母は強し
「……一体何が…」
そっと呟いた。こんな場所知らないし、来た覚えがない。
「…」
考えていると、少しずつ記憶が蘇ってきた。空から舞い降りた物体と、千得と、俺たちを守ってくれた母さんのことも。そうだ。母さん。母さんはどうなった…
状況を少しずつ理解しつつある千得の父を見て、医師は告げた。
「広島のほとんどが崩壊した。」
「!?」
「信じられないかもしれないが、広島の人口は半分近く消滅した。」
「そんな…何故…」
「何故この様な事態になったのかはわからないが、君も見ただろう。あの黒い物体を。」
「!! ああ。みた。君もと言うことはあなたも見たんですか?」
「いや、私は患者から話を聞いただけ。でも、一つだけはっきりわかっていることがある。あの兵器は核爆弾と言われるものだ。」
「かくばくだん…」
この世界で最強の兵器と言われている。
「まさか、その爆弾一つで広島は…」
「そのまさかだ。あれは作り出してはいけないものだった。」
その後も俺は医者と話し、今の日本の状況がわかった。本当なら今すぐにでも家族を探しに行きたいが…
「先生、俺はまた歩ける様になりますか?」
次回「夢を追う者」




