お兄ちゃんを探して
「これ、お兄ちゃんだ。」
私は目を疑った。自分の兄が出世していることと、自分の兄がこのような一般人を苦しめる法案をしていることに。
「え、お兄ちゃんいたの?」
由香は聞いてきた。そう言えばお母さんとお父さんの話はしたけどお兄ちゃんの話はしてなかった。
私の兄魚見刀児は、気が弱いわけではないが、決して強くなく、誰かが困っていれば、どんな状況でも助けに行く。気の強さというよりは、優しさを持っている。そんな兄が国民を苦しめる政策をおこなうだろうか。
「ねぇ、千得のお兄さんって今どこにいるの?」
「…、分かんない。最近会ってなかったからなぁ。」
「そっか…」
ゆっくり目を閉じ考えた。お兄ちゃんが何処にいるのか。お父さんが前、何か言ってた気がする。お父さんが戦争に行く前…何か…
「福岡…」
脳内にふと浮かんだ。確かお父さんが言ってた。お兄ちゃんが福岡の部隊に入ったって。
「福岡?」
由香は聞いた。
「うん。多分福岡の大きめの部隊にいると思う。」
断言はできないが、今はこれが唯一の情報だ。お父さんを探したいとこだが、情報がないため一旦放置する。
(もし会えたら謝ろ。)
「じあ、福岡を目指すってわけか…。どうやって行くの?」
「汽車は?」
「爆発の影響で何処も走ってないよ。」
「…。歩くか。」
私は由香に提案した。徒歩。一体どのくらいかかるのだろうか。でも、考えるよりも動きたいタイプなので二人とも意見は決まっていた。
「歩こう。福岡まで。」
どうも。スマホで打つのが疲れてきた、イチゴボール′です。一応次回から二人の旅が始まります。次回をお楽しみに。
次回「脱走」




