1話 この世界の中で
異能。ここ最近では珍しくなくなったこの言葉。異能者であれば、生活がもちろん楽になる。ほとんどなんでもできる。苦しいことからも逃げられる。そんなことを簡単にできるのが異能だ。ほんの20数年前では、できなかったことができるようになった。ある細胞のおかげで……。その細胞は人間を大幅に進化させると同時に破滅へと導いていることをまだ人類は知らない。知るのは全世界でたった10人だけである。
ピピピピ……と電子音が部屋に鳴り響いた。昨日は早く寝たからだろうか、いつもより目覚めが良かった。
「よいこら……、しょっと……」
俺こと由来良知の1日の始まりである。とか、考えつつリビングに向かう。ちなみに家は現在俺の一人暮らしである。朝はあまり時間がないので簡単にパンで済ます。そしていつものように新聞を取りに外のポストへ向かうと……
「……やっぱたくさん来てるな」
はぁ、とため息を着かねばやっていけないほどの量の手紙が来ていた。送り先は全て『由来良知様』。送り主は全て日本国際医学機関などからの国から。内容は見なくてもわかっているので開けずに捨てる。こんなことしてたらごみ袋の無駄遣いだよな。すぐいっぱいになるし。まだごみの日は遠かったはずだ。
「それより、支度するか~」
3割くらいまだ寝ているがいつものことだ。と、思い俺は学校の準備を始めた。入学してから約2か月。そろそろ暑くなり始めた朝だった。
自宅から学校まで約30分ほどの道のりを自転車で行く。朝の風を切るのは清々しいが、もう1か月もするころには汗びっしょりだろう。そして俺が通う学校。私立那珂湊高校。創立五年目の新しい学校だ。まだ白く汚れているとこはほとんどない4階建ての校舎に入る。下駄箱で土足から上履きへと履き替えているところに1人の男子生徒がやってきた。
「おーす! 良知!」
元気よく挨拶してきたのは横岡大悟クラスは違うがあることがきっかけでそれから仲良くなっている。 せっかくの高校生活。ひとりぼっちじゃ寂しいからな。ちなみに身長が180後半あり、体つきもがっしりしている。
「なぁ、今日って確か実習あったろ?」
不意に大悟が聞いてきた。
「ん? あぁ、たぶんあるな。てか、ない日がほとんど無いんじゃなかったか?」
自分でもややこしいな、と思う言葉で教える。
普通授業が終わり、7限目。実習。学校区内ではあちこちで銃声が響いている。そう那珂湊高校では銃を扱うのだ。と、言っても普通の銃じゃない。もちろんこんな普通じゃないことをしている奴等は普通じゃない。今ではほとんどの人が接種したと言われる人類強化型細胞。通称NCT。この細胞を接種した人は約25年ほど前の人類ではできるはずのないことを簡単にやっていける能力を身に付けれる。そしてその人らは訓練すれば国家の軍事力にもなる。ってなんやかんやでこのような学校が多くなっている。ちなみにここだけの話、実は俺、由来良知はNCTを接種していない。いわば珍種である。しかしある理由や出来事が重なってこの那珂湊高校の特別部に入ったわけだ。今朝届いていた大量の手紙も大抵は早くNCTを接種してください、とかそんなとこだ。よく懲りずに国も送ってくるよ。この学校で未接種者って俺ぐらいだろうな。もしかしたら日本で一人かも。なにしろ未接種者は俺合わせて今や、全世界で10人らしいからな~……。なぜ接種しないかってのはまぁ、必要ないからだな。
「お、良知。早くいかねーと実習に遅れるぞ?」
また大悟がやってきて言いながら走っていった。やつは確か1組だったから近接格闘の実習だろう。1~3組が近接格闘、4~6が中距離攻撃、7が遠距離攻撃、8~9が連絡・工作を実習で学ぶ。そしてこの俺が所属する10組。『特別部』と書かれた実習室のドアノブに手を掛け一気に開ける。その中には……
「あら。遅かったわね」
と、言いながら拳銃を頭に突きつけてくるやつが普通にいた。普通じゃないことだよ……な?1クラス30人ほどいるのだが、この10組だけは少なく20人。で、今もなおグチグチ言ってるこいつは
「挨拶するか脅迫するかどっちかにしろ。夜桜……」
両手を挙げながら俺は俺を殺す準備万端の少女。夜桜波方に言う。先月にちょっと事件があって、それから俺に脅迫やらなんやらと迫ってくる正直、容姿はモデルに負けないし頭も良い。それにものすごく大人しい……。みんながいるところではな。
「なに??」
「いや……。なんにも……」
すっごく怖い顔で睨まれた。そこに10組のクラスメイトが近づいてくると、今日もいっしょにがんばろうね!なーんて、言ってるし。まぁ、あの事件(?)は俺にも責任はあるんだがな……。そう、あの日から俺は、美少女、夜桜波方に目をつけられたのだ。
第1話。どうでしたか?
わかりにくい描写や説明不足、誤字脱字などありましたらお気軽にお声をかけてもらえるとうれしいです。特に感想、アドバイスなどありましたらお願いいたします。




