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Mystic Lady ~復活編~  作者: DIVER_RYU
第三章『流の故郷と旅の支度と謎の宗教』
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『琉の故郷と旅の支度と謎の宗教』 その2

“情報屋のカズ”こと桜咲和雅と合流した琉達。一行が向かった先は……。

 琉たち一行が着いたのは喫茶店だった。


「ここは喫茶店だ。まぁ、相談事をするにはうってつけの場所だな。何よりここのコーヒーとケーキは美味いんだぜ」


 琉はロッサに説明すると中に入った。


「いらっしゃい。お、琉ちゃんとカズちゃんじゃないか」


 中に入ると声の低い初老の男性が声を掛けた。この店のマスターである。


「マスター、場所を借りるぜ。あとコーヒー三つ」


「かしこまりました。……ん? そこの女性は一体?」


 マスターはロッサに気付くと琉に聞いた。


「この島に初めて来た人だ。……そうだな、せっかくだし何かお勧めのケーキは頼めるかい? 三つお願い」


「よし、まかせた」


 マスターにコーヒーとケーキを注文すると、琉達は席に着いた。席に着いた琉は和雅にワケを話した。


「ふむ……。ヴァリアブール、腕が変形、フード被った男か……。ってフードを被った男だって?」


「そうだ。奴ら、俺のカレッタ号に勝手に上がりこんできた上にロッサをとっ捕まえようとしたんだぜ。……触ってみたいのは分からんでもないが、レディはもう少し優しく扱うモンだろ常識的に考えて……」


「相変わらず紳士だな、色んな意味で。」


 途中で少々ふざけているが、琉の顔付きは真面目だった。


「本当はパルトパラライザーじゃなくてパルトブラスターをぶっ放してやりたっかたんだけどね……」


「それはやめとけ、いくらなんでも威力がシャレにならないから。そうそう、“ヴァリアブール”という言葉で思い出したのだが……」


 そう言って、彼はある小さな本を出した。


「何々……メンシェ聖典?」


「“メンシェ教”……最近出てきた宗教だ。こんなのを街中で配ってんだが、ちょっと見てみろ」


 琉は本を開いた。この宗教の特徴は『人類至上主義』である。人類こそが神と近いなのだと説いているのだが、実際はそれを説く教祖こそを崇拝しろという内容であった。そして人類以外の存在は格下だと説いているのである。


「おい、こんなモノ信じる奴なんかいるのか? 島によっては亜人種達もいるんだぞ!」


「恐ろしいことに結構いる。それも、ヒトしかいない島では特にだ。まぁ、この団体はハルムを徹底的に攻撃するからなぁ……。そうそう、見てほしいのはその次のページからなんだが」


 琉はページを開いた。そこにはある物語が書かれている。その物語はこうだ。


「何々……。昔、ある王がいた。その王は英雄であった。たくさんのハルムや他種族と戦い、民衆からの支持も厚かった。しかしある時悪魔が現れた。その悪魔は様々な形に姿を変えて人類に近付いた。その王の前には美女の姿で現れた。王は悪魔を愛してしまった。そしてある時言った。『これからは他の種族を無闇に殺すのはやめにする』と。民衆からの支持はそれでも厚かった。何故ならその国全体が悪魔の毒に冒されていたからだ……」


「はいお待たせ、コーヒー三つとケーキ三つだ。……喫茶店で読むような本じゃないぞ、そんなモン。まぁ、彼女の為なら仕方ないかな……」


 マスターの口調は明らかにこの本、及び宗教を嫌っていた。


「マスター、話聞いてたんですか!?」


 驚く和雅に、マスターは言った。


「今来てるのはあんた達しかいないからな、嫌でも聞こえてくるモノさ。まぁでも言える事は……」


 マスターは一旦区切った後、


「彼女と旅するなら周りの奴らに気を付けな」


 意味深な事を琉に言った。三人は注文したモノに手を付け始めた。


「熱っ、熱っ」


「ははは……。ロッサ、いきなりたくさん飲むと熱いぞ」


 琉はロッサの様子を笑って見ていた。するとマスターがこう言った。


「彼女、コーヒーは初めてかい? だったら、ミルクと角砂糖を入れた方が良いかもな」


「それ、お願い」


「はいよ、お嬢さん」


 その様子を見ていた和雅が言った。


「うむ、外はセクシーお姉様で中身はロリ。これぞまさしく……」


「おっと、そこまでだ」


 琉が止めないと、この作品は変な方向に行ってしまうだろう。


「ふっ、あんたたちは相変わらずだな……」


 いくつになっても本質的な所は変わらない二人に、マスターは笑いかけた。


「ケーキおいしー!」


「そうか、それは良かった」


 ロッサはケーキを気に入ったらしい。琉はケーキを食べ終わると、コーヒー片手に再び本を開いた。


(……悪魔の所業で腐敗した世界に腹を立てた神は、その世界の大半を海の底に沈めた。悪魔の名はヴァリアブールといい、あらゆるモノに姿を変えて人の世界に紛れこむ。汝油断するなかれ、悪魔の目に瞳なし……!?)


 琉はコーヒーを吹き出しそうになり、とっさに口を押さえた。そして何とか飲み込むと、和雅に言った。


「カズ、例の連中は確か、“神”だの“悪魔”だの言っていたぜ」


「本当か!? …間違いなくメンシェ教の人間だ。気を付けな、そういうことしてくるのは特に熱心な信者達だ。奴らは死ぬことを恐れていないと聞くからな」


 和雅の警告に琉は更に話しだす。


「そうなんだよ、パルトネールを突き付けても堂々としていたぜ」


「マジか。結構そこらへんにいるモノだぜ、あいつらは」


 するとマスターがマガジンラックから女性向けのファッション誌を一冊取り出すと、琉達のテーブルに置いてこう言った。


「琉ちゃん、こいつを持って行きな。ロッサさんのその服じゃ目立つからな、何か別なモノを着た方が良い」


「マスター、ありがとう! ……って、何で俺は“ちゃん”でロッサは“さん”なんだ?」


「決まってるだろ! どう見てもお前は高校生くらいにしか見えないからだ。むしろロッサ“様”の方が年上に見えるぜ!!」


 和雅がトドメを刺した。実は琉、目が比較的大きい上に顔が少々丸いため歳より幼く見られやすいのである。


「あのなぁ、俺はこれでも25だぞ!」


 そう言いながらも、彼の顔は笑っていた。


「まぁ確かに、ロッサの方が25に見えるがな」


「高校生? 中学生?」


 ロッサには、分からない話である。



今回判明したこと、それは……。

・ロッサは(カルト)宗教的にやばそうな存在であること

・琉&ロッサ、及びカズの身長。

・琉の年齢は25歳で、その割には幼く見えること。

……本筋と関係ないのが多いですねww

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