クレーマー対応。心を入れ替える。
「店長を呼べ!」
「はい。私が責任者です」
「責任者なら、この怒りをどうにかしろ!」
「承知しました。まず確認いたします。これは商品の問題ではなく、お客様の怒りそのものをどうにかしてほしい、というご要望ですね?」
「そうだよ!」
「了解です。内心の問題ですので、少々お時間を——」
「早くしろ!」
「では、まず深呼吸を三回——」
「そんなんで収まるかボケ!」
「失礼しました。通常の精神安定対応では限界のようです。では緊急対応に移ります」
「早くしろって言ってんだろ!」
「では、精神的支柱を導入いたします」
「……は?」
「怒りとは、心の麺が激しく絡まり、団子状態になっていることです」
「意味わかんねえよ!」
「ご安心ください。偉大なる空飛ぶスパゲッティ・モンスターの御加護があれば、ほどけます」
「はあ!? 今宗教持ち込んだな!?」
「はい。FSM教・正統派でございます。お客様の怒りをどうにかするため、内心領域への緊急侵入を開始いたしました」
「誰が頼んだ!」
「先ほど『怒りをどうにかしろ』と仰いましたよね?」
「商品の話だよ!!」
「いいえ。お客様は明確に『怒り』と仰いました。商品ではなく、怒りそのものをどうにかせよと」
「……」
「では、入信手続きを——」
「しねえよ!!」
「承知しました。では一旦、怒りをお客様のお手元へお返しします」
「返さんでいい! どうにかしろって言ってるだろ!」
「では、こちらの特製ザルを頭にかぶっていただき——」
「かぶらねえよ!!」
「麺の怒りをお鎮めする儀式でございます。トマトソースを頭からかけるバージョンも——」
「やめろ! 犯罪だろそれ!」
「では、業務範囲確認に移ります。お客様がご希望なのは、以下のどれでしょうか?」
1. 商品(麺不足)の交換・返金
2. 店員への土下座
3. 空飛ぶスパゲッティ・モンスターによる魂の救済
4. 店長が客の代わりに激怒して自己解決
「……4番ってなんだよ」
「私も今、心の麺が限界なので、お客様と一緒に叫びながら床を叩くやつです。共怒りセッション」
「意味わからん!」
「では、究極の提案です」
「……?」
「麺を足すのではなく、お客様の腹を減らす方向でいかがでしょう? 今から断食の儀を——」
「全部お前が悪いんだよ!!」
「はい。全ては麺の意志です」




