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第二十二話-予選

ここからは本格的に戦いが続きます。

お楽しみください。

 島の中央に、巨大なアリーナがそびえ立っていた。


 白い石壁は空へ向かって円を描き、その内側に閉じ込められた空気は、外にいても感じ取れるほど異様だった。

 観客席はまだ解放されておらず、立ち入りを許されているのは選手のみ。それでも、場内から滲み出る重圧は明らかに常軌を逸していた。


 膨大な気が、まるで巣を作るかのように渦を巻いている。

 「最初からあんなに気を出して、気が持つのかよ」

 藤山が小声でつぶやく。


 杉本は肩をすくめ、わずかに笑った。

 「この量で威圧してるつもりか。七大技王を知らない若い奴ならビビるだろうな」


 二人はそのまま入り口へ足を運ばせる。


 「おい、俺たちって当たり前に二人で参加しようとしてるがそれっていいのか?」

 杉本は不安を口にした。


 「安心しろ。ルール的に兄弟であれば大丈夫だ」

 杉本の胸に、別の不安が積もる。


 「いや、俺たち別に兄弟じゃねえぞ?」


 「神に誓っちゃえばいいじゃん、俺たちは兄弟って」

 藤山は軽い調子で言う。杉本はそれに言い返せなかった。


 入場ゲートには係員の男性が立っていた。

 「杉山兄弟で宜しいですね、登録確認します」


 「はい、お願いします」


 「兄弟ですか……どちらがお兄様でございますか?」


 「見た目もほとんど変わらないので、どちらでも」


 係員は帳面に目を落とし、淡々とペンを走らせる。

 「はい、両名登録完了です、Bブロックへお進みください」


 二人はアリーナ内部へ足を踏み入れた。


 通路の前には看板が立っている。右方向にA、B、C、Dブロック。左方向にE、F、G、Hブロック。さらに突き当たりには、右上にI、J、K、Lブロック、左上にM、N、O、Pブロックと記されていた。


 「Bブロックだからこっちか」

 二人は右側の通路へ進む。


 周囲では若者たちが小声で囁き合っていた。


 「おい、あれみろよ、逃腰組の杉本と藤山じゃね?」


 「なんだあ、逃げるのがお得意じゃねえのかよ」


 「わざわざ死ににきたのかって」


 二人は反応しない。淡々とBブロックの会場へ入った。

 そこには同じく団体戦に挑む選手たちが集まっている。まだ若い者が多く、互いに牽制し合う空気が張り詰めていた。


 二人は壁に寄り掛かる。


 「ち、強そうな奴がいねえぜ」

 杉本が口を漏らす。


 「しょうがないだろ、今からやるのは予選なんだから」


 やがて審判が笛を吹き、声を張り上げた。

 「諸君!よく聞きたまえ」


 一瞬で場が静まる。


 「今から予選を行う。種目は団体戦だ!」

 ざわめきが走る。


 「これからお前たちは地下室にて乱闘してもらうが、殺すのは厳禁!もし、殺したことがわかれば即失格とする」

 空気が一段と重くなる。


 「それでは、私についてきなさい」

 審判を先頭に部屋を出て、右へ進み、突き当たりの階段を下る。

 その後ろを参加者たちはついていく。


 「酷いな」

 藤山が呟く。


 「何がだ?」


 「確かに、殺すのは厳禁と言っていたが、神に誓わせないのが皮肉だと感じてついな」

 藤山の顔は怒りとも呆れとも取れた。


 やがて足を止める。

 目の前には、真っ暗闇の部屋が広がっていた。

 ただ、気が感じ取れる者たちにとっては暗さはなんの意味もなかった。


 「お前たち、今から十数える。そのうちにこの部屋の各地に広がれ」

 参加者が一斉に走り出す。


 徐々にカウントが減っていく。


 「おい、まずはあの逃腰組からやっちまおうぜ」


 「そうだな、後々逃げ惑われるのも面倒だからな」


 三…


 二…


 二人に視線が集まる。


 一…


 「予選開始!」

 次の瞬間、無数の影が二人へ飛びかかった。


 二人は軽く気を集中させる。

 相手の気の動きを見極めた。


 他の若者たちは必死に協力し、足を掴むなど妨害も仕掛ける。しかし二人はほんの一瞬の動きだけで、相手を制圧する。

 他の者では直視して認識できない攻撃で、ブロック内の全員を次々と倒していく。


 制圧し終わると動きを止めた。


 誰も殺さず、だが立てなくなるほどの圧倒的な技量。

 わずか数秒の出来事だった。


 「杉山兄弟、予選通過!」

 二人は何事もなかったかのように外へ出る。


 やがて休憩時間。


 観客が徐々に席を埋め始める。

 落ち着きを取り戻した海には、商人たちの船が次々と近づいていた。


 「今回は誰が勝つかね、それによっては賭ける相手も変わるんだが」


 「私はもう賭ける相手が決まってるよ」


 「あんたの選ぶやつは一回戦敗退ばっかじゃないか」


 二人はその声を聞き流しながら気を整える。


 「お前が思う優勝候補は誰だ」

 杉本が尋ねる。


 「一人、厄介そうな奴がいてな、地田勝って言うんだが」


 「誰だそれ?」


 「俺たちの船をぶっ壊してくれた奴がいたろ」

 杉本の目が細まる。


 「あの戦況下で一人俺たちの船に気付いたのはあいつだけなんだ」

 藤山は腕を組み、低く言った。


 「ほう、じゃあそいつも勝ち上がってくるわけだな、面白いじゃねえか」

 杉本は不敵に笑う。


 本戦ルールは既に確認済み。


 武器使用可。

 真剣勝負必須。


 勝敗は三条件――

  ・倒れたまま、または場外に出て十秒、

  ・相手を殺す、

  ・相手が敗北を認める。


 遠くで鐘の音が高く響いた。

 全ブロックの勝者決定の合図。


 「行くか」


 「ああ」


 七大技王トーナメント本戦。今、幕が上がる。

地田勝とは一体誰なのでしょうか。

どんな男なのでしょうか。

次回もお楽しみに。

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