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神様が創りし地〜勇者パーティーの回復魔法師、転生しても回復魔法を極める!〜  作者: 立花 黒
亜人国家ハルシオン

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第89話、ザインと言う男

 ◆ ◆ ◆



 暗闇で視覚が全く機能しない中、背中に感じる暖かな感触だけが僅かな勇気を与えてくれる。

 俺の名はザイン=アヴァラス。冒険者を二十年近くやっている。そして魔法使いのルナと僧侶のフォルテの二人の女性を引き連れ、チーム『最強の黒』を組んでいる。二人は若いのに、俺の我がままを我慢してよくやってくれている。だから二人だけでも生きてここから脱出させてやりたいが——


「ザインさん、交代しましょう」


「あぁ、すまない」


 MAXの半径五十メートルまで伸ばしていた闘気領域を解除させる。そして代わりにルナが持続雷球(ライト)の呪文を唱えて、手の平上に明かりを灯した。俺達は部屋の真ん中に背中を預ける形で座り込み、交互に闘気と魔力を使う事によって、部屋にモンスターが侵入して来ないかどうか警戒している。そこで右後ろに座るルナが、長い赤髪を触りながら元気なく言葉を落とす。


「私達、生きて帰れるのかな? 」


「ルナ、弱気になったら駄目だよ」


 左後ろにいるショートカットで目元が前髪で隠れているフォルテが、栗色の髪を振り乱しながら言った。そこで俺はモンスターの侵入防止のために氷魔法で氷漬けにしている扉を見ながら、重い口を開く。


「水晶でギルドに連絡がついたのは良かったのだがな……」


 レガスト達の後にギルドと連絡が取れていた。そこで助けを求めた俺達だったのだが、ギルドの返答は救援部隊を組織するから暫く我慢してくれだった。その後何度も連絡を取り合い、最新の通信でやっと救援部隊を派遣する事が伝えられたのだが。

 ……待てない。あと約一日もここで待機しないといけないなんて。いつレイスが侵入してくるか分からない状況に、俺達の精神は限界に近付いている。ここは一か八か三層目にある安全部屋に移動すべきか。そんな事を考えていると——


「ザインさん! 」


 フォルテが俺の名を鬼気迫る声色で呼んだ。そこで振り返って見てみると——


「なんだこいつ? 」


 特大の長剣を携えたレイスが壁から通り抜けて来ていた。俺は咄嗟に二人を下がらせる。そして現世とアストラル界に身を置くと言われる、銀素材で出来た長剣を構える。

 そうして俺と剣を携えたレイスの間合いが重なる。風切り音を立て振るう俺の剣と、音もなく振られるレイスの剣が激突。が軽い。そう、簡単に弾き返していた。そこでガラ空きの胴に一撃を加えようとしたのだが——


 なっ、早い。


 咄嗟に剣を眼前に持ってきて防御の型になる。そのため助かった。レイスの特大の長剣は棒切れのように軽かったが、その代わりに同じく棒切れを素振りするかのように早い攻撃を連続して繰り出していた。その速度は一秒間に四回攻撃するほど。そしてその攻撃を十回ぐらい防御した辺りで、俺は堪らずバックステップを踏む。コイツはヤバイ。まともに相手をしていたらいつか一太刀入れられてしまう。


「二人とも、三階の安全部屋に逃げるぞ! 」


「「はい! 」」


 地面を滑るようにしてこちらへ近付いてくるレイスの足止めをするべく、俺は防御の型で再度剣を交える。その隙にルナが炎魔法を唱えて、氷漬けにしている扉を吹き飛ばした。

 そうして俺達三人は部屋から飛び出す。通路を出ると多くのゾンビとグールがいたが、俺がその全てを斬り倒していく。そして暫く走り——巻いたか!? そうして息を切らしながらも階段を駆け上がり、一つ上の階の五層に行き着くと——


「マジかよ」


 思わず言葉を漏らしてしまっていた。五層は大きな一部屋のフロアになっているのだが、そこにゾンビやグール、そして宙を舞うゴースト達に紛れて小さな民家程の大きさの化け物がいた。あれは巨大な蜘蛛なのか? 灰色に染まる蜘蛛のような胴体から血色の悪い人間の腕が左右に四本づつ生えており、同じくデカくて長い髪の腐れた人間の頭が付いていた。そして襲いかかってくるゾンビやグールと一緒になって、人面蜘蛛はドシドシとフロアを揺らしながらこちらに迫ってくる。


中級炎魔法(メギラ)! 」


 杖を振るうルナから放たれた炎の塊が、人面蜘蛛の顔面に迫る。しかし一番手前にある腕の一本に防がれ、代わりにその腕を燃やす事に。そして止まらない。燃える腕も使って人面蜘蛛は速度を緩めない。そして近付いてきた人面蜘蛛が炎に包まれた腕を振り上げ勢い良く——


 させるか!


 闘気を爆発的に増大させる。そして闘気を乗せた剣を高速で振る事により、斬撃の闘気を飛ばす。そうして炎に包まれた腕を斬り飛ばした。続けて返す刃で、迫ってきていたゾンビの頭を斬り飛ばす。


「死んでたまるか! 」


「ザインさん! 」


 そこでフォルテが再度俺の名を鬼気迫る声色で呼んだ。いやな予感がする。そして振り返ると、後方の階段からあの剣を携えたレイスがスーッと上ってきている所だった。

 くそが! 奥歯を噛み締める。全身の毛という毛を逆立て闘気を増大させる。


「二人とも屈め! 」


「「はい! 」」


 そして俺は横薙ぎに一回転して、力強い闘気の斬撃を全方位に向かって放つ。その斬撃に触れた多くのゾンビやグールが真っ二つになってバタバタと倒れていく中、人面蜘蛛は手前にあった腕を左右一本づつ斬り飛ばしただけに終わり、ゴーストとレイスに至っては無傷であった。


「化け物ども、俺は諦めが悪いぞ! 」


中級風魔法(クゼラ)! 」


 ルナから放たれた斬撃のような風魔法が人面蜘蛛の顔にビシッと傷をつけ怯ませる中、再度闘気を増大させ今度は足腰にその闘気を纏う。

 瞬時に動いて、あの人面蜘蛛の頭を跳ね飛ばしてやる!

 とそこで足を掴まれる。見ればゾンビの腕が、床から沢山生えていた。もしかしてここにゾンビが、生まれ落ちようとしているのか!?


神聖降臨陣(ホーリーオール)! 」


 そこで若い男の声と共に、強烈なキラキラ輝く光が辺りを包み込む。地面から這い出していたゾンビや宙を舞うゴースト達は黒霧へ変わる。そして人面蜘蛛は光に貫かれ霧散し、剣を携えたレイスも光に貫かれ包み込まれている所であった。

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