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神様が創りし地〜勇者パーティーの回復魔法師、転生しても回復魔法を極める!〜  作者: 立花 黒
亜人国家ハルシオン

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第88話、永眠

 あわわわっ。暗闇の中、襲い掛かってきたゾンビやグールで、街道を進む人々は大混乱です。逃げ惑う人や剣を抜いて戦う人、そしてパッカラに鞭を入れ強引に前進させようとする人もいます。

 アルドくん、こんな時リーヴェはどうしたら良いですか? そうです、先程教えて貰った氷の魔法を使ってみては? ……呪文の詠唱がわからないです! そこで耳元から柔らかな笛の音が聞こえてきます。

 ……そうです、落ち着いて戦うのです。 


「イリスさん! 」


「えぇ、みんなを守るです! 」


 リーヴェとイリスさんは荷馬車の後部を背にして、それぞれ武器を構えます。そしてリーヴェが矢を引き絞り走りくるゾンビに狙いを定める間に、イリスさんのアサルトライフルゼロワンカスタムが火を吹きます。まるで鉄扉を連続して叩くような、ダダダダァンと言うけたたましい音が鳴り響きます。そしてその音と共に火の玉が高速で連続して飛び出して、射線上のゾンビやグール達に小さな穴を穿ち倒していきます。

 リーヴェも負けじとエンチャント矢を放ちます。高速で飛来する矢は狙い通り一体のグールの頭を吹き飛ばし、血肉を撒き散らしました。そして矢は勢いそのまま、後方から駆けてきていたゾンビの胸元も大きく吹き飛ばし倒します。


 それから何本も矢を放ち、何体も倒していっているのですけど、モンスターは数が減らないどころか時間と共に増えていっています。

 額を伝う汗。そして浮き足立ちそうになる中、歯を食いしばります。


「イリスさん! 」


「えぇ、街道を進むのです! 」


 リーヴェ達と同じように街道を進み出した人達は、武器を手にした人達に守られながら北へ向かっていきます。

 それからリーヴェとイリスさんは走りながらだと攻撃がブレてしまうため、早歩きしながら狙いを定めて攻撃をする事に。そしてイリスさんのご両親は、倒れて動けないでいる人に肩を貸して荷馬車に乗せたりしながら進んでいきます。

 でも本当に、左の森から飛び出してくるモンスターの数が多すぎです。リーヴェとイリスさんも、自分達の近くの人達を助けるので手一杯です。だから手が届かない、遠くに見える多くの人達がモンスターに押し倒されたり囲まれたりして、命を落としていってしまっているのを見ているしか出来ません。


「なっ、なんなんですかコイツ!? 」


 イリスさんが魔銃で攻撃しながら叫びました。そこでイリスさんの攻撃の先を見てみると——熱気を纏った巨大な獣がいました。その獣は毛が一本も生えていない代わりに筋肉が盛り上がった四足歩行獣で、顔面には沢山の目が張り付いていて全長四メートルはありそうです。そして四足歩行獣はイリスさんの攻撃を嫌っているようで、反復横跳びをするみたいに素早く右に左に移動しながらこちらへ近付いて来ています。

 リッ、リーヴェも攻撃しないとです。弓を引き絞ります。イリスさんの攻撃が何発も当たっているのに、四足歩行獣は倒れません。リーヴェは狙いを定めどんどん集中していきます。四足歩行獣は火の玉を避けるため荷馬車に体当たりもしながらも横に飛び、そして徐々に近付いてくるとこちらへ向かって——

 そこで矢を放ちます。矢は飛びかかって来ていた四足歩行獣の大きく開けた口の中に飛び込んでいくと、身体を完全に貫き飛び出してきました。四足歩行獣はその矢で即死したようで、着地もままならず勢いそのままこちらへ突っ込んできました。そのため急いで横に飛んだのですけど——

 いたたたっ、足を捻って痛めてしまいました。


「リーヴェちゃん、大丈夫ですか? 」


「はっ、はい、少し捻ったみたいですけど、大丈夫です」


 攻撃する人が減ったら、ゾンビとグールの群れに飲み込まれてしまいます。だから我慢です。無理してでも今は戦うのです。そしてアルドくんに会ったときに、治して貰うのです。


「辛くなったら荷馬車に乗せて貰うのですよ」


「はいです」


 そして足を引き摺りながらも進んで行っていると——

 森方面から多くのゴーストが、木々の間からにゅるりと生えるようにして飛び出して来ました。そのあまりの量で、視界が青白くなるほど。そしてリーヴェ達の身体にも多くのゴースト達が通り過ぎていきます。


「うげっ、気持ち悪いのです」


 イリスさんはとても苦しそうです。でもリーヴェは、苦しくない? するとうちわ猫のアオグさんがリーヴェの頭の上に現れます。


「あっし達が沢山いるからですねぇ、守られているんすよ」


「そそ、そうなんですね。ありがとうございます」


「それよりリーヴェ様、面倒くせーのが近付いていやすね」


「えっ? 」


 そこで闇に包まれた街道に、底冷えしそうな悲鳴を薄く引き伸ばしたような声がこだまします。こっ、この声ってもしかして!?

 そうして森から冷気を纏いスッと姿を現したのは、ぼろぼろの黒いローブに身を包み、突き出すように飛び出た青白い腕で同じく青白い特大の長剣を握り込んでいる大柄なレイスでした。そこでレイスは近くにいる人達に向かって剣を横へ振ります。そして斬られた人達は——

 血が出る事はなく、でもバタバタと倒れていっています。

 そそ、そうです。確かアルドくんがレイスは生命力を吸い取るって言っていました! つまり斬られた人達は生命力を奪われたのですか!? 倒れた人の目はどこを見るでもなく固定されたままで、またその瞳には光彩がありません。もしかして死んでしまったのですか?

 そしてそのレイスの登場で蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う人々。

 レイスを倒さないとです! えっと、普通の矢ではダメージがないですから、ララ先生に教わった闇の矢(ダークアロー)を使わないとです。呪文を唱えて矢を番ると、狙いを定めます。そしてイリスさんがゾンビとグールを倒していってくれている間に、矢を射ります。矢はレイスの胸元に命中したのですが——

 穴が空きましたが、すぐに元通りに。きっ、効いていませんですか!? そこでレイスがこちらへ滑るように移動を開始します。

 ——こういう時は、アルドくんが言うには逃げる、だったですか? でも街の人達をこのままにしてリーヴェ達だけ逃げるのは、……駄目な気がします。アルドくんなら、これも縁です、と思い戦うはずです!

 リーヴェはそれから沢山矢を射ってその全てを命中させていくのですが、接近を許してしまって逃げるために足に力を入れたら激痛が走って——

レイスが横薙ぎに剣を振ろうと力を溜めます。


「リーヴェちゃん! 」


 そこで走る衝撃。リーヴェの身体が横へ押し出されます。イリスさんがレイスに向かって魔銃を乱射しながら、私に体当たりしたのです。そしてレイスの剣はそんなイリスさんの身体をスッと通過して——

 ドサリと受け身も取らずに倒れるイリスさん。うそ。イリスさんの瞳はレイスに斬られた他の人と同じように光彩を失っています。うそうそ。そしてイリスさんの心音は、完全に止まってしまっています。うそうそうそ!

 そしてレイスの剣がリーヴェに迫る中、……一瞬にして辺り一帯が氷の世界に閉じ込められてしまうのでした。

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