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第1話 夢よ覚めろ!

はじめての投稿です。

よろしくお願いします!

 名前:剣持(けんもち 正義(せいぎ

 年齢:28歳

 性別:男

 職業:サラリーマン

 彼女:なし

 金 :なし

 これが俺のプロフィールである。

 俺は、会社員として職場と自宅を往復する毎日が続いていた。唯一の楽しみといえば休日に惰眠をむさぼることかもしれない。

 そして、今まさに休日に布団を頭までかぶり惰眠をむさぼっていた。

「この布団の中が俺のユートピアだ!・・・って何言ってんだ俺」

 時計を見ると時間は昼の1時。

 俺は別にすることもなく、食費の節約にもつながると判断し三度目の就寝を取ることにした。



 俺は当然目を覚ました。

「なんだよ・・・休みの時ぐらいゆっくり寝させてくれよ俺」

 自分自身に文句を言いながら体を起こす。

 しかし、すぐに違和感に気が付いた。

「あれ?何で外にいるんだ・・・」

 目が覚めるとさっきまでいた見慣れた部屋ではなく、見慣れぬ街の路地に居た。

 これは夢だ。そう直感した。

「夢か。まぁ夢なんて久しぶりに見たなー」

 とりあえず路地を出て歩いて回ることにした。

 路地を出ると市場が広がり賑わいを見せている。

「やけにリアルだな」

 露店に並べられている品物や行き交う人々の顔を見ながら疑問を覚えた。しかし、疑問を持ちながらも体は正直である。

 腹が減った。

 露店に並べられている食べ物を見ていると腹の虫がおさまらなくなり、再び露店を見渡す。すると、一つの露店を見つけた。そこには何の肉かわからないがおいしそうな臭いを放つ肉を売る露店を見つける。

 露店に向かおうとするが重大なことを忘れていた。服のポケットなどを探す。金がない。

「夢の中でまで金がないとかついてねぇな」

 肩を落としていると、後ろから突然話しかけられる。

「若いの。どうしたこんなところで?何で落ち込んでいる」

 驚き振り返るとそこには一人の老人が立っていた。

「あ、あんた誰だ?」

「ただの老いぼれじゃよ。何かお困りのようじゃの?愚痴なら聞いてやるぞ」

 すると老人は市場の隅に腰を下ろし見上げてくる。

 ジイさんの上目遣いは見たくないと思い、老人の隣に腰を下ろす。

「愚痴というか・・・率直に言うと腹が減っても金がない!です!」

 自信満々に言う俺を見て、老人は一瞬固まったがすぐに腹をかかえて笑う。

「夢の中でまで笑われるとは・・・」

 俺は、より一層肩を落とす。そして、また露店へと視線を移す。

「ところで若いの。その変わった服装はなんじゃ?」

 老人に言われ改めて自分の服装を見てみる。ジャージ上下。

 夢は、その夢を見る人間の願望や想像力などが関係しているというような事を聞いたことがあるような気もする・・・。今のこの状況というのは、俺の想像力の乏しさなどを表しているのではないかと考えた時に大きなため息が出た。

「夢の中ぐらいいい思いさせてくれよー」

 そんな中顔の前に串に刺された肉が現れる。

「おごりじゃ」

 老人が肉を差し出していた。

「あんた・・・神か!も、もらっていいのか!」

「うむ」

 人の好意はありがたくいただくとしよう。肉に一気にかぶりつく。口の中に広がる肉汁とほのかに香る香ばしいにおい、嚙み切った肉は口の中で溶けていく。正直うまい。ヤバい。俺の想像力は捨てたもんじゃなかった・・・ナイス俺!しかし、至福の時間は終わりを告げる。

「こんなうまいもん初めて食べた・・・夢見てよかった」

「夢?何のことじゃ?」

 市場は人であふれ賑わいを見せていたがより一層の盛り上がりを見せ始めた。また、歓声のようなものまで上がり始める。

「何だ。祭りか?」

「勇者御一行様かの」

「勇者?勇者なんて・・・ってこれは夢だ。そうかきっとファンタジー系の夢を見ているんだな」

 一人で納得して頷いていると、隣では老人がおかしなものを見るような目で見ながら首をかしげていた。

「勇者様だ!」

「勇者様かっこいい-!」

人々の声の集まる方を見る。

 そこには金の甲冑を身にまとった男を先頭に歩く集団を見つける。

「なんだあれ。目が痛い」

「若いの勇者を知らんのか?あれは勇者のエルビッド・ガランじゃ」

「勇者なんかが居るってことはファンタジー系確定だな。じゃあ、これから俺も勇者として活躍していく的な感じになるのかーちょっと楽しみだな」

「若いの・・・相当田舎から出てきたみたいじゃの」

「へっ?」

 老人の言葉に自分でも聞いたことな無いようなマヌケな声を出してしまう。この老人は何を言っているんだよ。

 老人を見ながら俺は思考を巡らせ考え、一つの結論を出した。この老人はきっとRPGなんかでよく出てくる今の状況に関して説明してくれるようなキャラクターのような役割をしてくれる人物だと。ということで、老人にいろいろ聞いてみることにした。

「えっと・・・いろいろ説明してもらえます?」

「う、うむ。そうじゃな・・・いったい何を説明してほしいのじゃ?」

 何から・・・そうか自分で選択肢を選んでいくのか。こういう場合はだいたいは今居る場所について知ることから始めたらいいかもな。実際わからないんだからな。

「えっと・・・ここは何処なんですかね?」

 老人はあきれながらもここがどこなのかを教えてくれた。

 ここは、ガラン王国の首都であるヘニミナ。名前の由来は国王の元妻の名前から来ているとのことである。ガラン王国はユナーシア大陸の中でも一番大きく力を持っている国らしい。他にも、さまざまな魔物や怪物などが人々の生活を脅かしていること、その裏には魔王がいるということ、魔王と戦うために選ばれた勇者がいるといったこの世界全体のことなどさまざま教えてくれた。なんとなく想像はついていたということもあって、別にそこまで驚くようなことはなかった。

「これから俺は勇者として世界を救うってことか・・・」

 そんなつぶやきに老人が大きなため息をつく。

「本当に何も知らないのじゃな・・・選ばれた者が勇者と呼ばれるのじゃ」

「だからこれから選ばれるということじゃ・・・」

「勇者は一人じゃ。おぬしが選ばれることは無いじゃろうな」

 老人の言葉を聞き耳を疑った。

 選ばれることは無い。

「俺・・・勇者になれない?」

「あきらめることじゃな」

 夢の中でもついてない。

 早く夢から覚めてくれ。

「詰んだわ」

「気を落とさんようにな・・・」

 老人はそう言い残すと袋を一つ手渡してくる。小さな袋の割には意外と重量感がある。

 その袋の口を開けてみると中には金貨が入っている。マジか!

「これって!」

「この老いぼれからの贈り物じゃ!」

 去っていく老人の背中を見送りながらただ立ち尽くしていた。

 ヤバい・・・涙が出そう。人のやさしさってすばらしい!世界にこのやさしさを分けてやりたい!

「俺はどうすればいい」

 一人街の真ん中に残された俺は、周りを見渡す。

 人のやさしさに触れることが出来たんだ。もう十分満足した。だから早く目覚めてくれ!

 ・・・・・・。

 ・・・・・・。

「まだ目覚めないっと・・・」

さて、何もすることもない。ほんとに詰んでしまったかもしれない。

「どうすりゃいいんだよ」

 再び大きく頭を抱えていると声をかけられた。

 次はどんなやさしさが待っているのかと思い振り向く。

「おいお前!その大金は何だ!」

 話しかけてきたのは騎士のような格好をした二人組であった。

「これは・・・親切な爺さんに・・・」

「よく見れば怪しい格好だな!こっちにこい!」

「ええー何で!何でこうなるんだよーーーー!!!」

 怖い兄さんたちに連れていかれた。


「で、この金は本当に貰ったのか?」

「本当なんですよー信じてくださいよー」

「だいたいお前は何なんだ。出身地がニパン?何処の田舎だ」

「ニパンじゃないです!ニホンです!」

「字はどう書くんだ?」

 しっかりと日本と紙に書く。

「なんだこのカクカクした字は!ふざけるな!」

 怒られた。まじめに書いたのに怒られた。

「何でですか!まじめに書いたじゃないですか!」

「ふざけるな!こんな字は見たことない!」

俺の書ける字は日本語と英語ぐらいだよ!

「牢にぶち込んでおけ!」

 狭くて暗い牢に入れられることになった。

「あんまりだろ」

 世の中は冷たい・・・改めて実感した。夢よ!覚めてくれ!目覚めよ!俺!

 ・・・・・・・。

 ・・・・・・・。

「何で覚めないんだよーーーー!」

 暗い狭い寒いこんな所やだ。

 勇者達は今頃暖かい場所でうまいもの食ってるんだろうな・・・。

 べ、別に羨ましくなんかないんだからね!

「夢ならもっといい夢見たかったなー」

 とりあえず寝ておこう。果報は寝て待てっと。


「おい!起きろ!」

 見張りに蹴り起こされる。

「いつまで寝ている!早く起きろ!」

 朝から何だよ。てか夢の中でも寝てるってどういう事だよ。

「お前が神の審議にかけられるんだ」

「神の審議・・・裁判みたいなものか・・・早くね?」

「来い!」

 もうどうにでもしてくれ。いちいち驚くものも疲れたよ。

「あれが罪人かしら」

「何したのかしら?」

「人の金を取ったんだと」

「盗人かよ」

「最低ねー」

 人の視線が痛い。誰か助けて。

「もうすぐ着くぞ」

 見えてきたものは建物などではなく町の広場であった。

「あらやだ。これってよく見る光景じゃん!処刑シーンとかで・・・」

 俺死ぬんじゃないの?普通に嫌なんだけど。

「あのー俺って処刑とかされちゃうんですかね?」

「お前には同情するよ。普通はこんなに早くは決まらないんだけどな」

「そうなんですか・・・」

「まぁ俺も田舎から一旗揚げようと出てきたんだが・・・こんな仕事しかなかったよ。実際はこんな仕事なんかしたくはなかったんだがな」

 若い兵士は苦笑いしながら話す。

 どこにでもいるんだなこういう人が。なんか親近感を感じる。

「これから正直つらいと思うが、がんばれとしか言えないんだ」

 若い兵士はそっとパンを手渡してくる。

「多少はましだろう。俺からの選別だよ」

 いい人は居るんだよ。居るんだけどもなー。とりあえず貰ったパンを頬張った。

「とりあえず勇者の前ではお利口さんにしとく方がいいぞ」

「勇者?今から何が始まるんですかね・・・神の審議って?」

「裁判みたいなもんなんだが、今この町にちょうど勇者様がおいでになっているということで、勇者様に罪人の処遇をゆだねるという制度さ。勇者は、神に選ばれた存在ということで、神と等しく扱われるからな」

「だから神の審議ってことか・・・」

 広場へとたどり着くとそこには一度あの時見た勇者がそこには居た。

「お前が盗人か」 

 金色に輝く鎧を着て座っている勇者はこちらを見て言った。

 よく見ると案外イケメンだった。なんか負けた気分になる。

「罪状は?」

「金を奪った盗人です」

「お前は実際に金を盗んだのか?」

 勇者は俺を気だるそうに見ながら問いただす。

「おい。答えるんだ」

「えっと・・・盗んでないです・・・はい」

「盗んでないのかーじゃあ無実ってことでいいんじゃない?」

 えっ?軽くね?逆に大丈夫なのこれ。

「よ、よろしいのですか?勇者様」

「無罪でいいよ。ところでその男はどうなるんだ?」

「無罪ということであればこのまま解放という事になりますが」

「そうかーじゃあ有罪で」

 はい?あのイケメンは何言ってんの?バカなの?

「で、ではあの男は有罪ということで・・・よろしいのですね?」

「有罪で」

 俺有罪になっちゃった・・・。こうして冤罪が生まれるんだなって言ってる場合じゃない。

「でも殺しはしないでいい」

「死罪にはしないと?」

「ちょうど俺たちのメンバーが一人居なくなったところなんだ。この男を連れていく」

 えっとどういう事なんだ?まぁ死ぬことは無いんだよな・・・一安心ってことかな。

「で、では!勇者様のお供に加えるという事ですか!」

「そうゆうこと。文句ある?」

「め、めっそうもないです!」

「じゃあそういう事で」

 話の流れが全くつかめない。本当に助かったのか俺。

 勇者たちのやり取りを呆然と見ていた俺の手の拘束が解かれた。

「よかったな!勇者様のお仲間にしていただけるんだぞ!大出世だ!」

「これって大出世なんですか?」

「当たり前だ!俺の分まで頑張ってくれよ!」

 俺もついに勇者パーティーの仲間入り!勇者じゃなくてサポート役としての役割があったのか。勇者の片腕として活躍していくってのも悪くない。

 魔王討伐してモテモテに・・・いい夢だ。さぁ行こう夢の世界へ!というかこれが夢の世界だよな。

 そういう事を考えながらついニヤニヤしてしまう。やばいやばいこんな顔誰かに見られたらなんて言われるか。

「何で一人でニヤニヤしてるんですか?」

 しまった見られてしまった!しかも、この声は女の子!

 声の主を確認しようと声のした方を見る。

「えっと・・・俺ですか?」

「あなたしか居ないですよ?バカですか」

 中学生くらいの女の子がそこには立っていた。いきなりバカって言われたよ。この女の子口悪いな・・・かわいいのに。

「早くしてください。行きますよ」

「ちょっと待てよ!行くってどこに?」

「魔王退治です」

 じゃあこの子も勇者パーティーの一員か。ついていくしかないかな・・・

「あちらで他の皆さんが待っています」

「ちなみに何人ぐらいの仲間が居るんだ?」

「私を含めて10人です」

 10人結構居るんだな。やっぱり職業とかジョブとかクラスとかなんて呼ぶのかは分からないがそういったものがあるんだろうな。

 前を歩く女の子は黒いフード付きのローブを着ているしな・・・魔法使いといったところか。

 俺っていったいどんなことが出来るのか楽しみになってきたな。

「自己紹介をしておきます。私は、キーナと言います。職業は魔法使いです」

 やっぱり魔法使いで、それに職業と呼ぶのか。

「私は教えました。あなたは言わないのですか?」

「おっとそうだった!俺は剣持正義だ。よろしくな」

「ケンモチセイギ・・・変な名前ですね。おかしな人は名前までおかしいんですね」

 笑われたねー。正義って名前が?自分では・・・まぁ多少引っかかる感じはするけど!そこまで言うことないんじゃないの!ヒドイ!

「えっと・・・そこまで言うことないんじゃないのかなーキーナちゃん?」

 多少顔を引きつらせながら問いかける。

「名前を呼ばないでください。キモ・・・いえ」

「いまキモイって言おうとしたよね?お嬢さん、俺ってそんなにキモかったのかな?」

「お嬢さん・・・わたしが?」

「お、おう」

 すると、手に持っていた杖を俺に向けてくる。

「私を子ども扱いしましたね」

 なんで?すごく怖い顔してるんだけど!

「ちょっと待て!は、話せばわかる!」

 何か逆鱗に触れること言ったかな・・・。でも何とかこの場を切り抜けないと!

「話せば?話す必要は無いです」

 キーナは呪文のようなものを唱え始める。

「詠唱か!ちょっと待ってくれよ!お願いしますキーナ様!」

 ここは土下座で切り抜けよう!土下座なら何とかなる!プライド?そんなもんどこかに置いてきた!

「なんの真似ですか?」

「これは土下座だ!俺の知ってる最大限の謝罪の方法だ!これで何とか!」

 キーナは、杖を下ろしてこっちを見る。

「まったくあなたは本当にバカなんですね」

 顔を上げるとそこにはキーナの笑顔があった。

 なんだよかわいいじゃねぇか。不覚にも少しドキッとしてしまった。

「遅いから様子を見に来てみれば、どうしたんだこんなところで」

 男の声がする。この声は、はっきりと覚えている。俺を有罪にしたあの勇者だ。死刑にならなかったことは感謝するけど。

「ガラン様!申し訳ありません・・・」

「いや、いいよキーナ。ありがとう」

 キーナは目を輝かせて勇者を見ていた。ああね。そういうことか。腹立つ。

「お前か。よくみると冴えない顔だな」

 なんだよ言われなくっても自分が一番わかってるよ。

「それに・・・お前のその格好は何なんだ?」

「これはドゲザというらしいです」

「ドゲザ・・・ハハハハハ!無様な格好だね!」

 いちいち腹立つ奴だな。

「まぁいいさ。これからよろしく頼むよ荷物持ちくん」

 今なんて言った?普通に耳を疑ったんだけど。

「えっと・・・今なんて言いました?」

「よろしく。荷物持ちくん」

 嘘だろ?

 俺は、戦士当たりを希望したいいんだけど。選択権無いのかよ!

 荷物持ちって、夢の中でもそんな役目しかないのかよ!あんまりだろ!

「早く目覚めてくれよーーーーーー!」

 俺の冒険は多分始まってしまうのだろう。荷物持ちとして。

 今後、魔王討伐に向け主人公と勇者一行は冒険の旅へと向かいます。

 その道中には、いったい何が待ち受けているのか・・・そして、荷物持ちとなった主人公の運命は!

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