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神様が創りし地〜勇者パーティーの回復魔法師、転生しても回復魔法を極める!〜  作者: 立花 黒
亜人国家ハルシオン

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第78話、ゴースト討伐

 ◆



 亜人国家ハルシオン領記念すべき最初の街はラナである。そして街へ無事到着した私達祝福の風は、夕刻ではあったが冒険者ギルドが街の入り口にあったため一番に立ち寄っていた。


 そこでダンジョン沼地に埋没する墳墓(スワンプトゥーム)がハルシオン領内の丁度中央に位置する事と、ここから西へ徒歩で約一週間かかる事がわかった。因みにギルド職員さんから情報収集している間、依頼掲示板をリーヴェとエルに見て貰っている。


「どうだった? 」


 こちらへ戻ってきたリーヴェに尋ねてみる。


「街と街を行き来する護衛系の依頼は無かったです」


「そうか」


 残念に思っていると、エルが話しかけてくる。


「代わりにゴースト討伐の依頼と野草の採取同行依頼なら、結構ありましたよ」


「あぁ、今情報として聞いていたのだが、ダンジョンを囲う壁は通常のモンスターには有効だが、すり抜けてくるゴースト相手では機能していないらしいな」


「えっ、そしたらダンジョンから沢山外界に飛んで来ているのですか? 」


「あぁ、ただしゴーストは太陽の光が弱点だから、昼でも鬱蒼と生茂る暗い森とかに溜まっているらしい」


「そしたらそんな場所に行かなければ大丈夫ってわけか」


「それがエル、この国は街以外開けた場所はないようで、どこを行っても森があるそうだ」


「えー」


「という訳で、移動していたらゴーストに遭遇するからついでだ。討伐依頼をこなして行こうと思う」


 お金は必要だからな。


「……わかりました。まぁ、アルドさんがいれば百人力だからですね」


 という訳でゴースト討伐の依頼を複数受注した私達は、ひとまず宿屋を目指して歩いていた。もちろん行き交う人々は、エルフやドワーフ、そして獣人ばかりである。また人族は珍しいようで、たまに振り返って見られる事があった。


「この国って、お姉ちゃんやイリスさんの故郷だったりするんですか? 」


 エルはすれ違う亜人達をキョロキョロと見ながら言った。その問いかけにイリスが答える。


「親がずっとハルシオンのサクの街に住んでいて、私も幼い頃はずっとそこで過ごしていました」


「ここから近いのですか? 」


「ダンジョンへ向かう途中にあるので、立ち寄ってみるのも良いかもですね。昔のままなら、私の初代アトリエもあるので」


「それは楽しみですね」


 リーヴェはうんうん唸った後に話し始める。


「リーヴェはよくわからないですけど、小さい頃の記憶で深い森に住んでいたので、もしかしたらこの国が故郷なのかも知れないです」


 そこで私も会話に加わる。


「父親の手掛かりがわかれば良いな」


「はい! 」


「しかし食べ物屋が少ない、と言うか全然ないよな」


 先程から見て回っているのだが——

 市場のように多くの野菜や果物、そして獣の肉が並べられているが、食べ物屋は全く見かけない。そこで隣へスッと現れたレイゼルが口を開く。


「アルド様、この国の宿屋には台所が付いているらしく、皆さん食材を買ってきてはそこで調理をしているそうです」


 という訳でリーヴェとレイゼルに食材を選んで貰ったあと、宿屋をチェックインした。そしてレイゼルが言うようにたしかに部屋には台所が付いていたので、二人の美味しい手料理を頂く事に。

 また夜がふけた頃——

 私の部屋へ訪れたリーヴェとレイゼルにより、昨晩と同じ行為をされてから眠りにつくのであった。


 翌朝、ラナの街を出発した私達は深い森の中を走る街道を、ギルドから発行された地図を片手に進んでいる。そして暫く進んでいくと、地図に従って街道から外れて獣道を進んでいく。すると足元が薄っすらとした霧に包まれてきて、更に進んでいくとすっぽり頭まで霧に包まれていった。

 ウズの森ほど濃い霧ではないが、直射日光が遮られるくらいの霧である。そしてここら一帯が目的地の一つ、ゴーストが出没する地点Aだ。この地帯は地元民が野草を取りに来るそうなのだが、ゴーストに邪魔されて収穫量が減っているらしい。


「アルドさん、ゴーストって透明なんですよね? 」


「あぁ」


「そしたら襲われても、怪我しないんじゃないですか? 」


「確かに怪我はしないが、取り憑かれてしまう事はあるよ」


「えっ、取り憑かれたらどうなるのですか? 」


「気分が悪くなったり悲しい気持ちになったりするよ」


「それは嫌ですね。でもだから街に、除霊屋さんなんてのがあったんですね」


「あぁ、本当なら討伐した方が良いのだろうが、ゴーストは広範囲に分散しているらしいからな。また野草を採取している人の中には、採取中はゴーストに取り憑かれても無視している人も多くいるそうだ」


「ちなみにアルドさんが、神聖降臨陣(ホーリーオール)でゴーストを一網打尽にするんですよね? 」


「あぁ、その予定だ」


「もしかしてじゃないですけど、ボク達って囮とかになる訳ですか? 」


「エル、察しが良いじゃないか」


 と言う事で、四人には悪いがゴーストを誘き寄せるため散って貰った。ただしあまり私から離れすぎると迷子になってしまうため、リーヴェとエルとレイゼルは私が指示する声が聞こえる範囲で。イリスは例の瞳のエンチャントで私の位置がわかるそうで、かなり離れても大丈夫との事だ。因みに皆の身体と武器に聖魔法防御(プロテクション)を掛けているため、取り憑かれる事も無ければ攻撃を当てれば倒す事も出来るようになっている。イリスの魔銃だけは撃つのではなく殴るになるが。


 そこで悲鳴を薄く引き延ばしたような恨めしそうな声が、あちらこちらから聞こえてくる。

 みんな結構、引き連れてきているかな?


「アルドさん、早く、早く神聖降臨陣を撃って下さい! 早く! 」


 倒木をジャンプで飛び越えたエルが、鬼気迫る表情で走り寄ってきた。その背後には空中に青白い線を引きながら飛来してくる二体のゴーストが。


 うん、少ない。

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