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How to ...  作者: 希沙
3/7

└ 終わりと始まりと

「流れ星の願い方」番外編

 焦れったいと思っていた。

 それが彼らの恋愛だとわかっていても、端から見ればものすごく焦れったい。

 誰かが誰かと想いを通じ合えたとき、誰かが傷つくのは当たり前のこと。

 いちいち気にしていたら、折角手に出来た関係もあやふやになってしまう。


「しばらく距離置くんだってさ。すげーな、水城さんって」


 いつも通り振る舞っているつもりなのだろう。

 教室の片隅、いつも一緒にいる友人と談笑する彼女。

 笑っているけど、目がとても寂しそうだった。


「無駄なことしてるね」

「まぁ、大方同情だもんな。そんなことされても現状は変わらないから、逆に虚しくさせるだけなのに」

「だよね」


 静かに出来上がった三角関係は徐々に大きくなりつつあった。

 今は普通を装っているけど、いつか綻びは出る。

 それがそう遠くないことなのは目に見えてわかった。


「普段通りが一番いいのに」

「そーだな」

「バカップルやってくれた方が報われるのに」

「……お前、まだ葛城が?」


 返事はしなかった。

 何がどうなっても変わらない。

 この小さな事件もすぐに終息を見せ、再び二人の睦まじい姿が見れるようになるだろう。

 これは一時的な状況で、決して後に続かない。

 だから、私も期待はしない。

 ただ想い人だった彼が早く幸せを取り戻すことを祈る。

 それが不満だったらしい。

 隣に立つ彼は眉間に皺を寄せて、私を見下ろした。


「……何?」

「チャンスじゃねーの」

「んな訳ないでしょ」


 彼もわかってる。

 すぐに終わること。

 なのに、こんな意地悪を言うなんて笑える。

 抑えきれず笑いを零すと、彼の表情は一層悪くなった。


「あのな」

「いーじゃん、今はあんたがいるんだから。昔の恋を掘り返す理由なんかないよ」

「俺は後悔して欲しくないだけで」

「しないよ。今はあんたが好きなんだから」


 一つの恋が叶った頃、いくつかの恋が終わった。

 私の密かな想いもそうだった。

 立ち直れずにいる人も何人かいるけど、すっかり立ち直った人もいる。

 私もその一人で。


「俺、自信ない」

「何言ってんのよ」


 私は彼女から目を離した。

 今は自分のことで精一杯っぽい。

 だから、早く幸せになって。

終わりと始まりと

(好き、だから自信持って)

(……うん)

♯sneeze様/09.07.16 提出

07月お題『田中からみた彼ら』より。

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