裏切りNo.01
私は今。
―――大好きな“親友”に裏切られた。
「数那のことを利用していただけよ。」
信じていたのに。
「私は数那のことを“親友”なんて思ったときなんて一度も無い。」
―――何故?
「全て 演 技 なの。」
何故............
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谷川 数那。
中学一年生。
13歳。
数那―――それが、自分自身の名前だと自覚していない。
――――「かずな」のことを利用しただけ。
――――「かずな」のことを“親友”だと思ったときは一度も無い。
悪魔のような言葉が延々と頭の中を駆け巡っている。
あんなことが無ければずっと仲良しで居られたのに。
あいつがいなければ....
―四月 入学式
1-2
私立日野学園に入学した。
中高一貫校で、もちろん受験で入る。
まぐれだと思うが入試トップで入学。
知らない子達ばっかりなので、
ずーっと、一人だった。
「えっと.....谷川さん?下の名前なんていうの?」
初めて瑞花に話しかけられたとき。
一切面識は無い。
何故私に.....?
「う...うん。 “かずな”っていうんだ。 貴女は?」
とっさに笑顔を見せて、聞きなおした。
瑞花は、ストレートの綺麗な長い黒髪を紺色のヘアゴムでポニーテールにしていた。
お人形さんみたいな整った顔。
透き通るような白い肌。
数那の理想のお嬢様像がまさに、瑞花であった。
一般的な顔に地味な数那とは対照的な子だった。
「私、日野 瑞花っていうの!! 宜しくね。」
「こ..こちらこそ!!!! 」
「私、お祖父様がここの理事長で特別推薦枠で入学できたの♪」
「へぇ・・。 」
「貴女、入試トップだったんでしょ? 凄いねー!!」
「いぇいぇ。。。 」
最初は良かったのだ。
でも、今は後悔している。
―5月 体育祭予行練習
「2組優勝するぞ!!!!!!!」
「「オーー!!!!!!」」
もうすぐ体育祭。
まだ予行練習だが、委員長や体育祭実行委員を中心に盛り上がっている。
皆、もちろん半袖・ハーフパンツだが、一人だけ・・・・
後、45分くらいで始まってしまう。
その時、
「日野さん!! これじゃあ、クラス得点下がっちゃうよ。」
副委員長の川野真紗美が瑞花に言う。
瑞花は、半袖ジャージの上にカーディガンをはおり、長ズボンのジャージを着て堂々と座っていたのだ。 しかも日傘を差して。
クラス得点とは、服装・頭髪も含む得点のこと。
決まりで全員半袖・ハーフパンツにならなければ総合得点から10点下げられてしまう。
頭髪も校則違反がいれば同様に失点してしまうことになる。
競技の得点で好成績をとっても、これは大きな痛手になる。
予行とはいえ、得点の2割が本番の得点にも追加されるから少しでも多くとっておきたいところだ。
対する瑞花というと...
「日焼けしたくないの。 貴女だって女性なんだから美白には気をつけないと駄目なのよ。」
真紗美はキレた。
「ふざけないで!! クラス一丸となってがんばってきたのに・・・・」
今にも泣き出しそうな真紗美。
副委員長兼体育祭実行委員でもある彼女は、クラスを見事にまとめてきた。
その努力は私も、皆も知っている。
いくら理事長の孫だからと、我が儘すぎる。
すると―――
「数那。」
私のことを呼ぶ。
「貴女の意見は?」
瑞花だ・・・・・。
皆の視線が一気に向けられる。
な..なに。 私に助けてもらいたいの?
「・・・・。」
「オイ、川野..泣いてるの?」
男子がいう。
「真紗美!!大丈夫? 泣かないで。」
彼女の周りに集ま女子達。
委員長高橋裕太が男子を引き連れて、こっちに来る。
こわい。
こわい。
こわい。
「日野。お前ふざけてるのか? そんな奴は1-2には必要ない。帰れ。」
「なんだよ谷川。 お前こんな馬鹿の味方をするのか。」
「だったらお前も同類だろ?」
自分への羞恥がたかまってくる。
耳や顔が真っ赤に熱くなってる。
「ち・・ちがッ」
馬鹿!!!
こんな自分、大嫌い。
はっきりいえない自分。
でも、どうすれば....
「数那。 私は悪くないよね。 うんうん、そうだよね」
私はなにもいってない。
首を縦にも振っていない。
練習場で集まっていたクラスメート全員が私達二人に集まってくる。
「「 悪 者 達 は 我 が 1-2 か ら 消 え 去 れ 。 」」
真っ暗な使われていない器具室へ別々に入れられる。
「やめて!! やめて!!」
私の声は聞こえない。
いくら叫んでも。
「お願い。 私は理事長の孫なのよ!!! 出してよ!!!!」
「「 さ よ う な ら 。 」」
ガチャリと暗黒の室内に鍵がかかる音がした。
それと同時に意識が飛んだ。
短編ですが、この物語には続編があります。
更新率が低いですが、頑張って書いていこうと思います。