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神様が創りし地〜勇者パーティーの回復魔法師、転生しても回復魔法を極める!〜  作者: 立花 黒
亜人国家ハルシオン

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第94話、共鳴

 ◆ ◆ ◆



 迫りくるゾンビの頭をメイスで破壊する。


 目の前に現れた戦闘中の二人。どちらもすぐに回復魔法を掛けなければならない重症であるわけだが、先程エルを襲った方の片腕がない男の方は後退りしながら闇の中へと消えていった。

 そこで残されたハルシオンの同盟国である竜王国ドルスタの紋章を身に付けた大男に、私はブースト付きの初級回復魔法(ヒール)を飛ばし完治させる。大男は心肺が停止していたため聖魔法防御赤を掛けなければならないと思っていると、突然息を吹き返し目を見開き上体を起こした。


「どこか痛む所はありますか? 」


 質問すると、大男は辺りを見回すように首を動かす。そして圧倒的な量の銀色の闘気が頭から爪先まで包み込むと、その闘気をグシャグシャッと変形させ兜、鎧、そして翼と尻尾を構築させる。先程も思ったが、間近で見るとさらに凄い迫力である。


「いや、それより私が戦っていた男はどこに? 」


 背後から襲いかかってくるゾンビに対して、大男が無造作に裏拳を振るう。すると拳に触れた瞬間ゾンビの上半身は跡形もなく吹き飛んだ。


「闇の中に消えてしまったので分かりません」


「そうか、……私の傷を治してくれたのは君か? 」


「はい」


「礼を述べねばならないな、名をなんと申す? 」


 闇が晴れてくる中、ドスドスと地響きをあげながら移動している遠目の巨人ゾンビに向けて核爆(フレア)を唱え着弾、撃破する。


「アルド=モードレッドです」


「私はラーグ=ドルスタ。それと今手持ちがないからな。我が竜王国に来ることがあるなら言ってくれ。褒美を取らせよう」


 ラーグ=ドルスタ。竜王国ドルスタの国王がこんな所にいるとは。


「ありがとうございます」


 とそこで、近くで戦闘をしているエルが、どこか苦しそうにしている事に気がつく。そこで私と同じくエルの状態に気が付いたレイゼルが、闘いながら私とエルの元へと移動してくる。


「エル、大丈夫か? 」


「それが、なんだか身体が熱くなってきていて」


「アルド様、この状態は——」


 レイゼルに言われてエルをよくよく見れば、エルの魔力回路が僅かにだが全て起動している事に気がつく。また少しずつ回転がスムーズになってきている。


「あの、アルドさん、なんかこれってやばくないですか? 」


「エル、今お前の魔力回路が全て起動しているだけだから、心配はしなくて大丈夫だ」


 そして時間の経過と共に魔力回路の起動は力強くなり、遂には完全に起動し出す。


「あわわわっ」


 するとエルの身体から金色の闘気が溢れ始めた。もしかして、エルの固有能力が開眼しかかっているのではないのか? しかしなぜ今この時なんだ?


「なんだと!? 」


 そのエルの状態に一番驚いたのはラーグであった。そしてラーグはエルに近づくと正面から両肩をむんずと掴む。


「その闘気、まさかまさか、お前はリーディアシアなのか? 」


「えっ、ボクはエルだよ」


「なら、お前のお尻の所にLのアザがあるだろう? 」


「なっ、なんでそれを知っているんですか? 」


「リーディアシア! 」


 そこでラーグからエルは抱きしめられる。


「会いたかった、会いたかったぞ」


「ちょっ、いきなりなんなんですか? と言うか、あなたは誰なんですか? 」


「私か、私はお前の父だ。父のラーグ=ドルスタだ」


 ラーグから衝撃の事実が述べられた。話では生まれたばかりのラーグの娘が、邪教であるファロス教の者に連れ去られてしまったらしい。王族の赤子を生贄に捧げるため。

 追手を放って連れ去った本人を捕まえるも、その時にはすでに娘はどこに行ったのか分からない状態だったらしい。それから国内外を探し回ったそうなのだが、有益な情報は入って来なかったそうだ。


「ボクの、本当のお父さん」


「あぁ、そうだ、私はお前の本当の父親だ。それに本国にはお前の母君と弟達が待っているぞ。とにかくここではなんだ、一度私達の本隊の所まで戻ろう。話はそれからだ」


「えっ、でもボクは今、アルドさん達と一緒に行動しているわけであって」


「ならその者達も一緒に呼べば良いのだな? 」



 ◆ ◆ ◆



 いきなりの展開に頭が追いつかない。

 ボク達は大規模な討伐隊に参加しているけど、お姉ちゃんやイリスさんの安否がとても気になっている。そう、二人の安否が心配なんだ。だからそんな状態で自分だけが、この場から離れるなんて考えられない。ボク達はお姉ちゃん達、みんなが揃った状態でないと駄目なんだ。

 そこでチラリとアルドさんを見る。

 べっ、別にアルドさんだけが特別じゃないんだ。なんだかんだで頼りになるからいつも気がついていたら見てる事があるけど、この気持ちは決して好きとかそんなんじゃないんだ。

 ……たぶん。


「ボクは、ボク達は行方不明の仲間がいるんだ。だからその仲間が見つかるまではこの地を離れる事は出来ない、です」


「そうか、お前の気持ちは分かった。ただしお前が私の元に戻ってくるのを私は待っているぞ。そしてまた生きて再会するためにも、その溢れ出る闘気の使い方は教えさせて貰うからな。幸いな事にこの場には多くの敵がいるしな」


 そうしてボクは溢れ出る闘気を増大させるやり方や闘気での防具や翼の生成の仕方、そして必殺技の数々を教えてもらう。そして不死のモンスター達を殲滅する頃には、それらをある程度ものに出来るようになった。

 因みに兜と尻尾の生成だけはどうにも難しくて、頭はなんか天使の輪っかみたいは形に収まり、尻尾に至っては最後までものに出来ないのであった。

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