表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Mystic Lady ~復活編~  作者: DIVER_RYU
第九章『琉は見た! メンシェ恐怖の秘密』
35/40

『琉は見た! メンシェ恐怖の秘密』 その3

“神の力”によって、巨大な怪物と化した神父。アードラーを破壊され、ロッサもケガを負い、苦戦を強いられる琉。と、そこに、一筋の光が相手の持つ槍を粉砕した!!

 槍を失った神父が後ろを向くと、そこにはカレッタ号の甲板で巨大な弓を構える姿があった。長い金の髪を棚引かせ、細く鋭い目が敵を捉えている。


「もう一発いかがですか、神父さん!」


『貴様! アルヴァンの分際で我々に弓を引くか!!』


 光の正体は、船で待機していたジャックの放った矢であった。アルヴァンは特殊な矢を放つ弓を得意としており、独自の幻視術と組み合わせることで非常に高い命中率を誇る。今放った光の矢は強力な破壊力を秘めており、刺さった標的を粉砕する力を持っている。ジャックは更にもう一本矢を取り出すと相手の腕目がけて放ち、盾状の殻を破壊した。


「ジャック、助かるぜ! ……って危ない!?」


 腕の装甲まで破壊された神父は船に向かって歩き出した。すぐさま船内に駆け込むジャック。相手は角から炎を吹き出した。しかし間一髪、船はシールドを展開したために炎攻撃は防がれた。


「琉……第三の目で見たら分かったんだけど、相手はさっきの石板の力で姿を保っている。だから、胸にあるあの石板を壊せば、きっと……」


 ロッサは琉の腕から体を起こすと、彼に言った。


「お、動けるようになったか? 体も元に戻ったか、早くなったな! ……なるほど、さっきの石板ね……。しかし、どうすればあそこまで……」


「大丈夫、わたしにまかせて……」


 ロッサは再び背中から翼を出し、琉を抱えて地面を蹴る。たちまち空に飛び上がる二人。相手は船に炎を吹き付けている。このままではシールドが破られるのは時間の問題だ。


「くそ、このままじゃやられるな。ようし……」


「琉、ここはまかせて」


 そう言ってロッサは相手の背後から近づき、体をひねるとその脚が長く伸び、相手の側頭部に強烈な回し蹴りを放った。蹴りが当たった瞬間、頭の装甲が砕け散り、相手は大きな音を立てて倒れこむ。ロッサが体勢を戻すと同時に脚も元通りの長さに戻り、スカートの中に収まっていった。


「……よし、でかしたロッサ! あとは奴の石板を……」


 琉はパルトネールにトリガーパーツを取り付けてシューターに変え、更にパーツに着いたスイッチをいつもの“P”から“B”に切り替え、両手で構えた。


「ロッサ、今から撃つ奴は反動が大きい。気をつけてくれ」


 神父は立ち上がると、こちらを見据えて近づいて来た。さっきの蹴りで頭の装甲どころか角までも折られており、相手は武器のほとんどを失っている。装甲の残っている腕を振り上げ、足音を響かせ走る神父。その近づいてくる神父を見据え、その場でじっと構える琉。船から離れるように飛び、相手を誘導するロッサ。琉は船と相手、そして自分との距離を目分量で測り、銃を構えるとそっとその引き金に指を掛けた。たちまちその銃口が青白く光り始める。それと同時に、ロッサの動きも止まった。


「3……、2……、1……」


 近づいてくる敵。銃を構える琉。チャンスは一瞬。


「よし! パルトブラスターッ!!」


 琉は叫びとともに引き金を引いた。たちまち銃口から青白い光弾が放たれ、その反動で二人は若干後ろにのけぞった。放たれた光弾は石板を砕き、そればかりか相手の殻を粉砕して突き抜けた。


『ば、馬鹿なッ……! この私が、このような者にやられるだと……!?』


 石板を砕かれた相手は全身にヒビが入り、その場で音を立てながら砂状に崩れて消滅した。消滅した後には、気を失った神父が一人浮かんでいる。


「ふっ、相変わらず物騒な威力だぜ……。仕方ない、上げといてやるか」


 琉はロッサに言うと、神父を拾って岸に上げた。


「俺に“前科”は不要だぜ、と。しかし……」


 神父の次はアードラーの残骸を拾いつつ、琉は言った。


「また修理か、このままじゃ赤字だな……。かと言って、サポートメカなしだと仕事キツいんだよなぁ」


 ロッサにも手伝ってもらい、琉はアードラーの残骸を船に運び込んだ。


「彩田君! 大丈夫だったかい!?」


 船に戻った琉に、ジャックが話しかけた。


「助かったぜ。アンタが来てなけりゃ俺はアードラーどころかカレッタともお別れすることになる所だったからね! いや、そもそもこの世とお別れするところだったか」


 琉はカラッとした調子でそう言った。


「さっきのジャック、カッコ良かったよ!」


 ロッサにそう言われ、ジャックは頬を赤らめた。


「さて、オキソまで帰るか! また色々と準備しないといけないしな。でもその前に……」


 琉がそう言うと同時に、彼の腹から見事な音が鳴った。


「飯だ、飯! 朝飯にするぞー!!」


「おーっ!!」


 こうして平和な時間が戻った琉達一行。しかし腹が減っては作業は出来ない。自動操縦に切り替えると、琉は先頭を切って食堂に向かったのであった。


危機を脱した二人。それにしてもメンシェ教ってメンシェ“狂”でもありメンシェ“恐”とも言えますね。自分で作っといて何だと言われそうですがw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ