第99話、砂漠のリザードマン①
22時にもう一話投稿します!
みんなが就寝してからちょうど三時間後、レイゼルが起きてくる。
「アルド様、見張りの交代をしましょう」
「レイはゆっくり出来たのか? 」
「はい、三時間も熟睡出来れば問題ありません」
「そうか、そしたらお言葉に甘えて私も眠らさせて貰おうかな」
「はい、ごゆるりと」
それから横になり睡眠を取った私は、晴れやかな朝を迎えていた。と言ってもずっと太陽が出ているため、朝と言う表現があっているのか怪しいものだが。
とそこで起床した私に気が付いたレイゼルが朝の挨拶をしてきたので、私も挨拶を返す。そして私は手を上げて身体を伸ばしていると、エルも起きてくる。……なんかエル、だるそうだな。それに——
「どうしたエル、目の下にクマなんて作って。もしかして眠れなかったのか? 」
「はい、こうも太陽がサンサンと照り付けてきてるから、眠気が全く来なかったです」
「まぁ、眠れない時は身体を横にしてジッとしているだけでも身体が休まるらしいから、次眠る時に眠れなかったらやってみてくれ」
「はぁい」
それとエルが寝不足なら二日目の今日は少し休憩を多く取って、眠るのも早めにしたほうが良いだろう。因みにリーヴェは熟睡していたようで、起きてきた彼女の口の端にはヨダレの跡が残っていた。
そうして私達は移動を再開する。
「アルドさん、密林地帯はまだ続くんですか? 」
地図を片手に歩いていると、横に並んだエルが覗き込んできた。
「もう少し進んだら景色が変わるらしいんだが——」
そう言っていた矢先、突然景色が一変する。今まで歩いていたジャングルがプツリと途切れて、眼前に広がるのは見渡す限りの砂となっている。そう、蛇行して走る小川以外は変化して砂漠が広がっていた。
「うわぁー、突然景色が変わりましたね」
「あぁ、こうまで変わるのはダンジョン特有のものだな。改めてダンジョンを探索していると思い知らされるよ」
さてと、ここで選択肢が出てくる訳か。
「みんな、このまま小川に沿って砂漠地帯を進めば、約一日ぐらいで次のエリアに行けるそうなんだ。だがこの道は高確率で砂漠のリザードマンと遭遇するらしい。代わってこの砂漠の外周をぐるっと回り込むように進むと、安全なんだが次のエリアまで丸二日かかるらしい。どっちがいいかな? 」
そこでエルが挙手をする。
「それは勿論砂漠を進んだほうが良いです。だってリザードマンが出てきても今のボクなら簡単に倒せると思うから。それにみんなも強いから危険は少ないんじゃないかな? 」
「リーヴェは? 」
「リーヴェも砂漠が良いです。喉が渇いても小川がすぐ近くにあるから水分補給で困る事がないからです」
「そしたら最後、レイは? 」
「食料の問題もありますし、エルさんが言うように戦闘になっても今の私達なら危険は然程ないと思いますので、砂漠ルートを」
「そうだな、それに早くイリスを救いたい気持ちもあるから砂漠地帯を進むか」
と言う事で満場一致で砂漠地帯を進む事になった。しかし予想以上に多いな。そう、砂漠地帯は少し進んだだけでリザードマンに遭遇していた。奴らの多くは小川付近にいるため、現在小川から少し距離を取った場所を進んでいる。またリーヴェの子猫達の能力のため見つかる事はない。しかしこちらは高低差が激しい砂丘になっており、平坦な道を進むよりかなり体力を奪われていく。
「あの、アルドくん」
「どうしたリーヴェ」
「子猫ちゃん達が疲れたようで眠りにつきました」
「そうか、それは仕方がないな」
「敵が沢山いる中、ごめんなさい」
「いや、今までありがとう」
そして暫く砂丘を進んでいると——レイゼルがスッと隣に来た。
「アルド様」
「あぁ、囲まれているな」
エルも隣に来ると、彼女は太陽から視線を確保するため右手を目の上に当ててひさしを作る。
「えっ、どこに敵がいるんですか? 」
「まだ遠いが、周囲をぐるりと囲まれてしまっている」
そして空気が動く。全方位に散らばるそいつらの反応が、私達目掛けて一斉に迫って来だしたのだ。
「アルドくん、敵は砂の中を移動して来ています」
「あぁ、来るぞ! 」
そうして砂の中から飛び出して来て姿を現したのは、皮膚の色が砂色の砂漠のリザードマン達であった。その内の槍を持った一匹が勢いそのまま突撃してくる。
このリザードマン、砂漠の上なのに足をとられる事なく突撃して来ている。あの足ヒレが高速移動を可能にしているのか。そこで左右の手に各々ナイフを構えるレイゼルがゆらりと揺れる。そしてレイゼルと、槍を回転させながらジャンプをして飛び掛かってきたリザードマンが交差。次の瞬間には首を跳ね飛ばされたリザードマンが、ボンッと黒霧へと変わる。
そこで周囲を確認。全方位回復索敵版に反応している数は三十七匹。そしてその内の五匹が蛇行しながら砂上を疾走してくる。
「リーヴェ、私のそばを離れるなよ」
「はい! 」
『トキュン』
そこでぼろマントを羽織ったリザードマンから、矢が発射される音がした。リーヴェの胸元に向かって迫る矢。それを私は素手で掴んで止めると、へし折り投げ捨てる。




