3/94
第三話 迷子スライムの入居希望?
屋根裏の片づけをしていたときだった。
ほこりまみれの桶の中で、ぷるぷる震える青いものを見つけた。
「……ゼリー?」
そうつぶやいた私に反応するように、それはぴょんと跳ねた。
よく見れば、小さなスライムだった。水晶玉ほどの大きさで、透明感のある体がきらきら光っている。
「ここに住んでたの?」
問いかけても答えはない。ただ、ふよん、と私の足にまとわりついてくる。まるで「ここにいたい」と訴えているみたいだ。
その日の掃除で、スライムは大活躍した。
床に落ちたほこりや木屑を吸い取り、窓ガラスに跳ねついて磨き上げる。
幽霊少女が「わあ、きれい!」と笑うと、スライムは得意げにぷるぷる震えた。
「……もう決まりね。あなた、今日から住人二号よ」
そう宣言すると、スライムはぴょこんと跳ねて、私の肩に乗った。
幽霊少女はくすくす笑いながら言った。
「ふふっ、大家さんのおうちは、にぎやかになるね」
私はほうきを握りしめ、胸の奥がほんのり温かくなるのを感じていた。




