表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Mystic Lady ~復活編~  作者: DIVER_RYU
第八章『ミッション・インポータント』
29/40

『ミッション・インポータント』 その1

~前回までのあらすじ~

僕の友人、彩田琉之助は海底遺跡“エリアβ”でロッサさんを発見しました。永い眠りから覚めたロッサさんですが、記憶がありません。そこで彩田君は彼女とあちこち回ることにしたのですが……。僕がオークションに出したルビー、なんと彼女の目だったんです! しかも落札した人があの忌々しいメンシェの奴らによって殺され、彼女の目は奪われてしまいました。そこで僕達はあの外道どもを追いかけることにしたのですが……。

「よし、着いた。戻れ、アードラー!」


 琉は岸に着くと、パルトネールに向かってそう言った。すると、アードラーは船に向かって走っていき、やがて見えなくなった。


「アードラー、喋らないの?」


 ロッサが聞く。


「ロッサ、アードラーは“機械”であって生き物じゃない。まぁ、ずっと一緒にやってきた相棒ではあるがな」


 琉はそう答えた後、懐から携帯電話を取り出した。画面には、この島の簡単な地図が描いてある。


「さて、これがジャックの描いてくれた教会への地図だ。この道にそっていけばたどり着くだろう」


 

~数十分後~


「やっと着いたな……が」


 教会の裏口。琉とロッサは木陰に隠れていた。扉の近くにはフードの男が二人、槍を片手に立っている。どうやら見張りのようだ。そして扉の横には紐の垂れ下がった装置が二つ。この世界の防犯装置である。あの紐をひっぱると建物中にサイレンが響き渡り、扉という扉全てロックされてしまうのだ。つまり実質的に見張りは4人いるともいえよう。


「ロッサ、あのフードのどっちかを眠らせておいてくれないか? その間に、あの装置を壊しておく。壊したら、もう一人を捕まえるぞ!」


 ロッサが破壊した場合、その手を介して電流が流れる危険性がある。琉はロッサを男達の近くまで忍ばせると、そっと合図をした。途端に茂みから赤い液体が飛び出した。


「何だ、あれは!? ……うがッ!!」


 液体は男の鳩尾を突き、気絶させた。その直後、


「パルトブーメラン!」


 茂みから棒状の物体が飛び出し、回転しながら2つの装置を貫いた。装置は見事に破壊され、煙を上げている。物体の軌道は弧を描き、元の茂みに戻ってゆく。


「こ、今度は何だ!?」


 フードの男は、物体の戻ってゆく茂みに向かって槍を構えた。しかしそのフードを、何者かが掴みあげる。


「ふふふ……こんばんは」


 艶っぽい声が響く。男が慌てて振り向くと、掴んでいたのは赤い目をした長身の女であった。


「お、お前は!! あ、あ、あく……」


「あく……なぁに?」


 女は笑顔を浮かべたまま聞いた。一方男は怯えきり、


「悪……魔……うッ!?」


「暴言はそこまでだ。こっちに来てもらうぜ」


 男の腹を衝撃が走った。殴った者――琉は男の腹から拳を引くと、女――ロッサと一緒に茂みまで運び込んだ。


「さて聞こうか。“悪魔の瞳”は何処にやった?」


「そ、そんなこと言えるか……ひぃっ!?」


 琉が目で合図するとロッサの手が赤黒くなり、男の顔を掴んだ。


「だんまりを決め込むなら彼女の“養分”になってもらうぞ? 丁度ロッサはお前さん達にやられた腕を再生したばっかりでな、その分食わないといけないのさ」


 琉はふだんよりも低い声で脅しつけた。


「ふふふ……おいしそう……」


 ロッサが軽く舌舐めずりしつつ男を見る。その仕草は恐ろしく、かつ今までのロッサのキャラでは考えられないほど妖艶なモノであった。


「こ、殺すんならさっさと殺せ!」


 琉とロッサに押さえつけられたまま、男は叫んだ。


「おっと、命は大切にしないと駄目だぜ? それに、ただ死ぬんではなく悪魔に力をつけさせることになるんだ。それじゃ神様んとこには行けまい?」


「うぅ、くそぅ……」


 男はうつむいた。


「だが、お前さんはラッキーだ。“悪魔の瞳”と本棚の場所だけ教えてくれたら逃がしてやる。さぁ何処だ!?」


 琉はそう言った後、ロッサと目を合わせた。途端にロッサの指が伸び、男の顔全体に巻き付いて締め上げた。


「早く言わないと彼女に食われちまうぞ? さっさと言え!!」


「わ、分かった、言う……だから離してくれ……苦しい!」


 琉が再び目を合わすと、ロッサは指を解いた。


「“悪魔の瞳”なら3階の資料室だ! 本もそこにある……」


 琉は片手で携帯電話にメモを打った。


「本当だな? 嘘だったら教会ごと火をつけて丸焼きにするぞ!!」


「ほ、本当だ! う、嘘なんかいおうもんなら教義に反する……」


 メモを打ち終わると琉はロッサに合図し、男を解放した。


「そうかい。それだけ分かったらOKだ。それじゃ!」


 琉とロッサは裏口に向かって歩き出した。


「う、うぅぅ……」


 男はナイフを取り出そうと懐に手を入れていた。だが、


「フリムン(馬鹿者)が。大人しくしときゃ良いもんを。パラライザー!」


 オレンジ色の閃光が額に刺さり、男はたちまち動かなくなった。  


「このローブはいただいておこう。本体は何処かへ放り込んでおくか」


 琉は先程撃った男からローブを引っぺがすと、素早く羽織ってそのフードを深くかぶった。ロッサはもう一人の男のローブを着こむと、その男の顔を見てそっくりに擬態した。更に喉を触り、自分の喉を軽くなでると、


「あ、あ……。よし」


 彼女の声はそれまでの艶っぽい女性の声から色気も減ったくれもない男性のそれに変わった。


「ほう、声帯を触ることで声も変えられるのかい。それにしてもロッサ、さっきはの演技上手かったねぇ!」


「そう? でも何て言うか……楽しかった」


 ロッサは声と顔を元に戻してそう言った。そんな会話を交わしつつ、琉とロッサはフードをかぶってた男達を縛り上げて茂みの奥に放り込んだ。そして一呼吸すると、二人は教会の中に入って行ったのであった。


今回のあらすじはジャック君にお願いしてみました。メンシェとなると感情的になるのは許してやって下さい。

しかし琉さんはそうですが、言われた演技をノリノリでこなすロッサさんも結構Sっちいところがありますね~。あぁ怖い怖いw

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ