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Mystic Lady ~復活編~  作者: DIVER_RYU
第三章『流の故郷と旅の支度と謎の宗教』
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『琉の故郷と旅の支度と謎の宗教』 その3

喫茶店で落ち合う琉達3人。和雅の情報により、ロッサを狙う存在に気付いた琉なのであった。

「ところで琉ちゃん、これからどうするんだ?」


 喫茶店を出る際、マスターは琉に聞いた。


「これから両親の墓参りに行く。その後で買い出しだ。仕事だからっていうのもあるけど、しばらくは彼女の為にあちこちの遺跡を回ろうと考えている」


「墓…参り?」


 ロッサは琉に聞いたが、琉は珍しく答えなかった。


「そうか。まぁ、この島に来る機会があったら、また寄ってくれよ」


「そうするぜ。それじゃ!」


「買い出しか。オレも今晩のカップラーメンを買わないとな……」


 3人は喫茶店を出ると、そのまま町を抜けて山に向かった。少し山道を行くと清水が沸いており、更に行くと墓地が広がっている。


「この石、何?」


「これは“墓”だ。この下に、“死”を迎えた人が埋められている。そしてこの墓が……」


 琉はある墓に近付いた。


 彩田家之墓


 墓にはそう記されている。


「親父、御袋……。しばらく会えなくなるから来たぜ……」


 彩田家の長男として生を受けた琉。しかし流の母は彼を産んだ後すぐに死に、以来ずっと父と二人で暮らしていた。だがその父は、琉が20歳の時に肺ガンで病死した。奇しくもそれは、琉がラングアーマーの訓練を終えたまさにその日だったのである。


「ガンが見つかったって聞いて病院に走った時、親父は言ってたな。『訓練放ったらかして俺に会いに来たのか? 馬鹿野郎、俺がいつもいってるだろう! お前は常にお前の夢を追えってな! ……訓練が終わったら、また顔を見せてくれないか?』ってな。あれが今生の別れになるとは……。“親孝行 したい時には 親はなし”とはよく言ったモノだぜ……」


 琉は感傷に耽っていた。


「琉……一体どうしたの?」


「大事な人を亡くした人は、誰もがああなるものさ。特にアイツは……」


「カズ、説明御苦労。でも、いつまでも耽っている訳にはいかないよな」


 琉がそういうと、三人は墓地を後にした。ついでに、近くに沸いている清水を汲み取りながら。


「これからどうするの?」


「うむ、まずはエリアαに向かう。あそこに近いのはカルボ島だ。だから……明日の昼に出れば夕方には着くはずだな」


「エリアαにカルボ島か……気を付けろよ、最近妙な噂を聞くからな」


「噂?」


「あぁ、それも二つある。一つは、どうもあの島はメンシェ教徒が急に多くなったらしいということだ」


 今の琉達には重大な問題である。


「二つ目は、最近エリアαに行った船が帰ってこないらしいということだ」


「何!? 一体どういうことだ?」


 こちらは今も昔も重大な問題である。一体何があるというのか。


「エリアαの近くで、妙な声を聞いたという話がある。恐らく、オドべルスが住み着いた可能性が……」


 オドべルス。探検家に限らず、船乗り全般に恐れられるハルムである。ヒトの女性に似た怪音波を発し、船乗りの精神を操って食らうと言われている。


「そこにメンシェ教が入り込んだなら……一発だな」


「そういうことだろうな。対策はしていけよ」


 琉は買い出し用のメモを出し、書き始めた。


「まずは服だな。ロッサ、さっきの本見て好みの服だけ決めといてくれ。そんでもって食材だ。魚なら彼女が捕ってきてくれるから良しとして、問題は野菜と肉の缶詰、あと米だ。念のため一週間分は買っておくか。…カズ、悪いけど手伝ってくれない?」


「良いぜ! こっちも買い物があるしな」


 琉はメモに買うモノを一通り書くと、ロッサに話しかけた。


「ロッサ、着たいモノは決まったか……ってロッサ!?」


 この場にいた人のうち誰がこんなことを予想できただろうか。ロッサの服はさっきまでの赤いドレス状のモノから一変して琉と似たようなコートのようなモノとなっていたのである。色は琉のそれとは異なり赤を基調としたモノであったが。何故かケープはそのままだった。


「ロッサ、いつもの服はどうした?」


 琉が聞くと、彼女の服はみるみるうちに液化し始めた。


「ぬな!?」


「ワ~オ!?」


 やがてロッサの服は再び形を成し始め、さっきまでの服に戻っていった。


「とりあえず、もう1回……」


「おっと、それ以上はいうな。……ロッサ、今のは人前でやるなよ? 着替えは誰も見てない所でやるものだ。幸い誰も見てなかったようだが」


 とりあえず近くの公園のトイレにロッサを連れて行き、着替えを済ませると琉は再び街に出た。


「服の金が浮いた分米に回せるな。しかしどういう力なんだよ全く……」


 琉達は市場のあちこちで食べモノを買いあさり、次々に船に運び込んだ。


「これはにんじん。これはキャベツ。これは缶詰だ」


 琉はロッサに聞かれるたびに答えた。


「こっちも買ったぞ~!」


 野菜と缶詰を一通り買うと、和雅が米をかついで持ってきた。


「ありがとう。後はこっちに渡してもらえば……」


「こっちで待ってた甲斐があったな!」


さて、待ち構えていたのは何者か? 第三章、明日完結です!

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