親友
少しづつ鼻が赤くなっていく。一雫の涙が頬を伝った。
しばらくの間、私は泣き続けた。そして、涙が出なくなるまで泣いた時、私はふと思った。
(家族のいない世界に何が残されているの?)
私の中に負の感情が溢れ始めていた。いっそ飛び降りて…自害も考えたが、この辺りに高い建物はない。そんなことを考えていた私の元に、医師がやっま来た。
「き、君に会いたい人がいるそうだ。ついてきたまえ」
走ってきたのか、息は荒れていた。誰だろう…
私は医師に案内され病室についた。病室の入り口を抜け中に入った。
「え…」
そこで私が目にしたのは、体は細く、まるで正気を吸い取られたかのような衰弱した姿の満美だった。
「その声は…千得ちゃんかな…」
満美の声は前のような明るさは無かったが、間違いなく満美の声だった。
「満美!」
私は満美に近づき手を握った。細くしわしわになった満美手…
「満美…満美…」
何度も名前を呼んだ。が、握った手は、握り返すことはなかった。
「千得ちゃん、泣かないで。」
「泣いてないよ。」
「ねぇ、千得ちゃん、お願いを一つ、いいかな…」
「!!」
「うん!いいよ!何でも言って!」
「もう一度だけ、私の見た、あの花畑が見たい。」
「花畑?」
「私の故郷にある…青い花が一面に広がる花畑…。」
「うん、分かった。」
「ありがとう。でも、ごめんね。もう、私は長くない。だから、お墓に植えてくれると、嬉しいな…」
「そんなこと言わないでよ。」
「千得ちゃん、よく聞いて。今は辛いことがたくさんあると思うけど、千得ちゃんにはずっと笑顔でいて欲しい。」
「うん…分かった…。」
満美はそう言うと顔に微笑みを浮かべた。
「満美!」
これが満美と話した最後だった。
ありがとう
友への感謝
いつまでも
次回「花園由香」




