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掌編置き場

掌編【多様性】

作者: 冬木香
掲載日:2026/04/22

 ロガーというSNSを始めた。

 どうやら私の行動を記録して、それをSNSに投稿してくれるというものらしい。

 SNSはやってこなかったけれど、自分で投稿する必要がないというのは簡単でいい。

 普通に生活をしていればAIが面白く投稿してくれるという。

 なので何も考えずいつも通りにしてみることにした。

 とりあえず腹が減ったので朝食を食べようと思い、カップ麺に湯を注ぐ。

 朝からカップ麺なんて不健康だ、なんて思いながらも手間をかける気は起きずただじっと三分待った。

 三分経っていざカップ麺を食べようとしたら通知が鳴った。


『朝食の前の静寂の時間。世界に思いを馳せ、食べ物に感謝する。そうして私の一日は始まる。』


 カップ麺ができるのを待っているだけで、何を言っているのだろうか。

 とてつもない羞恥心を感じてやめてしまおうかと考えたが、麺が伸びてしまうと思い出しとりあえず食事を済ませることにした。

 食べ終えてから再びロガーを開いてみると、何件かのメンションがついていた。


『素敵な習慣ですね!』


『わかります。私も朝の瞑想をしています。』


 なんていう肯定的なコメントばかりだった。

 今思えばカップ麺を待つ三分の間、自分はなぜ何もせずにじっと待っていたのだろうか。

 もしかしたら真理の探究をしていたのではないのか。

 思い出そうとしても三分の間何を考えていたのか思い出すことができない。

 それは確かに瞑想に近い、無我の境地だったのではないか。

 そんなことを考えながら、私は残ったスープをトイレに流した。

 通知が鳴ってロガーを開く。


『間違っていることはわかっている。それでも私は抗い続ける。これこそが私のスタイル。』


 一瞬考えてからロガーを消した。

 なんだか自分が矮小な存在になった気がした。

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