備蓄米
「はぁ!?こんだけ!?」
由香は支給された食料を見て言った。渡されたのは二人分合わせて一食になるかならないかほどの米だった。
「こっちも米さえあれば渡してる。残念だが今はこれだけしかない。」
米の支給係は申し訳なさそうに言った。
「…」
こんな顔をされては何も言えない。
「なぁ、一ついいか?」
「ああ。何だ?」
由香は支給係に聞いた。
「これ、備蓄米だよな。」
「ああ。そうだが、何か問題でも?」
「いや、流石に少なすぎねーか?」
「何か今年は不作で取れなかったって話だぞ。」
「…?それって国に納める米の話だろ?備蓄米は一定量あるはずだ。」
「…」
黙り込んでしまった。この支給係は何か知っていると沈黙が教えてくれた。
由香はおそらく、自分の食料が減るから兵士に突っかかっているわけではない。彼女は、私や近隣の住人が苦しくならないように言っているのだろう。私は残念ながらそこまで熱い情はない。が、流石にここまで聞いておいて無視はできない。
「貴方は何を知っているんですか?」
千得は真剣な眼差しで支給係を見た。すると、もう隠すことができないと思ったのか、一枚の紙切れを持ってきた。そこにはこう書いてあった。
「備蓄米の違法貯蓄について
この度司令部が備蓄米の配給について調査した
ところ、備蓄米を不法に管理していることが分
かった。対策として、地域ごとの正確な人口と
名前を管理し、人工に適した量を備蓄米として
地方に配給する。」
なるほど。ここはもう広島県ではない。ここは山口県なので、大量の広島県民が山口県に集まったことにより山口県民ようの食糧が足りなくなったのだ。全く、誰がこんな法案を出したんだ?
何気ない気持ちで法案者の名前を見た。その名前を見た千得は、一瞬思考を放棄した。
「法案者;魚見刀児」
「お兄ちゃん!?」
次回「お兄ちゃんを探して」




