プロローグ
残酷?なのかはわかりません。
そのあたりは一応曖昧に、オブラートで包んだつもりです。
心配な方は引きかえしてください。
これは、西の大陸の物語…………。
セピシアは小さくも豊かで、代々女王が国を統治してきた。そのためか、女王は不思議な力を持っていた。
その力を恐れていた隣国、ツェーリスは領地も広く豊かで軍事力も大きかった。ツェーリスは、いつかセピシアがその不思議な力を使って領地を広めるため、自国に攻めてくるのではと危惧していた。
そして、ツェーリスの王は自分の領地を守るため、セピシアを、セピシアの主を撃とうと考えた。自国よりも小さい国を撃つのは簡単だ。加えて軍事力も格段に小さい。しかしあの力が恐ろしい。
そこで考えた王は、王女にあらぬ罪を着せ、自分の手ではなくセピシアの民の手で皇女を殺し、以後彼女の魂が幾度転生しようと必ず死す、と自国の最も優れた魔術師に術をかけさせた。
隣国の策略に堕ちたセピシアの王女セリエーヌは、そのことを予期していたかのように数か月ほど前から何処にでもあるような普通の羊紙皮に何事かを書き留めていた。
セリエーヌの書き留めた羊紙皮の束は、彼女の忠実な侍女により密かに製本され、侍女は本が出来上がるとすぐに自殺し、自らの命を絶った。
本は誰の手に渡るでもなく、行方知れずとなり、「セピシアの魔女の呪いの言葉がただただ書き綴られた本があるそうだ」という噂だけが残った。
もちろん、ツェーリスの王は国をあげてその本を探したが見つからず、王は命尽きるその瞬間まで本の事を懸念していた。
――――――幾度となく転生を繰り返し、そのつど魔術師の術で死ぬ。
現在、大陸暦九五八年、王女の魂は一人の少女になっていた。少女は今年、雪が溶け、若葉芽吹く頃、十六回目の誕生日を迎える。
閲覧ありがとうございました。
興味がありましたら次回もよろしくおねがいします。