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Mystic Lady ~復活編~  作者: DIVER_RYU
第七章『ルビーはヴァリアブールの夢を見るか』
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『ルビーはヴァリアブールの夢を見るか』 その4

港で激突した琉一行とメンシェ教! しかしロッサが負傷し、肝心な第3の目は持ち去られてしまった……。

 茫然とする琉とジャック。ロッサはさらに続けた。


「わたしの体、切られたくらいならすぐ元に戻る。けど、雷が当たるとそこから黒くなって戻らなくなる」


 説明せねばなるまい。ロッサの種族であるヴァリアブールの体は特殊なゲル状の細胞で出来ている。この細胞は自在に硬さを変えて液状になれるほか、強い再生力を持ち様々な役割の器官に変えることも可能である。生物が好きな方はプラナリアの万能細胞を連想してくれると分かりやすいだろう。その更に強力なモノだと考えてくれると分かりやすい。そのため、物理的な攻撃には滅法強いのだ。

 しかしその細胞は、特に液化している最中は非常に電気を通しやすい。例えわずかな電流を浴びただけでも、多くの細胞が一度に駄目になってしまうのだ。生命機能を停止した細胞は黒い液状となり、やがて煙を発して消滅する。もし体の中心に今回の攻撃が命中した場合、電流が一気に全身を駆け巡り、彼女自体が消えてしまう――即ち“死”に至るのである。


「……確かに、あの時あちらが撃ったのは電撃砲だった……。聖弾だけじゃなくてあれにも気をつけないとな」


 琉はそう推測した。電撃砲とは、この世界の大抵の船に取り付けられた小型の武器である。海に潜むハルムの大半は電気を苦手としており、主に小型のハルムを一掃するのに使われる。当然だが、カレッタ号にもこれは付いている。

 琉はすぐさまレーダーを出した。オキソ島を表す白い点と、カレッタを表す赤い点。そしてレーダーの端目がけ、緑の点が猛スピードで駆けてゆき、消えた――メンシェの船である。


「なんつう速さだ。普通の高速船でもあそこまでのスピードはそうそうでないぜ。こいつ、エンジンを違法改造してあるな」


 琉がその方向に舵を切ると、いつの間にか幻視術の構えをとっていたジャックが言った。


「彩田君、奴らはカルボ島に向かっている。ちょっと先回りして、島に探りを入れてみるよ」


 カルボ島には教会がある。相手はここを本拠地としているのだろう。


「ジャック、すまんな……。せっかく里帰りしたのに、付き合わせちまって」


 琉が言った。するとジャックは構えたまま言った。


「いいや、僕の方こそヘマをしたし、何より自分で見つけたモノの行方を見届けたいんだ。……あった、ここが教会だな」


「ジャック、そのまま実況頼む。……ってロッサ、背中に何か付いてるぞ」


 琉は、横になっているロッサの背中に何かがくっついているのに気がついた。紙である。そこにはこう書いてあった。


『悪魔の瞳、奪取。明日の23:00、紅蓮の裁きにかけて浄化する』


 これを読んだ琉とロッサは震え上がった。


「つまり、焼かれるってこと!?」


 いつの間にか、ロッサは相手の文章の“読み方”を覚えたらしい。


「今は……7時か。潜入するなら今日の夜中だな。そのためには……」


 琉は外を見ると言った。


「飛ばすぜ。二人ともどこかに掴まってろ! ……待ってろよ、メンシェの犬どもめ……。ロッサの目と本はいただくぜ!!」


 一気にエンジンをかける琉。オキソからカルボまでは約400マイル。30ノット出るこの船なら、9時間もあれば着くだろう。幸い燃料なら満タンである。因みに1マイルは1852m、1ノットは1852m/時である。


~8時間後~

「……よし、ここまでくれば後は自動操縦で行けるな」


 琉が操行すること3時間。途中でジャックに交代して3時間。またしても琉が握って2時間。自動操縦に切り替えると、琉はロッサに言った。


「良いかい、ロッサ。この船が直接港に入れば大騒ぎになる。よって、港のある位置からは正反対のこの岸から上陸するぞ。丁度良いことに、ここから行けば教会の裏口にたどり着く。だが……」


 琉は海図を指差しながら言った。


「この辺りは遠浅だ。この船では近づけない。仕方ないからアードラーに乗ってゆこう。しかしアードラーは二人までしか乗れない。よってジャック、お留守番および通信頼むよ」


「分かった。気をつけてね」


 琉とロッサは後部甲板に出ると、アードラーを水面まで呼び出して上に乗った。アードラーのライトが、夜の海を照らしている。


「よし、ロッサ。しっかり掴まってろよ……。こいつは結構出るぜ!」


 眠らない島と呼ばれるカルボ島だが、それはあくまで街中の話。ちょっと街から離れたなら、島本来の姿がそこにある。その郊外の高台に、一つだけポツンと建つ建物。そこがメンシェ教の教会である。 琉とロッサはそこを目指し、アードラーを走らせる。ロッサの体と記憶を元に戻すために。そして何より、愛すべき存在を虐げる輩にギャフンと言わせるために、彼は一夜限りの義賊に身をやつすのであった。


「予告なしの怪盗……いや、これじゃただの泥棒か」


「怪盗?」


~次回予告~


「俺のことは良いから翼を出して逃げろ!」


「これが……わたしの使命……?」


今回は次回に丸投げです!w ただでさえ更新遅くなったのに申し訳ありません。

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