第10話 告白そして特別な夏
「えみ、聞いてる?えみ!」
お姉ちゃんが呼んでいる。
「お姉ちゃん、私は……」
「兎に角一旦お風呂に入ってきな。話はそれからにしよう?」
「う、うん。」
姉に言われ、1人でお風呂に入る。
簡単にシャワーを浴び、髪の毛や体をなんとなく洗い、すぐにお風呂から出た。
ぼーっとしながら、バスタオルで体や髪の毛を拭きパジャマに着替えて自分の部屋に戻った。
現実感がなく、ただぼーっとしながら部屋に戻った。
「えみ、今日は本当によかっね。」
姉が何かを言っている。
「最初は、佐藤君もえみの突然の告白にビックリしてたけど、まさか両思いだったなんて。」
姉は今なんて言ったの?
ピロンッ。
私の携帯にメールが届いた。何だろう?
「新井さん。こんばんは。僕なんか嬉しすぎて思わずメールしました。ただ、明日学校でみんなから冷やかしが入るかもね?なるべく新井さんにイヤな思いはさせないようにするから。」
あれ?佐藤君から?
「なになに?佐藤君からもうメールがきたの?見せて!」
姉に携帯を強引に取られ、佐藤君からのメールを見ていた。
「へぇ~、やっぱり佐藤君ってカッコいいね。良かったねえみ。」
「ねぇ、お姉ちゃん。私どうしの?」
「えっ?えみ、もしかして覚えていないの?」
「うん、なんかコンビニで佐藤君と後藤君を見た後からの事が分からなくて。」
「え、それは無意識に佐藤君に告白したって事?」
「えっ?私、佐藤君に告白したの?」
「本当に覚えていないの?」
「うん、全然。」
「えみが佐藤君に、私の本当に好きな人は佐藤君です。って言ってたんだよ?」
「本当に?」
「うん、その後は佐藤君も最初はビックリしてたけど、クラスで好きな人が、後藤君。って言うのがクラス中で噂になっていたから諦めていたみたい。そんな事も言ってたよ。」
「そうなんだ。やっぱり。」
「でも、佐藤君って、えみに一目惚れだったなんてね。」
「そんな事を言ってたの?」
「えみ、しっかりしなさい。佐藤君とえみは両思いだった。晴れて付き合うようになった。それだけ。えみ、本当によかっね。」
「お姉ちゃん、それ本当に?」
「佐藤君からのメールを見ればわかるでしょう?早く返信したら。」
「えっ?うん。」
なんて返信しようか?
「今日はありがとう。私は現実感が無くて、まるで夢の中にいるみたい。また明日学校でね。」
今、精一杯の頭で考えたメールを返信した。
その後また佐藤君からのメールがきて、
「新井さん、僕も同じなんだ。また明日。おやすみ。」
本当なんだ、私は佐藤君と………
私は携帯を握りしめたまま寝てしまった。
翌朝、姉に。
「今日は学校に行くのが楽しみでしょう?」
姉にからかわれながら学校に。
今日は終業式の日。明日からは夏休み。私の大好きな季節。
学校では、私と佐藤君が心配したような騒ぎにならなかった。
学校もすぐに終わり、佐藤君が私の席にくる。
「新井さん、途中まで一緒に帰ろう。」
「でも、お姉ちゃんと一緒じゃなきゃ。」
「うん。大丈夫。一緒でいいから。」
佐藤君と一緒に姉を待っている。ちょっと変な感じ。
「えみ!おっ!佐藤君、早速イチャイチャしているな?」
「お姉ちゃん!」
「新井さんのお姉さんって真っ直ぐな人だよね?」
「佐藤君、新井さんのお姉さんだと呼びにくいでしょう?くみって呼び捨てでいいよ!」
「お、お姉ちゃん!」
「じゃあ、くみちゃんでいい?」
「しょうがないな。それでいいよ。」
「じゃあ、私も……」
「うん。えみ。これでいい?」
私は名前を呼ばれただけで、こんなにもドキドキしている。
「じゃあ、帰ろうか?」
その後、佐藤君は私達の家の近くまで一緒に帰り、またメールするからと言い残し、佐藤君は自分の家に帰っていった。
今年の夏は特別な夏になった。
いつも読んで頂き、本当にありがとうございます。
本来なら、10話が最終回だったのですが、やはりムリでした。
慌てて書いたので、誤字の確認をしていません。もしあった場合はスルーしてお読み下さい。後日修正と訂正をします。
皆様からの感想などがあったらうれしいです。