13話 決着のとき
「そんなもの……。どこから出したんだ!?」
「そんなに知りたいなら教えてあげる。良知が飛ばされたとき、とっさにこのミサンガを投げてきたのよ。まあ、たぶんその時は時間を操ってすごく速く投げたんでしょうけどね」
と、横目で俺を見てくる。俺は座り込みながら頷く。夜桜が持っているミサンガは斎に俺がプレゼントしたものだ。その中には斎がなんかあったときのために、とワイヤーを入れていたのだ。それを思い出した俺はミサンガを夜桜に投げたのだ。
「さすが夜桜。俺の考えをを正しく理解してくれたようだな」
「ふん。まあ、私の頭脳をもってしたら簡単なことよ」
俺たちの会話を聞いて、祇園はさらに悔しさを出し怒りもあらわにしていた。
「……でもな、祇園。俺はヒントも出したんだぜ?」
「……なに?」
「言っただろ? 動くのは口と……、頭だけだってな」
「!?」
そして祇園の後ろには異能で姿を見えなくしていた神輿が小型ナイフをその頸動脈につけていた。
「はぁ……。やっと終わったな」
あの後、祇園はMasterに引き取られ俺は目的を果たすことができた。俺の骨はなんとか打撲で済んだ。そして今はMasterから話があるらしく那珂湊高校の理事長室に俺、夜桜、そして
「……また、私のこと忘れてた」
「……あ」
神輿の三人で待っていた。そういや、ゴーレムを狙撃してくれるまで忘れてた……。
「……もう良い。私なんて……」
うわ……。神輿がすねてしまった。なかなか卑屈なんだな、こいつ。
「わ、悪かったって……。頼むから許してくれよ。帰りに缶詰め買ってやるから」
ここで俺はエサでご機嫌をとる作戦に出た。これで大体のやつは機嫌がよくなるはずだ。
「……なんの?」
「ん? 鯖」
「……。」
「ご、ごめん! ちゃんと鮭の缶詰め買ってやるから! 無言でナナトス構えるのやめて!」
あー。怖いなぁ。それから神輿は納得したようにナナトスを肩にかけ静かに立っていた。
「あれ? どうした、夜桜?」
夜桜がずっとモジモジして黙っている。なんだろう? こいつらしくもない。
「どうした、夜桜? さっきからモジモジして……」
「えっ!? あ、えっと……。その……」
いきなり声をかけたのがまずかったのか、顔を真っ赤にして言い澱む夜桜。そして俺は、はっと夜桜が考えてたことがわかった。
「あっ、わかった。 トイレだな? お前ずっと縛られてたもんな。行ってきて良いぞ?」
結局、何時間も身動きが取れない状況だったのだ。こいつも一応、花の女子高生だ。言いにくいだろう。いやー、俺もよく気が利くようになったもんだな。うん。と、しかし夜桜は……
「そ、そんなわけないじゃないの! バカ!アホ! マヌケ!」
もっと顔を赤くして力の限り俺を罵倒して来た。なぜだろう? 俺なりに気を利かせたのに。
「じゃあ……。あ、お前もシュークリーム欲しかったのか? そうならそうと言えば良いものを……」
こいつも一応、以下略。
「……いい加減怒るわよ?」
いえ、あなたはすでに怒ってますよ? なぜだか知らんけど。
「え、と……。あの……。私が言いたいのは……。た、助けてくれてありがと。それだけよ!」
あぁ、なんだ。そんなことか。
「いや、いーよ別に。チームで仲間だろ? 助けて当たり前だって」
「で、でも! ……あんたが助けてくれなかったら、私は……」
へぇ。けっこうこいつって義理深いんだな。もしかしたら、リーダーである自分がチームに迷惑をかけたからかも知れないけど。
「だから、良いって。しかも直接助けたのは神輿だろ? 俺だけじゃ助けれなかったし」
チラッと隣の神輿を見ると神輿もこちらを見ており目が合うと夜桜の方を向いて
「……私1人でも無理。MRSは持ちつ持たれつ」
そう。神輿の言う通りMRSは誰か1人でも欠けてしまうと機能しなくなってしまう。しかし、全員揃っていれば上手く機能しどんな敵にも負けない。
「二人とも……。ありがとね。その……、二人ともかっこよかったって言うか……」
「……デレた」
「デレたな」
「で、デレてないわよ!」
なんて騒いでいるとMasterが入ってきた。
「いやぁ、楽しそうで何よりだね」
自身もニコニコしながらしゃべりかけてきた。
「あっ、Master。すいません」
ビシッと夜桜が背筋を伸ばしMasterに敬礼。そこで俺と神輿も敬礼した。
「いやいや、学校で会うときは理事長で良いよ。あと敬礼も要らないし、かしこまりすぎた挨拶も要らないからね?」
なかなか気さくで良い人らしい。実は、俺はゴタゴタでMRSに入隊した(させられた?)のでこの人のことはあまりよく知らない。俺より先に入隊していた夜桜や神輿はなにがあったのかMaster……、理事長の前ではすごく真剣で……なんか怯えてる様子も時々見せるのが気になるんだけどな。
「はい。失礼いたし……。わかりました」
途中で言い直したのは理事長にちょっと目を合わせられたからだ。理事長は頷き、奥にある自席へと座った。そして俺たちにも席を勧めてくれたので座る。
「今回の件についてはご苦労さんだったね。特に良知君」
いきなり名前を呼ばれついつい背筋を伸ばす俺。
「あ、いえ。あの……、あの度は夜桜を見つけていただいたのに失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした」
理事長が夜桜の居場所を突き止めてくれなかったら俺はもちろんたどり着けなかっただろう。それなのに俺は理事長にお礼も言わず……。
「あはは。いや、いいよ。リーダーを助けてくれたんだし。……まぁあれだけ必死だってことはそれ以前の何かの感情が君にはあったのかもしれないね」
「……? すいません。いまいちおっしゃってることが……」
よくわからなかった。夜桜はなにかを悟ったらしくまた、顔を赤く染め
「り、理事長! そんなわけありません! こいつなんて……!」
「なんでお前が赤くなるんだよ?」
「良知は黙ってて!」
うーん。俺の頭が悪いのだろうか。この中では俺が一番賢いと思うんだけどな。あ、ちなみに夜桜と神輿はこの時期で既に留年の危機である。でも、この話はまたいずれ、テストも近いことだしな。
「良知君もそのうちわかるさ。では、場も和んだ事だし本題に移ろうか」
理事長は少し席に座り直してこう切り出した。
「まず、波方君。祇園琥珀の処分についてはこちらに任せてもらって良いんだね?」
「あ、はい。私は大丈夫です。游も良知も同じ意見です」
そんな話は一度も聞いてないけどな。ま、俺も祇園のことについては理事長任せで良いと思ってるし。
「じゃあ、話しても良いね。祇園琥珀、琥珀君をMRSに入隊させることにした」
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