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神様が創りし地〜勇者パーティーの回復魔法師、転生しても回復魔法を極める!〜  作者: 立花 黒
竜王国ドルスタ

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第96話、エル恥ずかしがる

 ◆



 ハルシオン領の深い森の中——

 民間人を乗せた荷馬車の護衛をするため、私達は荷馬車を取り囲むようにして徒歩で移動している。そしてやはり不死族のモンスター達とはそこそこ遭遇しているのだが、遠く離れた敵はリーヴェの矢での先制攻撃で倒し、そして接近を許したモンスターの群れは——


「アルドさん、今回も任せて下さい。はぁああああ! 」


 エルから爆発的に溢れ出す闘気が彼女の剣と盾を包み込んだあと、闘気の防具へと変換される。そして生えた翼により目にも止まらない速さで連続ステップを踏みながら地表スレスレを滑るように飛行するエルが、ゾンビやグール達とすれ違っていく。するとすれ違ったモンスター達が、膝から崩れて動かなくなった。


 動きが早いけどまだ闘気の流れやら無駄があるなと思っていると、隣に音もなくレイゼルが来た。


「エルさん、張り切っていますね」


「そうだな」


 更に攻撃に関して言えば私より強く最近鋭さが増して来ているレイゼルも控えているわけであって——

 という訳で私の出番はないのだが、とても嬉しくもある。それは私が回復に専念出来る事に他ならない。


 しかしあのエルがこうも化けるとは。元々才能があるのは分かっていたが、短期間の内にここまで成長するとは思ってもみなかった。

 また父親から教わった闘気術の中で竜の瞳(ドラゴンアイ)と言うスキルを使い、敵の闘気が薄い部分を確認してきっちり攻撃出来ている。あとどうやらエルは、飛行が得意なようで戦闘中よくヒュンヒュン空を飛んでいる。

 それと聖魔法防御も有効なため、自身で呼んでいたがエンジェルオーラの防御力も相まって並の攻撃ではエルを傷つける事が出来なくなっている。


 まぁ、ラーグ=ドルスタが殺されかけたあの暗殺者の禍々しい闘気や、前世の暗殺勇者の火葬レベルの攻撃になるとエルの防御力を突破してきてしまうため油断は大敵だが。

 それとエルは連続して三十分しかエンジェルオーラを纏う事が出来ないため、無理させ過ぎるのも良くない。そこはみんなでフォローだ。


 そんなこんなで護衛任務は順調に進み、私達は竜王国ドルスタ国内を取り囲むようにして建造されている高い石壁の前まで来ていた。この壁には荷馬車も通れる程の大きな通用門が備え付けられており、またダンジョン活性化騒動があったため避難民を心良く迎え入れているようだ。

 そうして私達も通用門を潜ろうとした時、ドルスタの兵士の一人に呼び止められる。どうやら手に持った紙とエルを交互に見ているようだが。


「あの、もしかして貴方様は、リーディアシア様ではありませんか? 」


 するとエルが恥ずかしそうに、人差し指で頬を掻く。


「そう呼ばれているけど、なにかな? 」


 すると兵士は改まった態度で一礼する。


「あっ、私はナッシュと言います。それとラーグ様からリーディアシア様がお見えになられたら王宮へご案内するように言われていまして」


「えっ、案内ですか? でも今ボク達は護衛任務中だからそれが終わらないと——」


「でしたら、少しお待ちになって頂けますか? 」


「はっ、はい」


 そこで兵士は水晶を取り出して、なにやら連絡を取り合い始める。そして通信が終わるとこちらに向き直る。


「わかりました。今上の許可がおりましたので、私も皆様に同行させて頂いても宜しいですか? 護衛任務が終われば案内させて頂きます」


「えっ、どうしよう。アルドさんはどう思いますか? 」


 ラーグと王妃も最愛の娘に会いたいのだろう。それくらいの寄り道はイリスも許してくれるはず。


「私は構わないよ」


 そうして私達は近くの街までの護衛任務を完了し、日も暮れていたためその日はその街の宿屋に泊まる。そしてあくる日、私達は馬車に乗せられてドルスタの首都アーガを目指す事に。森を抜け平野を進み、また森を抜けて進んで行くと、三日目には目的地へと辿り着く。しかし馬車は街に着いたと言うのに止まらない。街中を走りそのまま街の中央にある城へと入っても止まらない。


「エルちゃん、本当にお姫様だったんですね」


 外を見ながらリーヴェが感嘆の息と共に出た呟きに、エルが乾いた笑いをあげる。


「この展開はボクが一番驚いているよ。あとボクはお姫様ってガラじゃないしね」


 そして荷馬車が停止してナッシュさんが降りるよう促してきたため下車すると、真っ赤な絨毯が奥へと伸びておりその両脇には多くの兵士が直立不動で立っていた。その光景を見て顔が引きつるエルとリーヴェ。


「エル、ここはお前が主役なんだから、先頭を歩かないか」


「いやいや、ボクにそんな勇気はないですよ。アルドさんお願い、ボクの代わりに先頭を歩いて下さい」


「しょうがないな。……そうだ、手も繋ごうか? 」


 するとエルが少し怒った口調になる。


「もうお子様じゃないんですから。……それにボクと手を繋いでいるのをお父さんに見られても良いんですか? 」


「たしかにそれは勘違いされるかも知れないな」


「……勘違いされるのは嫌ですか? 」


 ん? エルが小声で囁くように何かを言ったため、殆ど聞き取れなかった。そんな事を思っていると、リーヴェが目をパチクリしているのに気がつく。


「エッ、エルちゃん」


「わわっ、お姉ちゃん、今のはなんでもないです! ほんとなんでもないですから」


「はいです! 安心して下さい、今のはなんでもないです。安心して下さい」


 リーヴェ、また自分でなにを言っているのか分かっていないパターンかな?

 二人の頭をポンポン叩く。

 さてと、兵士達の目もあるし、さっさと歩くか。


「みんな行くぞ」


「アルド様、二人だけずるいです」


 そうしてレイゼルにも頭をポンポンするのであった。

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