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ガラスの靴は呪いだった ――選ばれた私は王子から逃げ続ける

掲載日:2026/04/28

ガラスの靴は美しくなかった。


完璧だった。


完璧すぎた。


シンデレラが初めてそれに触れた時、何か奇妙な感覚を覚えた…

まるでガラスが呼吸しているかのように。


「これがあなたのチャンスよ」と、台所に現れた女が言った。


しかし、シンデレラは微笑まなかった。


「何のチャンス?」


「選ばれるチャンスよ」


彼女はその言葉が好きではなかった。


それでも…彼女は行った。


舞踏会はまばゆいばかりだった。


光。音楽。作り笑い。


そして、その真ん中に…


王子様がいた。


彼は幸せそうには見えなかった。


彼は興奮しているようには見えなかった。


彼はただ…待っていた。


シンデレラが入ってくると、彼は顔を上げた。


そして、すべてが終わった。


疑いはなかった。


探す必要もなかった。


ロマンチックな魔法もなかった。


ただ、冷たい確信だけがあった。


「君だ」と彼は言った。


シンデレラは恐怖を感じた。


興奮ではなく、


恐怖だった。


「いいえ」と彼女は答えた。


部屋は静まり返った。


王子は一歩踏み出した。


「君が選ばれたのだ」


「選ばれたくない」


「選択の余地はない」


彼女は後ずさりした。


「それなら、これはおとぎ話じゃない」


王子は彼女を見つめた。


「最初からそうではなかった」


彼女は逃げ出した。


振り返ることもなく。


さよならも言わずに。


ただひたすら走った。


靴が床にガチャガチャと音を立てた。


一歩ごとに…重く。


一歩ごとに…奇妙に。


森に着いた時、彼女は悟った。


靴が光り輝いていた。


「…いや…」


彼女は靴を脱ごうとした。


脱げなかった。


ガラス片が肌に張り付いていた。


「だめ…!」


その時、彼女は感じた。


何かの気配。


背後に。


「逃げられない。」


王子の声は大きくはなかった。


しかし、その声はどこにでも響いていた。


「やってみるわ。」


「君が一歩踏み出すたびに…私は君に近づく。」


彼女は歯を食いしばった。


「じゃあ、もう走るのをやめる。」


彼女は立ち止まった。


静寂。


「…何?」


シンデレラは自分の足元を見た。


靴。


印。


「これが君を導くものなら…」


彼女は石を拾い上げた。


「…なら、それを砕く。」


王子が彼女の前に現れた。


まるでずっとそこにいたかのように。


「そうすれば、君は死ぬ。」


「もしそうしなければ、私は私でいられなくなる。」


静寂。


風が木々をざわめかせた。


「君が必要だ」と彼は言った。


「いいえ」


彼女は石を持ち上げました。


「私は替えがきく存在よ」


そして彼女は石を落としました。


ガラスが粉々に砕け散りました。


痛み。


耐え難い痛み。


まるで体の内側から引き裂かれるような痛み。


彼女は地面に倒れました。


叫び声をあげて。


「なぜ…?!」


王子が近づいてきました。


初めて…絶望した。


「警告しただろう!」


「私は…これ…の方が…」


血。


弱々しい呼吸。


「…あなたの…物になるより…」


輝きが消えました。


靴は…消え去りました。


静寂。


王子は彼女の前に跪きました。


「…馬鹿め…」


しかし、彼の声には怒りは感じられませんでした。


彼の声は…


虚ろだった。


「君だけが…」


シンデレラは弱々しく微笑んだ。


「それなら…あなたは…すべてをコントロールすることなく生きなければならない…」


彼女は目を閉じた。


風が吹いた。


自由になった。


王子は一人になった。


初めて。


そして物語は…


決してハッピーエンドを迎えることはなかった。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
 継母からの虐げなどがあるか怪しく、現状への不満苦悩より、皇族からの束縛やガラスの靴に対して抗おうとするシンデレラの、他力本願にならず捨て身で靴などから逃れる話、興味深かったです。
 ジャクロの精霊さん、こんにちは。 「ガラスの靴は呪いだった ――選ばれた私は王子から逃げ続ける」拝読致しました。  シンデレラの話?  なに、このガラスの靴。  好みじゃないけど、まあ、いいか。 …
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