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第1部 第24話

みんなから、「おい、なんでその2人でどっか行くんだよ?」という視線を浴びながら、

私と森田は、とある駅で途中下車した。


「とある駅」って、ここ、見覚えがあるな・・・

と、思ったら!


前に、お兄ちゃんと一緒にヒナちゃんを尾行したときに降りた駅だ!

もしや森田、あの、なんて言ったっけ?そうそう、間宮さん?に用事があるとか!?



だけど、さすがにそんなどこぞの三文小説みたいな偶然はありえなかった。

(この小説は三文にも満たないんじゃないか、という議論はさて置き)

森田は、前に私が出た出口とは違う出口から出ると、辺りを見回した。


「森田、ここ、よく来るの?」

「いや、初めて。えっと東出口から出て、右に真っ直ぐ5分くらい歩いたところ、って言ってたな」


森田は右に向かって歩いていく。私も続く。


前に出た出口の方もそうだったけど、ここは高級住宅街らしい。

塀の高い大きな一軒屋や、高級マンションが立ち並ぶ。

そう言えば、綾瀬学園も駅は違うけどここからそう遠くはなかったはずだ。


途中、コンビニを見つけると森田は「そうだ」と言って入って行った。


「何か買うの?」

「ああ。お土産っつーか、プレゼントっつーか。ケーキがいいかな?暑いしアイスの方がいいかな?

三浦は、どっちが食べたい?」

「森田が買ってくれるの?」

「ああ」

「じゃあ、アイス。ハーゲンダッツね」

「・・・」


森田はブツブツ言ってたけど、「まあお土産だのプレゼントだのだったら、それくらいじゃないとな」、

と、結局ハーゲンダッツを買ってくれた。


そして更に歩くこと2分。

アイスが溶けるか心配する前に、目的地に辿り着いたらしい。


「・・・ここ?」

「・・・らしいな。確かにこの名前のマンションだ」

「・・・」

「・・・」


私と森田はしばらくそのマンションの前で、ぼんやりしていた。


だって!

何、このマンション!

凄い!


前の間宮さんのところも相当な高級マンションだったけど、

その比じゃない。


なんてゆーんだろう。

ワンフロアマンション?

一つのフロアが一つの家になってる、みたいな。


それに、塀で囲われてるからはっきりとは見えないけど、

都心とは思えなくらい大きな庭もある。

もちろん地下駐車場付きだ。


こんなところに誰が住んでいるんだろう。


「・・・あいつ、すげーとこに引っ越したな。よく金があったもんだ」

「あいつ?」

「しかも、最上階って言ってたぞ」

「最上階!?ペントハウスってやつ!?」

「だな」


だ、誰がそんなとこに住んでるのよ!?

てゆーか、私なんかがついて来ちゃっていいの!?


「・・・ねえ、お土産、もっとリッチな物がよかったんじゃない?」

「心配すんな。家は凄くても住んでる奴は庶民代表みたいな奴だから」


こんなマンション、庶民には一生縁がないと思いますが。



森田が、正面玄関から少し離れたところにある、小さいけどそれでいて豪華なオートロックの扉の前に立つ。


「何、この扉?」

「最上階専用の入り口だってさ」

「ほえ?」


私がその意味を理解するのに戸惑っている間に、森田がインターホンを押すと、

中から何やら反応があり、カチッという音と共にロックが解除された。


中に入るとすぐにエレベーターの扉が現れた。

どうやらこれも「最上階専用」らしい。


音もなくエレベーターが下りてくる。


「あれ?森田、もうエレベーターのボタン押したの?」

「いや。このエレベーターは、今の玄関の扉が開かれると自動的に下りてくるようになってんじゃねーの?」


な、なるほど。

最上階の住人やそのお客さんしか使わないからね。

凄すぎる。


だけど、待てど暮らせど、エレベーターの扉は開かない。


「あ。そっか、ここもオートロックなのか」

「え?」


森田がエレベーターの横にあるインターホンを押し、また中からロックを解除してもらい、

ようやくエレベーターの中に入ることができた。


物凄いセキュリティだ。


そして、このエレベーター。

最上階専用、ってことは、最上階の住人しか使わないわけでしょ?

だったらもっとちっちゃくてもいいんじゃない?

こんな大きくて、床が大理石の必要ってないでしょ。

エネルギーの無駄遣いよ。


「すげー・・・。俺、入り浸ろう」

「そんなに仲がいい人のお家なの?」

「どうせ部屋、持て余してるだろ。一室俺専用にしてやる」


どうやら相当仲がいいらしい。



そして・・・

ようやくエレベーターが止まり、扉が音もなく開く。

勝手にエレベーターが動いたから、ここが何階かは分からないけど、

最上階であることは間違いないだろう。


エレベーターの前には玄関ホールが広がり、その中央の大きな観音開きの扉がデンっと私達を迎える。


「はあ。なんか疲れるね」

「そーだな・・・」


森田が、本当にくたびれた様子で扉の横のインターホンを押そうとした時、

中から扉がスッと開いた。



そこから出てきた顔。


余りにもお馴染の顔過ぎて、

でもこの物凄い場所とその顔が結びつかなくて、

一瞬誰だかわからない。



でも、それは・・・

間違いなく・・・



えええ!?




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