友(後編)
「すいませーん!誰かいませんかー?」
私はお母さんに言われた通り満美ちゃんに織物を届けていた。
「はいはーい、今行きまーす。」
戸を開けて出てきたのは満美ちゃんのお母さんだった。
「あら、千得ちゃん、いらっしゃい。真美は今出かけているけど…」
私はお母さんに織物を渡す。
「あぁこれは、私がお願いした服ね。お母さんにありがとうと伝えておいて。」
「はい!」
「あっ!これ、あの子のだから渡してきてもらってもいい?あそこにいると思うから。」
「分かりました!では、」
私は服を受け取りあそこに向かう。あそことは、私と満美の見つけた小さな丘のことである。そこにはたくさんの花があり、摩訶不思議な花が咲いている。花を眺めているだけで時間を潰せるほど、その花は美しい。私は玄関を出て、その丘を目指す。
「満美ちゃん、今どんな感じに成長してるかな…」
五、六分歩いたぐらいでついた。坂道を登った先に、白と青の混じった花が咲いている。その中央ぐらいに少女が一人座っていた。少女はツインテールで紺色から青ぐらいの色をした髪を持っている。私は少女に話しかけた。
「久しぶり。満美ちゃん。」
その言葉を聞き、真美は振り返る。一瞬戸惑ったようだったが、すぐに私だと気づき近寄ってくる。二人はゆっくり、だが、しっかりと抱き合った。
「久しぶりチーちゃん」
私は今すぐに話しかけたいと思っていたが、満美と話し込む前に服を渡すことにした。忘れそうだから。
「はい!」
「?…ありがとう」
まだ状況が掴めてないようだ。それよりも…
「満美ちゃん!何か雰囲気変わった?」
「あっ!気づいた?髪型変えたんだ。」
「似合ってる!」
私の知る彼女はポニーテールだった。私たちはそのまま、丘の上の花畑でしばらく話し込んだ。
黄昏に
君の笑顔が
染まってく
八月一日 完
満美と千得の深い友情関係を深堀していこうと思います。(四話から)
では、次週の4話でお会いしましょう。それでは!