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How to ...  作者: 希沙
6/7

└ 夢に惨敗

「一番星の見つけ方」番外編

 夢のような生活って、たぶんこんな幸せな生活なんだろうなと思う。

 朝、目が覚めると朝食のいい匂いを微かに感じて。

 満面の笑みと共に交わされる挨拶と一緒に、軽いキスもして。

 いってらっしゃい、と見送られながら、家を出る。

 夕方も夕方で、まぁそれなりに仲睦まじくやり取りして。

 俺の愛情をたっぷり彼女に伝えるんだ。


「今日も一緒に寝ようか」

「んもー、それいつも言ってるじゃない」


 困ったように言う彼女だけど、浮かぶ笑みはどこか嬉しそう。

 だから我慢し切れずにその体を抱き寄せて、深く口付けを交わした。

 昨日もこんな始まりだった気がする。

 何度も何度もキスをして、力が抜けた彼女の体を抱き上げて寝室に移動する。


「とっ、しはる」

「なーに。ほら集中してよ」

「としはる」


 ベッドに下ろした彼女の表情を覗き込んで、俺は体中が凍ったように冷たくなった。

 そこには最愛"だった"人が横たわっていて。

 般若のように歪ませた憎悪たっぷりの表情を浮かべさせていた。


「最低ね、俊晴」

「ほ、のかちゃん」

「榛名ちゃん、可哀相に。こんなバカでアホでマヌケなエロダヌキに騙されるなんて」

「え、エロダヌ……、っ!」

「いつまでのしかかってんのよ、この人間のクズがっ」


 いい終わるが早いかで、下半身に衝撃が走る。

 あまりの痛さに意識が薄らいでいって……。


 +


「……い? 俊晴先輩?」

「ん……はる、な?」

「大丈夫ですか? すごくうなされてましたけど」


 心配そうに覗き込む榛名を見て、さっきのは夢だったんだなとぼんやり思う。

 それにしても酷い悪夢だった。

 まだ下半身がズキズキと痛む気がする。


「先輩?」

「……榛名、俺は騙してないからね? 榛名一筋だからねっ!?」

「は……はぁ」


 訳がわからない……というかわかるはずがない榛名の肩を揺らしながら、俺は必死で訴えていた……らしい。

 それを聞いたのは、再び落ちた意識が戻ってきた後だった。

夢に惨敗

(暫く帆夏ちゃんを避けたのは言うまでもなく)

♯sneeze様/09.06.21 提出

06月お題『奴等が結婚したならば』より。

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