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あの花の丘で  作者: イチゴボール
7/16

ストーリー:中野満美(出会い)

「満美ー、ちょっときてー」

お母さんの声だ。私は部屋から出て、声のした方に向かう。

「どうしたの?」

「あなたに紹介したい子がいてね、」

中野家に来てから約三日。少しづつこの生活にも馴染んできた。まあ、お母さんが社交的だったと言うのもあるだろうけど。

私は階段を降りる。降りていくと、向かいの玄関に足が見えた為、誰かいることはわかった。靴はボロボロだが、磨かれていて、しっかりとした黒を放っていた。二段ぐらい降りたあたりで、服が見えた。その子はワンピースのような服を着ていた。袖はノースリブで、下は膝の辺りぐらい。まさに夏本番という格好だった。

「?」

私は疑問に思った。その子は髪が結んだ状態で、肩の位置程まであった。私が驚いたのは髪の長さではなく、色だった。その子の髪は強い光に照らされることで、淡い金色に見えた。

私はそのまま階段を降り、その子の前に立つ。

「初めまして」

声をかけたのは、その子の方からだった。声は高く、顔からしても少女であることがわかった。

「初めまして…」

「ねぇ、君名前は?」

少女は私に聞いた。一歩踏み出し、顔を近づけて。

(うっ…近い…)

たが、聞かれたことは答えないと失礼だと思い、言葉を返した。

「中野満美です。あなたは?」

私の質問に対し、少女は満足したのか笑顔で答えてくれた。

「私は、魚見千得。よろしく!」

そう言って千得は私の右手で強引に握手させた。

「あの…一ついい?」

私にはどうしても放って置けない疑問があった。

「うん。いいよ!」

その言葉を聞き、私は質問を口にした。

「千得ちゃんって、魚屋さん?」

名前に魚がつくぐらいだ。先祖代々、魚に関する仕事をしていたのだろう。そう思っていた。だが、千得から返ってきた言葉は想像以上だった。いや、想定外というべきか。

「ううん。魚屋じゃないよ。というより、魚に触れたことないよ。」

「えっ?そう。じゃあ何で名前に魚が?」

「うーん、わかんない。」

一部始終を見ていたお母さんは微笑ましそうにこちらを見ていた。こうして私と千得は知り合った。


新たな地

新たな友と

夏の思い出


ストーリー:中野満美 完結

次回からは一人称千得に戻ります。次回もお楽しみに。

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