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Mystic Lady ~復活編~  作者: DIVER_RYU
第七章『ルビーはヴァリアブールの夢を見るか』
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『ルビーはヴァリアブールの夢を見るか』 その1

~前回までのあらすじ~

 海底遺跡で見つかったわたし。わたしを見つけた男の人、琉。彼はわたしのために遺跡を回ることを決意しました。それで料理を作って食べさせてくれたり、わたしをいじめる怖い人達と戦ったり、とにかく色々なことをしてくれます。この間、彼の友達であるジャックと会いました。彼も優しくて親切な良い人です。……でも、どうして皆わたしの“胸”をじーっと見てくるのでしょうか? 何か、変な所でもあるのかなぁ……。

~滞在十日目~


 あれから毎日、琉は温泉に通った。そのおかげか、彼の怪我は順調に回復していき、ついに七日目には肩を叩いた程度では痛まなくなった。怪我が回復すると同時に、琉は施設でリハビリを重ねていた。こちらもロッサの助けで、琉はみるみるうちにかつての“動き”を取り戻していた。


「彩田君、気分転換に出かけてみないかい?」


 その日のリハビリを終えてリラックスする琉に、ジャックが声をかけた。


「こんなモノがあるんだけどさ」


 そう言って、ジャックは琉にパンフレットを渡した。


「オキソ・ミュージアム・オークション? ……出品かい?」


「そうさ。このルビーなんだが……」


 そう言って、ジャックはパンフレットのあるページを開いた。そこに載っていたのは、目玉のような大きさの球型の見事なルビーであった。ジャックが話すには、これを船に乗っていた時に発掘したという。それを出品することになったのだ。


「……これ、どうもただのルビーじゃない。何か、妙な力を感じるんだ。ただ、どこに持っていっても解析出来なくてね……。結局こうして出品されることになったワケなんだ」


 ジャックは船を追い出される際、自分の掘り出したモノだけを抱え、半ば“逃げる”かのように去ったという。自分の食いぶちを繋ぐためというのもあるが、理不尽に自分を追い出した船長への仕返しという意味も含んでいた。


「じゃあその船長、今頃悔しい思いをしているだろうな」


「全くだ! 僕を追い出したこと、後悔しているだろうよ」


 そんな二人の会話をしり目に、このルビーを凝視する者がいた。今作のヒロイン、ロッサである。気付いた琉はロッサに話しかけた。


「どうしたロッサ。……やっぱり、気になるかい?」


 ロッサはパンフレットのルビーを指差し、こう言った。


「何か、これに似た赤くて丸いモノを見た覚えがある。ただ、それがルビーだったかどうかは……」


 そう言いながらも、ロッサはしきりに首を傾げていた。“赤くて丸いモノ”が思い出せても、それが何だったかまでは思い出せないのだ。


「なるほど、ルビーに似た赤い珠に覚えがあるのか。……何か思い出の品かもしれないな」


「しかしこれを引き上げたのはエリアδ、エリアβからは数百海里も離れた所だ。違うモノだろうね。しばらくエリアβを漁った方が良いかもしれないよ」


 かくして、オークション会場に向かう三人。会場には実に様々なモノが出品されていた。海底遺跡で見つかった財宝、アルヴァンの高名な画家が描いた絵、ディアマンの有名な彫刻家の作った作品等、いくつものお宝が出品されている。その中でもジャックの引き上げたルビーは一際眩い輝きを放っていた。


「ねぇ、琉。この人達は一体何を言っているの?」


「良いかい。皆が言っているのはそのモノにつけた“値段”だ。最終的に一番高い値段をつけた人がそれを買うことが出来る、それがオークションのルールなんだ」


 ロッサは、モノの値段が会場に響く風景が不思議に映るらしい。


「琉は何か買わないの?」


「とんでもない! そんなお金持ってないよ!!」


 そうこうしているうちに、ジャックのルビーが遂にかけられる時が来た。


「おぉーっ!!」


 ルビーが会場に登場すると、たちまち客席から歓声が上がった。


「エリアδで見つかったルビー、1000万 C(チャリン)から!」


 司会の女性がそう言うと、会場からは一斉に声が上がった。因みに“Cチャリン”とは、この世界におけるお金の単位のことである。


「1050万!」


「だったら1200万!」


「よし、1500万は出そう!!」


 次々に高額な値段が会場に響き渡る。そのたびに、ルビーの値段はどんどん膨らんでいく。それと同時にジャックの顔がニヤついていった。


「5050万でどうだ!」


「いいや、5250万ッ!!」


 ここで会場の声が静まり返った。ジャックのルビーは5250万Cで落札されることとなり、上機嫌なジャックはこの日、琉とロッサにアルヴァンの高級料理をご馳走することにしたのであった。


「相変わらずアルヴァンの山菜料理は旨いねぇ~!」


「しゃきしゃき……」


 主に海で活動する琉にとって、山菜やキノコをメインとするアルヴァン料理は大のご馳走であった。


「僕も久しぶりに食べたかったんだよね。なんて言うかさ、いつも海にいると無性に食べたくなるというかさ」


 この時、三人はこれから起こる事件の予感など、露ほどもないのであった。


今回はあらすじをロッサに任せてみました。

お金の単位は思い付きです。今回のタイトルもやはりネタですw

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