『遺跡の中で見つけたモノ』 その2
彼女は何故船にいるのか。その訳を琉は語る。
海底遺跡にたどり着いた琉は……。
「こんな狭い入口じゃあ、アームが入らないな。仕方ない、アレを使うか」
そういうなり琉は懐からあるカードを取り出し、手元のスロットに挿入した。すると操舵席の背後にある重くて大きな扉が開く。彼は傍らに置いてあった棒状の道具を持って中に入った。その中でウェットスーツに着替えると、そこにある人の形を描いた壁に背中を合わせた。
「ラングアーマー・セットアップ!」
掛け声とともにスイッチを押すと、たちまち彼の体を黒い粒子が覆う。粒子はたちまち次世代スキューバ装置<ラングアーマー>に変わり、琉の体に装備された。これを着けることにより、人は最深500mまで活動が出来、水中でなら非常に強い力を発揮したり素早く動く事が可能となる。大きく盛り上がった背中には深海作業用の特殊混合ガスの入ったタンクを二つとバッテリーを背負っており、ふくらはぎと腰には小型のスクリューが付いている。水中で会話することも可能な優れモノで、水中でのハンドシグナルを使わずともコミュニケーションをとることも容易となっている。
口元の装備をはめ直すことでバッテリーが起動し、漆黒の装甲にたちまち全身に紅い模様が現れる。このバッテリーは最大で4時間はもつものの、深海での作業による潜水病の対策のために実質は更に短い2時間となる。目の前の床が開き、琉はその場から海中へ飛び込んだ。
「アードラー!」
琉は手に持った棒状の道具のスイッチを押すことで船底に張り付いたエイを思わせる機械を起動し、その上に乗ると遺跡に向かって進みだした。船でも侵入できない箇所には、自分で行くしかない。この時に活躍するのがこの二つなのだ。
琉は遺跡の入口に入って行く。遺跡の中には、船のライトは届かない。そこで彼は先程の棒状の道具、“パルトネール”を取り出して先端の明かりを点けた。遺跡の中には蛇を象ったレリーフが多く見受けられる。一体何の施設だったのだろうか。一本道の廊下を過ぎると、ちょっとした部屋に出た。他に入口は見つからずどうやらここで行き止まりらしい。
(ちょうど良いや。じっくり漁ってやろうじゃないか)
崩れたガレキを取り除き、モノを漁る。漁り始めて30分後。
(外れか? ここまで何もないっていうのは中々ないぞ。もうそろそろ引き返そうかな)
そう思っている時だった。ガレキの下から形の整った“何か”が、出てきたのである。彼は夢中になって周りのガレキをどけ、素早く砂を払った。そこには何とくっきりと古代文字が描かれていたのである!
「よし、こいつ取りだしたら今日は帰るぞ!」
邪魔なガレキを全て取り除くと、彼はその何かを取り出した。見たところは巨大な四角い物体である。しかしよく見ると上の方がぐらぐらしてる。どうやらこれは巨大な箱で、上の物体はその蓋らしい。琉は頭の装置を起動し、調べ始めた。
(ふむ……、タテ190cmでヨコ80cmか。それで古代文字がびっしりと……。何を入れるんだ? まさか棺桶か?)
棺桶を開けるのは少々気が引ける。しかし中には大体において副葬品が入ってる上に、中の死体が残っていれば生物学者が高値を出して買ってくれる。テクノロジーに直接応用は出来ないものの、当時の文化を知るヒントとなる貴重品でもあるのだ。
(ここまで丁寧に埋葬してあるなら王族か何かだろう。こいつは大当たりだ! ……へへっ、がっぽりがっぽり)
取らぬ狸の皮算用ならぬ、開けぬ棺の副葬品算用。琉は棺桶を抱えると、そのままスタコラサッサと遺跡を出た。目的物を手に入れたならサッサと引き返す。この業界の常識である。何故かというと、琉の持つパルトネールから音が鳴り始めたのである。
「何、ハルム!? もう嗅ぎつけてきやがったのか?」
ハルム。それはこの世界の生態系を大半を支配する異形の怪物である。その中には人を襲って食らうものも複数存在するのだ。
「しかも数が異様に多いときたな。……やってやるか!」
実際に遺跡の外には、人と魚を足したような姿をした異形の存在が何十匹も待ち構えており、あからさまに獲物を見る目で琉を見ていた。今にも飛び掛からんばかりの形相である。この琉の目の前にいるハルム“デボノイド”は海底のちょっと複雑な地形になら群れをなして潜んでおり、獲物の匂いを嗅ぎつけるといつの間にか現れるのだ。そしてパルトネールには、そのハルムを探知する能力がある。
「アードラー!」
このまま出たら餌になる。琉は遺跡から出ず、パルトネールを取り出すと外に止めてあったアードラーを起動した。
「アードラー・フィンスラッシュ!」
アードラーのひれから刃が出る。こちらに飛び掛かって来るデボノイド。しかしアードラーのひれにあたった瞬間、デボノイドは真っ二つになり、大量の血を残して消滅した。琉はアードラーを遠隔操作し、入口付近の群れを片っぱしから切り裂いた。たちまち辺りが血に染まってゆく。サポートメカの本来の目的は移動ではなく、ハルム出現時の護衛である。
(よし、今だ!)
琉は棺を外に出すと、そのままアードラーに飛び乗った。残ったハルムがまだ襲いかかってくる。
「パルトネール・サーベル!」
琉はパルトネールを取り出すと、その先端からサーベル状の刃を展開させた。
「邪魔だ、どけッ、ぶるぁああああああァッ!!」
そう叫びつつ、琉は襲い来るデボノイドを次から次へと斬り捨てる。まっすぐにカレッタ号に向かってゆく。ある程度近付いた所で琉は扉に飛びつき、周りをアードラーで守りつつこじ開ける。ハルムの入らぬうちに入り込むと、すぐさまアードラーも撤収させた。ラングアーマーを解除すると、彼は再び操舵室に走る。
「クラストアーム!」
クラストアームを起動した琉は入口に置いた棺をつまみ上げ、そのままお持ち帰りした。周囲のデボノイドにげんこつを食らわせながら。
「よっしゃ、回収成功!」
今までニコゲーにあったモノをまとめてUPしています。
拙い文章ですが、よろしくお願いします。