『遺跡の中で見つけたモノ』 その4
持ち帰った棺の蓋に書かれた謎の文章。中に入っていたのは謎の赤い液体。突然動き出したこの液体は何なのか。そして琉の運命やいかに。
そんな琉の必死の叫びも届かず、液体の動きはますます活発になっていく。ゲルは体を持ち上げ、徐々に人の形を成してゆく。
やがて動かなくなると、今度は徐々に色が付いていく。琉はパルトネールを後ろに隠し、スイッチに指を当てて様子を見ていた。液体は真っ赤で半透明な人の形から、白い肌で長いブルネットの髪を持つ非常に端正な顔をした女性へと姿を変えた。どこから湧いたのか、体には真っ赤なドレスのようなモノを羽織っている。
「ほえー!? これが本来の姿か? ……ふつくしい……」
琉はため息をつきながらそう呟き、恐る恐る近付いた。近付いて見てみると、むっちりとした非常に官能的な体つきなのが伺える。彼女は目を閉じたままだった。こちらにまだ気づいていないらしい。
「何はともあれ戻ったようだ。しかし、生きてるんだろうか? あの文によれば“目覚める”とか書いてあったよな。…それにしても凄い体つきだ。あれだけの年月でよくやせ細らなかったよな。…まだ目を覚ましてはいないのか。……そうだ、生きてるかどうかを確認するんだ。心臓が動いているかを確認するんだ。何も嫌らしい事なんかないぞ、俺は…」
琉は自分で自分に何かを言い聞かせながらそっと彼女の胸に手を伸ばした。脈を見るなら他にも方法はあるというのに、男と言うのは全くもって悲しい生き物である。だが琉の手が触る寸前、彼女は突然にその真っ赤な目を開いたのであった。
~回想終了~
彼はそれまでロッサに何があったのか話し終えた。もちろん、ごく一部を除いて。
「それで、君の名前は……」
「ロッサ。ロッサ・ヴァリアブール」
そうだ、わたしはロッサだ。彼女は確信した。だが、
「わたしはこの中で……? ……!?」
彼女は頭を抱えた。何かが、何かがない。頭の中に、何か大切なモノがない。
「どうかしたのかい? ……んな!?」
ロッサは琉の両腕を掴んで詰め寄った。
「教えて、わたしはどうしてこの中で眠っていたの? わたしに一体何が起きたの? わたしは一体これからどうすれば良いの!?」
「そう聞かれましても、当方は一切感知しておりません、すみません、ごめんなさい、許して下さい、おねがいですからゆさぶらないで下さい、その手を離して下さい、痛いです痛いです、腕が痛いです……」
こんなことを聞かれても、琉には答えようがない。しかしロッサにはこれ以外の方法は思い浮かばなかった。
「ご、ごめんなさい……。うぅ、どうしよう。本当に、本当に何も思い出せないよぉ……」
これからどうすればいいのか分からず、自分の事が名前以外全く分からないという不安。彼女の頬をふと涙が流れた。するとそれを見た彼が言いだした。
「あのぅ……。さっきの話聞いてたら分かると思うんだけど、俺って遺跡の探検が仕事なんだよね。多分君が暮らしていた時のモノは皆海の底だと思うんだよね。つまり何が言いたいかっていうと……」
彼は一端間を置いた。そして、
「一緒に、来ないか?」
「え、良いの……?」
「ああ。それに何より、他に行く場所はないんだろう?」
こうして、ロッサと琉の海底遺跡を巡る旅が始まったのである。
~次回予告~
「こいつは“ふとん”だ。俺個人の考えでは、人類の生み出した至高の宝……と言ったところか」
「すごーい! 琉とわたしのそっくりな人がこっちみてるー!」
以上がニコゲーにUPした文章です。
章の終りには、今回のように次回予告を入れる予定です。