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育みのエイチャー  作者: 壊れ始めたラジオ
潤愛!少女達のせめぎ合い!
16/23

第十六部「許されない関係」

千鶴視点。第十四部の続きです。

 命ちゃんとの一晩が明けた今日。朝食を終えた私達は、長い木の机を隔てて、私の両親と向かい合っていた。



「大事な話とはなんだ」



 お父さんから向かってくる大きな威圧感。命ちゃんはそれに負けじと、お父さんとお母さんを一心に見つめている。

 そして、命ちゃんは試合開始の鐘を鳴らした。



「実は…実は、私は、千鶴…娘さんと付き合っています」


「ほ、本当だよ。私達、本気で愛し合っているの!」


早苗(さなえ)


「は、はい」


「電話を持ってこい」


「…わかりました」


「「え?」」



 電話?

 一体、何を考えているの?

 私が命ちゃんの方を見ると、命ちゃんもおんなじ事を考えていたみたい。ふたりで見つめ合う形になった。きょとんとしている命ちゃんもかわいいな。



「もしもし。お前のところに通っている植薙命のことなんだがな…退学させてほしい。理由付けは、そっちで勝手にしてくれ」


「「「え!?」」」


「なんでか…。そうだな。我が家の大事な娘にセクハラ行為を働いた、とでも言っておこうか。それじゃあ、よろしく頼む」



 うそ…。

 私達、まだ付き合ってるとしか言ってないのに、ここまでするなんて…そんなの。



「そんなのあんまりだよお父さん!」


「何があんまりだ! お前に変なことを教えたこいつが悪いんだ! 女同士? 馬鹿か! 意味のわからないままごとはやめろ!」



 ままごと!?

 私達は、本気で…本気で好き合っているのに…!



「意味がわからないのはそっちだよ! 女の子同士で愛し合うことのどこがいけないの!?」


「全部だ! 人は皆、男と女が結ばれるものだ! 男がいて、女がいる。それで初めて、世界が回るんだ! 大体お前に恋愛は早い! そんなに結婚したいなら、私がちゃんとした男を連れてきてやる!」


「それじゃあダメに決まってるじゃん!」


「わ、私は、千鶴のことを一生大事に…」


「まだいたのか。お前はさっさと帰れ。そして二度とうちの娘に関わるな」


「そ、そんな…」


「もういいよ。こんな家、出ていってやるもん。行こ、命ちゃん!」


「え、ちょっと千鶴?」


「お父さんもお母さんも大っ嫌い! 今までお世話になりました、さようなら!」


「ま、待ちなさい千鶴! そいつを置いて戻ってきなさい!」


「ふんっ! 知らない!」



 私は強引に命ちゃんの腕を引っ張って、着の身着のまま家を出ていった。




 ◆




 …家出したはいいものの、向かう場所は一つしかなくて。



「千鶴、一緒に戻ろうよ。私は、ちゃんと千鶴の両親にも納得してほしいから。ね?」



 私は命ちゃんの部屋で、熱烈なリターンアプローチを受けていた。



「もう…いいよ命ちゃん。私の大切な命ちゃんを退学させようとしているお父さんなんて、もう嫌いになったし。お母さんもなにも言ってくれなかったし」


「…」


「だからね、もういいんだよ。…そうだ、一緒に働こうよ!」


「え!?」


「そうだそれがいいよ! 私、学校辞める!」


「そ、それはやめた方が…」


「いいのいいの!」


「…」



 あのとき、私は自分の身勝手な思いつきで命ちゃんを振り回していた。



 命ちゃんが姿を消したのは、その日の夜のことだった。

どうも、壊れ始めたラジオです。


約一ヶ月ぶりの更新です。お待たせいたしました。


次回は現代編です。


それでは。

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