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あの花の丘で  作者: イチゴボール
2/16

友(前編)

今思う

些細な思い出

永遠に


朝。日当たりが良く、私の体を照りつける。

「うぅ、暑い…」

七月も終わり、八月。いよいよ夏本番だ。私は日光に当てられ、少し汗をかき始めた体を起こし、台所に向かう。大量とまではいかないが、我が家は結構貯蓄があった。その貯蓄はダンボールに入れ保管している。私はその中から野菜を取り出した。もちろん水道がないため、昨日井戸から巻き上げた水に付け、洗い落としていく。余った水は、土器に入れて保管する。

「おはよう」

後ろからとことこらるいてくるお父さんの声がした。

「おはよう!」

私は洗った野菜をテーブルに置いた。そのまま包丁で細かく切っていき、鍋に入れていく。その最中にお父さんが火を起こしてくれていた。そのまま火の上に鍋を置き、しばらく放置。鍋には野菜のほかに、いくつかの食材とさつまいもなどを入れた雑穀煮も高きを作っている。出来上がるのを待っている間にお父さんが話し始めた。

「それにしても大きくなったなぁ。どのくらい伸びた?」

「うーん…測ってないからわかんないな」

久しぶりに会った家族がほぼ確実にする会話。極ありふれた会話をしていると、鍋がだいぶ温まってきていた。私は鍋を持ち、テーブルに置く。

「皿は持ってくるから、お母さんをよんでおいで。」

「分かった」

お父さんはタンスに向かって歩き出した。それと同時に私は、お母さんを呼びに行く。

コンコンッ

「お母さん、ご飯できたよ。」

「はーい、今行きまーす。」

私はふすまを開ける。お母さんは服を編んでいた。

(誰のだろう?)

お母さんは家事全般のスキルが高い。だが、それを遥かに上回る腕前なのがこの裁縫だ。単純な腕で言ったら右に出るものはいないだろう。お母さんは縫うのをやめ、立ち上がる。それをみて私はテーブルに戻る。

「やぁ、おはよう。」

お父さんの優しくしっかりとした声がお母さんに向けて発せられた。

「おはよう。」

「準備できてるよ。」

「ありがとう、お父さん。」

「どういたしまして。」

私たち三人は腰を下ろした。そして手を合わせて言う。

「「「いただします」」」

三人ほぼ同時に食べ始める。味はないが、食べないよりはマシだ。さつまいもの甘みは薄く、野菜はところどころ苦い。

(この野菜…何だろう…)

私は心の中で思った。今思えば、私は知らない野菜を入れていたのか…次から気をつけよ!

「あっ、そうそう。これ、中野さんのところに届けてくれない?」

「うん、分かった」

私はその編み物を受け取った。おそらく服だろう。中野さん。私の友達…いや…親友の中野満美ちゃんの家だ。

「後で届けておくよ。」

(満美ちゃん、元気してるかな。)


八月一日 前編 完

今回は、千得の家族像をより深くしていこうと思い、書きました。余談ですが、お父さんの好きな食べ物は、軍事食で出るカレーっぽいやつです。ではまた来週!

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