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Mystic Lady ~復活編~  作者: DIVER_RYU
第二章『キャプテン琉のカレッタ号案内』
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『キャプテン琉のカレッタ号案内』 その2

目覚めたばかりのロッサにカレッタ号の案内をする琉。食事をとろうとする琉に対し、もう食べたというロッサ。果たして彼女は何を食べたのか。

「? いつの間に、つか何を食べたんだ?」

 次の瞬間、彼女の口から衝撃的な一言が飛び出てきた。


「デボノイド。20匹くらい。あと薔薇も」


「デボノイド!? するとさっきの文の内容は……。まぁ、良い。少なくとも俺は腹が減ったし、案内もしないといけないしな。こっちだ」


 琉は彼女を食堂まで案内した。


「基本的にここで飯を食べるんだ。まぁ、とりあえず座ってなさい」


 琉は奥の厨房に入ると冷蔵庫から野菜をいくつか取り出し、まな板に置くと切り始めた。切り終わると自前の中華鍋を熱し、油を敷いたらそこに今朝のご飯と卵を入れて炒め始めた。ご飯を炒めるとさっき切った野菜と缶詰の肉、塩コショウを入れ、仕上げに醤油を垂らす。たちまち辺りに香ばしい匂いが立ちこめた。


「よし、出来た出来た」


 琉は出来たモノを皿に盛るとテーブルに運び、席に着くと食べ始めた。


「いただきます」


「……何、これ?」


 ロッサに聞かれ、琉は答える。


「……これ? チャーハンだ」


 チャーハンは彼の得意料理である。船の上では水が手に入りにくいので、こういう炒め物が重宝するのだ。シチューのような煮込み料理は上陸した時の御馳走である。琉が食べ始めると、ロッサはその様子をじっと見始めた。目の前で、見たことのない料理を食べる様子はよっぽど珍しく感じるのだろう。しかし、琉はその視線を感じてすぐに食べるのを中断し、言った。


「やっぱ、食ってない人の目の前で自分だけ食うってのは気が引けるな。君も食べるかい?」


「食べるー!」


 琉はもう一枚皿を取り出すと鍋に残った残り(いつも二人前は食う)を盛りつけて彼女に出した。


「いただきまーす! ……おいしー!!」


「美味いか? それは良かった。人に飯を振舞うのは久しぶりだからね」


 琉は一時期コックとして他の船に乗っていたことがある。その経験を生かし、基本的に彼は自炊をしているのだ。そのため、料理には少々こだわりを持っている。

 琉の作ったチャーハンを美味しそうにほおばるロッサ。その様子を見ながら、琉はあることを考えていた。


(見た目や声とのギャップが大きいな。彼女の言動はまるで子供だ。まぁ、記憶がないせいなんだろうな……)


 食べ終わると、琉は使った皿を洗い機に入れて鍋を洗い始めた。洗い終わるとまた案内をし始めた。


「さて、今度は操舵室に案内しようか」


 琉はロッサを連れて操舵室まで行った。


「基本はここで作業だね。今は自動操縦だからやることないけどさ。…こら、勝手にスイッチをいじるんじゃない。まぁ、反応しないけど」


 ロッサはキョトンとしていた。さっきの扉のスイッチは反応したのにこっちは何も反応しないからだ。


「この船は俺の“声”がなければ動かない。他人には無理だってことだ。……そうだな、ちょっと待っててくれないかい?」


 琉は少し前に出た。そして、


「チャートマップ・ディスプレイ!」


 そういうなりスイッチを押した。すると画面に海図が映しだされた。


「この赤い点が今乗っているカレッタ号。この白く光っている点が港だ。一つの島に一つはあるぜ。今はこの一番近い奴、ハイドロ島に向かっている」


「ハイドロ……?」


「あぁ、そういう名前の島だ。俺の生まれ故郷でね、君にあげた水はここで沸いたモノだぜ。……そうそう、さっき一番近いって言ったけど、着くのは多分明日の昼ごろになりそうだ」


 説明しておかねばなるまい。この物語が繰り広げられる世界はその約9割が海に覆われており、人の住める場所はごく一部である。かつて高度な文明が栄えていたことは判明しているのだが、その証となる遺跡は皆海の底に沈んでいる。また、遺跡の大半は島から離れており、探索してる間は陸に上がることすら出来ない。

 そのため、遺跡探索船はいくら小型でもその中で十分暮らしていけるだけの設備が不可欠である。実際琉も、上陸するのは実に1週間ぶりのことであった。


「今日はもう寝た方が良い。久々に歩き回って疲れただろう? 明日は俺の故郷を案内するからね、楽しみにしててくれ」


 琉はそういうと、ロッサを再び部屋まで連れていった。


「そうだな、ふとんの敷き方だけ教えておくか。ちょっと見ててくれ」


 琉はロッサの部屋で、押し入れからふとんを取り出すと広げ始めた。


「さっきも言ったけど、この中で寝ると良い。石の中よりはずっと良いはずだ。……って、気が早いだろいきなり入るとか……」


「ふかふか~。気持ち良い~。ねぇ、琉も入る?」


 思わぬことを言われ、琉は狼狽した。


「えぇっ!? あの、その、それは」


「どうしたの?」


「ふぇ? いや、その……おやすみ」


「おやすみ~」


 琉はそそくさと部屋を出た。


(お、落ち着け俺……。しかし無邪気さ故とはいえ、あの体つきと声でふとんの中に誘うとか破壊力ありすぎだろ常識的に考えて……。って、何考えてんだ俺!?)


 しかしそれより彼には気になっていることがあった。ブリッジに戻った琉は一人考え事を始めた。


「ハルムを食らう存在……。彼女は本当に人なのか? ハイドロに戻ったらアイツに聞かないとな……」


琉の過去が少し明らかになりました。

しかし彼はウブですねw 自分で言うのも何ですが。

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