原田の告白2
原田は続けた。
「しかし、遠くで、ただ見るだけの日々が続いた。俺は、何とか、もっと脚本家で成功しようと頑張った。しかし、今の俺の大成の前に、彼女は婚約してしまった・・」
原田は、そこで黙った。
ただ、ひたすら、聞いていた江藤が口を開いた。
「原田さん、いつも華やかに開くパーティーに、飯野さんを呼んでましたね。婚約者の、あの若手社長と一緒に」
そうだった。確かにパーティーには、そのカップルが必ず、いた。
原田が、また話はじめた。
「そうだ。俺が意図的に毎回、呼んでいた。いや、パーティーを開くこと自体、飯野さんに少しでも近づきたい為だった。もう婚約している、飯野さんにな・・」
江藤が、つぶやいた。
「そうだったんですね・・話は大体、分かってきました。原田さん、飯野さんに、今でも振り向いてもらいたい、そんな気持ちなんでしょう?」
原田が、しばし沈黙の後に、頷いて言った。
「その通りだ。俺は、ここまできた以上、飯野さんを、みすみす諦めきれない。何かの拍子で、アタックしようと機を伺っていた。しかし、何もできずに、時間が過ぎる。パーティーだけが、繰り返される、あの二人のイチャイチャだけを見せつけられるの悪循環さ・・」
江藤が、聞いた。
「僕に、なりたい、と、さっき連呼したのは、何故なんですか?」
原田は、また沈黙して、そして、話はじめた。




