『遺跡の中で見つけたモノ』 その3
ハルム(怪物)の一種“デボノイド”の襲撃をかわしてまんまと宝を持ち帰ることに成功した琉。彼の持ちかえったモノは何なのか。
こうしてまんまとお宝を手に入れた琉は海面に浮上した。そして、早速蓋を開けようとしたのだが……。
「ぐっ! ……何だこれは、ぐらついているにも関わらず蓋が開かないぞ?」
棺には不可解な力が備わっており、少しだけ蓋を浮かす事は出来るものの開ける事がままならないのだ。しかもこの棺、さっきまで普通の石の箱だったのに、回収してみたら掘られた字が赤く染まっている。匂いからしてもさっき斬り倒したハルムの血だ。それが掘られた字に入り込んで結晶と化しているのだ。
「こんなところに技術を使うとはな。思いもよらぬ宝を見つけたもんだぜ。しかし蓋の血は一体どういうことなんだ? おかげで読みやすくなったのだが」
琉は解読ソフトを入れたPCを開き、棺とにらめっこを始めた。専用の機械で蓋に書かれた文字をスキャンすると、PCの画面にその文字と訳文が映しだされる。
「何々、中の人は……ロッサ・ヴァリアブールっていうのか」
『私の愛すべき存在、ここに眠る』
「おお! やっぱり棺桶だったか!! これならしばらく食っていくのに困らないな」
琉は一人ガッツポーズをとった。なにせこの棺桶なら、蓋の技術と副葬品と中の人で荒稼ぎ出来るからである。しかしこの次に書いてあった内容はとても琉自身の、いやこれを読む我々の常識でもとても不可解なものであった。
『力ある者がこの棺に挑み、彼女を解き放つその時まで』
「……あん? 何これ、荒らされることが前提か? いくら生前が女性で、仮に超が付くほどの美人だったとしても、死んじまったんじゃ意味ないだろ常識的に考えて。何処かの童話の変態王子でもない限り誰も喜ばないぜ。最も、俺みたいに金目当てで漁る奴は別だがな。……おっと、まだ続きがあるな。どれどれ……」
『この棺を外まで運び出せ。運び出したら外で棺を狙うハルムを殺し、その血で棺の字を満たせ』
「アキサミヨー(なんてこったい)!? 今日のハルム大発生の理由はこいつか! 全く、あぶねぇ宝を掘り当てたモンだな……。字の内容と言い、恐ろしいってレベルじゃねーぞ!! パルトネールやラングアーマーのない時代だったらどうなってたことか」
危険な宝を掘り当てた事に今さら気が付いた琉。しかし、お持ち帰りしたからにはちゃんと面倒を見なければならない。そもそもここまでのリスクがあるならそれ相応のメリットがあるに違いない。そう勝手に解釈して、金に目のくらんだ琉はさらに解読を進めた。
『血を捧げし後は一杯の清水を与えよ』
琉は奥から水を持ってきた。この水、彼の故郷に沸く水である。普段は海水を真水に変えて使うのだが、たまに故郷に帰るとこの水を瓶に汲んでくるのだ。しかしどうにも使うのがもったいないので、結局清水の瓶がたまる一方なのだが。
「どうだ、うちの水は。他の船じゃ飲めないぜ~!」
なんだかんだで情が湧いてしまったらしい。ほぼ確実に金が入ると分かった今、琉は棺の解明を半ば楽しんでやっていた。……ついさっきまでは。
清水をかけると棺からギシっと音がした。。
『蓋を開け、そこに一輪の薔薇を与えよ』
さぁ、遂に対面である。琉は蓋を持つとそのままこじ開けた!
「!? な、何じゃこりゃぁーーーーー!!」
そこに入っていたのは大量の、ドロッとした謎の赤い液体であった。見ようによっては血だまりにも見える。琉は薔薇(何故か所持していた)を片手に絶叫した。副葬品なんぞ入っておらず、そこに人の面影などほとんど見えない。一体ここに入っていた女性……ロッサという人の身に何が起きたのだろうか?
「これ以上、ビビらせないでくれよ……」
琉はそう言うと、液体の中に薔薇を沈めた。液体の中で薔薇の花弁はほぐれるかのように散っていき、液体の中に消えていった。
「薔薇を……食った!?」
その直後の事である。ゲルが突如沸騰したかのように動き出した。まるで眠りを妨げられた大型ハルムが怒り狂うかのように。いよいよ恐ろしくなった琉は近くにあった柱の陰に隠れ、わなわなと震えながらその様子を見ていた。
「こ、こんなハルムなんざ聞いたも見たこともことねぇよ……。罠か? 罠なのか!? お願いだ、寝るのを邪魔したことは謝るから、大人しくなってくれ……ヒィッ!?」
引き続き、まとめてUPします。
第2章以降はぼちぼちとUPしていきます。