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呪いの輪廻 王女の運命  作者: 鼎ユウ
アミュージィエの話
16/31

十五話  夢・4

短くてごめんなさい。

 ぼーっと、何も考えずリーヌは壁を眺めている。その目は虚ろで常に思考している頭は白で塗り潰され動いていない。

 ここはおばあ様の部屋の寝室で、リーヌはベッドサイドに置いてある椅子に座っている。

 部屋の主であるおばあ様はベッドに横になり眠っている。――永眠(ねむ)っている。

 身体は冷たくなり、目は硬く閉じられ、もう二度と開くことはないだろう。

 日当たりのいい窓からは普段なら惜し気もなく陽光が差し込む。しかし、今はカーテンが閉じられ差し込む光は淡い月光となっている。

 もうどれだけの時間そうしていたかは分からない。大好きなおばあ様が死んでしまった。

 感情の一切が切り捨てられたリーヌの頬を涙が伝う。

 亡き両親に代わり、守り育ててくれた人だった。

 護られていたのはリーヌ一人ではない。その威厳と気高さでセピシアの民を国を護ってきたのだ。

 たくさんの人々から、慕われ敬われてきたおばあ様がいなくなった。

 おばあ様が公の場から退きリーヌが王女となって、早三年。おばあ様に支えられてなんとか公務をこなしてきた。晩年は寝たきりで表に顔を出すことはなかったが、その発言力は大きい。

 おばあ様がいなくなってしまった。心にぽっかりと穴が空いてしまったよう。空虚となったリーヌの中には一体何が残っているのだろう?

 もう何も分からない。考えられない。もう何もをするのも億劫で仕方がない。


 ――――あの悲しみから一年。

 生ける人形になってしまったリーヌを支えてくれたのはサラをはじめ、城にいる人々や国民だった。空虚であったはずのリーヌの中には今では溢れんばかりの温かい想いが詰まっている。

 今朝は会議で、一年滞っていたジータの森近くの教会建設が再開されることが決まった。

 資材の在庫や新たに発注するべき物をまた洗い出し直さなければいけないと国庫管理人のギルギヴ氏が嘆いていた。生真面目な性格で、細かなところまできっちりしていないと気がすまない完璧主義者のだ。そのため、作業が遅々として進まないと目の下に隈を作って部下の者までもが嘆いている。

 まだ三十半ばだというのに実年齢より老けて見える。なんとも気の毒な性格だ。

 司祭ダリアスは一週間後にある時占(ときうら)のことで頭がいっぱいらしいく、ゼイスとあれこれ相談している。

 魔術師でもあり、医者でもあるゼイスは休まる時がない。

 時占は一年間の運勢を占う行事でこの結果が少なからず今後の国政に影響してくる。

 国境付近にいまだ駐屯(ちゅうとん)している盗賊はおとなしくしている。あれから、勢力が大きくなったとも聞かないし目立った動きもない。これは風を渡るシルフ達が教えてくれた。

 周りの国が睨みをきかせているお陰かもしれない。

 喪が明けて、城下の賑やかさもより一層だと見回りに行った兵が教えてくれた。

 別にサボっていたわけではないがやらなければいけない事はたくさんある。けれど、とりあえずは目の前の事から片付けようとリーヌは机の上に山と積まれた紙の束に目をやる。ペンを手に取り朱肉と印を横に置いて、作業に取り掛かる。あぁ、今日は寝られるだろうか?

 ごめんなさい、ごめんなさい。私が不甲斐無いばかりに……ごめんなさい。


前回に引き続き進まない。加えて、短い。

申し訳ないです。ですが、内容の関係上これは譲れないのです。


大好きなおばあ様が亡くなりました。リーヌが即位してからそれほど時は空いていない設定です。五年…くらいでしょうか?多分に。


閲覧ありがとうございました。

次回もあまり長くない予定。


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