍しい所で会うね。」
なぜか後藤君はご機嫌な顔をしていた。
私の自意識過剰ではなく、前から後藤君からはそんな気持ちが伝わってきていた。
おまけに、クラスメイトからは両思い認定されていて、参っていた。
そこにお姉ちゃんが助けに来てくれて。
「えみ、帰るよ。」
「あっ、うん。」
私は後藤君に何も言わずに姉の後についていき、そのまま自転車に乗ってコンビニから離れた。
「参ったね。あれが勘違い男でしょう?まあ、普通にカッコいいけど、タイプじゃないな。」
す
「お姉ちゃん、助かったよ。でも、この後どうするの?」
「えみ、あの男の家の場所、大体でいいからわかる?」
「えっと、いつも佐藤君達と帰っているから、佐藤君家の方だと思う。」
「しょうがない、佐藤君には悪いけど、少し遅刻して行こうか。」
「うん。」
それから15分ほど遅れてまたコンビニにやってきた。
「あっ、佐藤君コンビニの中にいるよ。」
「本当?後で謝らなければ。」
「げっ!」
「どうしたのお姉ちゃん?」
「あれ、見て。」
佐藤君と後藤君が仲良く並んで雑誌の立ち読みをしていた。
「えみ、多分佐藤君はあの男に私達と待ち合わせしている事を言ってるかも。」
あ~っ、私の恋は夏休み前に終わってしまった。
「えみ、これはチャンスかも。」
「お姉ちゃん、何言ってるの?ここで私が佐藤君と待ち合わせしていた事がわかれば、私の好きな人が佐藤君だってすぐにバレるよ。」
私の大好きな夏が、大嫌いになる寸前だった。
「えみ、どのみち言わなくちゃダメなんだから、覚悟を決めなさい。大丈夫だから、何があっても私が側にいるから。」
この時ほど、お姉ちゃんってやっぱりお姉ちゃんなんだ。と思った事が無かった。
「えみ、行くよー!」
私達は勢いよくコンビニに入った。
店内の冷房が凄く気持ち良かった事は覚えている。
姉が、佐藤君に手を振りながら近寄っていく場面も覚えている。
佐藤君と後藤君が私達を見て、佐藤君はをいつもの笑顔で、後藤君は何かを察したのか、気まずい顔をしていたのは覚えている。問題はその先はほとんど覚えてていなかった。気がついたら、部屋で姉と話をしていた。
私はなぜか、涙が止まらなくなっていた。
なぜなんだろう?頭が真っ白で全然わからない。
いつも読んで頂き、本当にありがとうございます。
やっぱり、短く纏めるのが辛い。いや、厳しい。
皆様からの感想等お待ちしています。