第8話 コンビニ
午前中の授業も終わり、あとは掃除をして帰るだけなんだけど、まだ佐藤君と午後の事が話せていない。
なぜか、休み時間の時はクラスの男子達が佐藤君の所に集まっている。
「これじゃ、話が出来ないよ。お姉ちゃんなら堂々と割り込んで行くんだけど、私にはムリだよ。」
とにかく、話す機械を作らなきゃ。
私は、教室の掃除で佐藤君は階段掃除だった。
「どうしよう、またお姉ちゃんに頼もうかな。」
そんな考えをしていたら、佐藤君達の班は掃除が終わって帰る支度をしていた。
教室の掃除はまだ少し残っている。私が1人、頑張っても他のみんなが普通に掃除をしていたから、なかなか終わらなかった。
でも良く見たら、佐藤君は一緒に帰る人達と帰らず何かを待っているように廊下で1人立っていた。
「まさか、私を待っててくれているのかな?」
そんな期待と嬉しさで、体中ドキドキしてきた。
やっと掃除も終わり、帰る支度をして廊下で待っている佐藤君の所に。
廊下で見た光景は、姉と佐藤君が仲良く話をしていた。
「なんか、ズキズキする。何だろう?」
「佐藤君、待っててくれたの?」
「うん、だってこの後の事を決めていないから。」
佐藤君は笑顔で、私の欲しかった事を言ってくれた。
「えみ、遅いよ!」
「佐藤君とお姉ちゃん、ごめんね。教室掃除は一番大変だから。」
「そうだよね。1週間毎に変わるから教室掃除の週はすごい憂鬱だよ。」
佐藤君が笑いながら話をしてくれる。
「あ~っ、それ分かるよ。私も教室の掃除は嫌だもん。」
そんな話をしながら昇降口に向かい、下駄箱の所で靴に履き替えた。3人揃った所で正門前まで一緒に歩いた。
「それで、どこに集まろうか?」
「学校の側の交差点の所にコンビニがあるから、そこはどうかな?」
姉が、集まる場所を言っていた。
「うん。わかった。じゃあ家に帰って携帯取って自転車で直ぐに行くよ。」
「本当?どれぐらいでコンビニまで来れる?」
「30分くらいだと思う。」
「あの、佐藤君。佐藤君は1人で来るよね?」
「え?そうだよ。どうしたの?」
佐藤君は笑いながら聞いてきた。
「ううん、何でもないの。聞いてみただけ。」
「えみ、変だよ?」
お姉ちゃんも笑っている。そんな変な事、聞いたのかな?
「じゃあ、直ぐに行くから、遅れたらごめん。」
「私達も同じぐらいだから。」
「じゃあ、佐藤君また後で。」
「うん、また後でね。」
「えみ、良かったじゃない。これだと脈アリかもよ?」
「お姉ちゃん、考えすぎだよ。」
「う~ん、でも佐藤君の連絡先を知っている人は何人いるのかな?」
「私はそこまで知らないよ。」
「じゃあ、後で聞いてみようよ!」
「それは何か恥ずかしいよ。」
そんなやり取りをしながら家について部屋にカバンを置いて、机の上の充電中の携帯を姉と一緒に取った。
やることがほとんど同時なのは、双子だから?
「えみ、行こう!」
「ちょっと待って。」
私は部屋にある姿見の鏡で、髪型や服装をチェックした。
「えみ、大丈夫だから。えみは何をしてもかわいいから。」
「お姉ちゃん、なに言ってるの?私、そんなかわいくないし。」
「え~、えみは自分を知らなすぎる。」
「何が?」
「はぁ~、えみってかなり鈍感?それとも自分の事で一杯なのかな?」
「なんの話?」
「まぁいいから早く行こう。」
「うん。わかった。」
私達は、自転車に乗り、学校に戻る道のりを走っていた。
凄くドキドキしてコンビニに行くのがこれ程、楽しみな事はなかった。
今日、また佐藤君に会える。
ドキドキと少しの緊張があった。
姉の後ろを走りながらコンビニに着いた。
佐藤君はもう来てるのかな?
なぜか、それだけでドキドキが止まらなかった。
「まだ、来てないみたいだね。えみ、外は暑いから、コンビニに入ろう?」
「うん、そうだね。」
コンビニに着くまでは全然気がつかなかったけど、私も姉も汗だくだった。
こんな私を見て幻滅するかな?
「また、鏡なんか見て。えみは何をしてもかわいいから大丈夫だって。」
「だって気になるから。」
コンビニのトイレの前にある洗面台の所で、髪型とかを見ていた姉に呆れられていた。
喉が渇いたから、姉と一緒にジュースを選びレジに持っていった。
会計を済まし、だいぶ涼んだのでコンビニの外で佐藤君を待っていた。
すると、一台の自転車がいきなり近くにきて、その人物に声をかけられた。
「新井さん、こんな所で何をしているの?」
クラスメイトの男子にバッタリ会ってしまった。それも最悪な人に。
その人は別に普通なんだけど、クラス中で私の好きな人になっている人だから、どう対応したらいいのかわからない。
佐藤君、早く来て。
心の中は、何故か佐藤君の事で一杯だった。
いつも読んで頂き、本当にありがとうございます。
この話は、思っていたより長くなりそうです。困った。
誤字があった場合は、スルーしてお読み下さい。
感想などがありましたらお待ちしています。