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Mystic Lady ~復活編~  作者: DIVER_RYU
第六章『Oの島/琉とロッサの湯けむり旅情』
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『Oの島/琉とロッサの湯けむり旅情』 その3

旧友のジャックと再会した琉。ケガがひどい琉は、彼の案内で温泉につかる事になった。※今回キャラ崩壊注意

「さて、ここは男しかいないから聞くけど……」


 服を脱ぎつつ、ジャックは琉に聞いた。


「彼女、何㎝あるの?」


「170cmくらい、だな」


 琉はにやつきながら答えた。


「170cm!? って違う、身長の事じゃない。……こっち」


 ジャックは胸の辺りを両手で押さえて言った。


「分かってるって。……すまん、計ってない。というか、そんな暇なかった」


「何てこったい……」


 アルヴァンとヒトの異性の好みは酷似している。というのも、この二つの種族は混血が出来るのだ。因みにトヴェルクとディアマンの間でも混血が出来る。ロッサの豊満な胸は、ヒトである琉や和雅だけでなくアルヴァンであるジャックまで魅了したようだ。


「あ~ぁ、ここが混浴だったならなぁ!」


「全くだぜ!! ってジャック、この島って確か混浴ないよな?」


 馬鹿げた話をしながら、二人は風呂場に入った。


「アガッ(痛っ)!? しみるー!!」


「ふぇーっ……。大丈夫かい?」


 桶からかかる湯が琉の傷にしみた。


「まぁ、我慢して入れば傷が治るしな」


「これからは1週間に1度はここ来た方が良いかもよ。船もヒトも傷は早めに治さないといかんからね。それにしても、相変わらずハイドロ弁出るんだな」


 琉が時折喋る言語。我々の世界における沖縄方言ウチナーグチに似たモノであるが、この世界ではハイドロ島の方言である。


「逆にそっちは全く出てないよな、オキソ弁」


 オキソ島の方言は、我々の世界で言う関西弁に似たモノである。


「他の島に行ってるとどうもね。ここに帰ったのも実に3年ぶりだし」


 と、その時。横の壁から大きな声が聞こえてきた。


「あれ、さっきの娘さんやんけー! えぇと、ロッサさんやっけ?」


 思いっきり訛りの入ったセリフ。声からして中年女性。琉とジャックなら聞き覚えのあるモノであった。 


「あれは……!!」


「さっきのおばちゃん!? 何で入りに来た?」


 絶句する男二人。それを置いて隣の大声はどんどん喋りだした。


「へぇーっ、これまた若くてピチピチで……。うらやましいわねー!」


「きゃっ!? ちょっと、そんなにつついちゃいや……」


 隣から二人の声が響く。


「ちょっとおばちゃん、何やらかしてんだ!?」


「おい、俺でもまだまともに触れてない彼女のやわ肌を……」


 するとジャックはぷっ、と吹き出した後こう言った。


「ウブで照れ屋なのは相変わらずなんだな」


「う、うるさいうるさいうるさーい!」


 が、彼らの会話は隣のある一言で消え去った。


「うわ、すごいおっぱいしてるやん! 男どもが放っとかないでしょう? ……何㎝あるの、おばちゃんに言ってごらん」


 ごくり、と男湯からは音がした。二人とも壁に耳をくっつけ、その会話を聞き始めたのだった。


「えっと、9……」


「やっぱり! 90以上はあるわよこの胸!! うらやましいわー!!」


 男どもが崩れ落ちた。


「アタビチグァ(この野郎)! 自分で聞いといて話を遮んなー!!」


「おばちゃん、蛇の生殺しは勘忍してや~!」


 二人は訛りむき出しで声を上げた。


「しかし90確実ってことは……あの体型から推測して……Gはあるな」


「ええい、こうしちゃおれん。ここは一つ、直接拝まないとこの荒ぶる欲望は止められへんのや!!」


 ついに本性を現したジャック。折角の美男子が台無しである。彼は湯から上がると壁に向かって座禅を組み、その手で印を結ぶとブツブツと何かを唱え始めた。


「おいジャック、ヌースガー(何する気だ)!? ……なるほど、アルヴァンの幻視術か! よく考えた!!」


 琉はジャックの額と自分の額に指を当て、目を閉じた。この術は壁や霞の向こう、及び遠くの景色を見るというモノであり、アルヴァンに伝わる独自のモノである。そしてこの術の最大の特徴は、自分の見ている風景を他の種族にも見せてやれるというモノなのだ。訓練時代、この二人はよくこれを使って風呂覗きをしていたという。


「……! よし、見えたッ!!」


「俺もだッ!!」


 湯気に包まれた風景。その中に、ロッサの長いブルネットの髪が見える。一糸纏わぬその姿。二人の意識はロッサの前側に回り、その端正な顔が映った。そして徐々に視線を下に落としてゆく。その顔から首、鎖骨と来て、遂に彼女の豊かな胸が描き出す魅惑のラインが見えてきた。が、次の瞬間である。


 ブチッ!


 あと少しという所で突然風景が真っ暗に落ちた。不審に思った琉は構えを解き、その目を開けた。


「何でいきなり見えなくなったんだ? おいジャック、何かあったのか……ってジャック!?」


 そこには大量の鼻血を吹き出し、倒れ込むジャックの姿があった。


「うわッ、デージナートン(大変なことになった)!! だ、だ、だ、誰かいませんかーーッ!?」


いや~びっくりですね~w

琉はまだしも、ジャックがこんな奴だったとは~ww

因みに「アタビチグァ」は、直訳すると「カエル野郎」という意味になります。

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