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神様が創りし地〜勇者パーティーの回復魔法師、転生しても回復魔法を極める!〜  作者: 立花 黒
新メンバーはメカニック担当!?

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第52話、レッドドラゴン戦

 ◆ ◆ ◆



 あわわわっ、真横に巨大なレッドドラゴンが現れたです!

 そして地面すれすれを飛行していると思っていると、それに近づく陰が——


 あれは飛竜(ワイバーン)を倒したシグナさん!


 空中を蹴るようにして一気にレッドドラゴンへ接近。そして横薙ぎに一閃。堅そうな皮膚を持つレッドドラゴンの右眼に、深い傷をつけました。

 そのためレッドドラゴンは鋭く突き刺すような叫び声をあげながら、砂埃を上げて急上昇。上空へと駆け上がって行きます。


 あっ、あれだけ高く飛ばれると、通常の弓矢では攻撃出来ません。

 とそこでシグナさんが、空中を蹴りながらこちらの疾走する荷馬車の上に移動して来ました。どうやら、アルドくんの所に来たようです。


「よっ、アルド。さっきはやったな」


「えぇ、しかしレッドドラゴンが出てくるとは」


 二人は太陽のもと、上空を旋回しているレッドドラゴンを見上げながら話しています。


「あぁ、やばいのが出てきたな。しかしまさかアッガスの所にいるとは。レッドドラゴンに乗っているのは赤竜将軍ことリチャード=ガーターだ」


「あの積荷破壊(クラッシャー)ですか? 」


「そうだ、それにああも高く飛ばれたらウチの魔法使いも射程外、お手上げだ」


「シグナさん、飛竜を倒したときの戦法を使わないのですか? 」


「すまない、あれをやるには多くの魔力が必要なんだ」


 そこで魔銃を抱えたイリスさんが、御者台へ移動して来ました。キャラバン隊の遥か上空の後方から、追尾するように飛翔し出したレッドドラゴンを見上げます。


「アルル、私もあの距離だと当てれたとしても致命傷は無理そうです」


「そうか」


 とその時、レッドドラゴンの顎から、炎が溢れ出しているのが確認出来ました!

 アルドくん達もそれに気付いたようです。


「やばいな、あの距離からドラゴンブレスか」


 そこでアルドくんがエルちゃんに視線を向けます。


「エル、剣を貸してくれ」


「はっ、はい、どうぞ」


 エルちゃんから投げ渡された剣に、アルドくんが祝福を施します。そんなアルドくんにエルちゃんが詰め寄ります。


「そっ、それでどうするんですか? 」


「火の玉がこちらに飛んできたら、この剣で弾く」


「そんな事が出来るのですか!? 」


「メイスでならやった事があるんだけどな。……なあに、失敗しても私が火傷をするだけだ」


「ドラゴンブレスを弾くか」


 シグナさんが上空を見上げたまま言葉を落とし、口角を少し上げてから続けます。


「俺は魔具で生み出したような小さな炎なら、弾き返した事があるんだけどな。……やるしかないのか」


「シグナさん、成功率が上がるようその剣にも魔法を付与します」


「ありがたい」


 アルドくんの祝福を受けて、シグナさんの魔竜長剣が一瞬青白く発光します。


「それじゃアルド、ここは任せたぞ」


 シグナさんが手をグーにしてアルドくんに突き出します。それをアルドくんは、同じくグーにして拳と拳を合わせます。


「はい、生きてまた会いましょう」


 そうしてシグナさんは空中を蹴り、前方の荷馬車に飛び移っていきました。

 そこで空が発光します。レッドドラゴンからドラゴンブレスが吐かれたのです。黒煙の尾を引き、上空から落下してくる人間大の炎の塊。しかも次々と吐き出しています。そのためこの世の終わりのような光景が、眼前に広がっていきます。

 しかし高高度からの攻撃のため、その精度は低いようです。多くの火の玉は何も当たらず地表へ落ちて、炎を撒き散らしていきます。

 それでも運悪く荷馬車直撃コースを飛んでくる火の玉はあるわけで——


 今まさに直撃しそうな荷馬車の上に、ギリギリでシグナさんが降り立ちました。そして瞬時に動きます。魔竜長剣の竜鱗がある方で炎を受け止め、そこから鋭く剣を振り下ろします。そうする事によって、炎の塊を明後日の方向に弾き飛ばしました。

 やっ、やったです。

 でもドラゴンブレスの精度はドンドンと上がっていっているようで、今度は三台の荷馬車の上に炎が落下してきて——


「間に合いましたね」


 涼しい声が耳に届きました。その声を発したのは、リーヴェの肩に乗っているパラソル猫のスヴァンさん。

 そして落下してきた炎の塊はその全てが荷馬車に当たる直前——

 青白い半球状で半透明な薄い膜のようなものに、それぞれ阻まれ地面に落ちていきます。


 あっ、あれは?

 そう、半透明な膜の下にはそれぞれパラソルを広げる可愛らしい猫ちゃんの姿が。またその装いは真っ白な上着に黒のズボンのレディースタキシードを着こなしているため、かっこ良くもあります。


「リーヴェ様、吾輩の愛娘の四姉妹です」


 言われて肩のスヴァンさんを見てみると、スヴァンさんの身体に隠れるようにしてもう一匹の猫ちゃんが。レッドドラゴンの火の玉を弾いた猫ちゃん達より少し幼い猫ちゃんは、恥ずかしそうに顔を覗かせています。


「リーヴェ様、会えて嬉しいです。キャハッ」


 そこでうちわ猫のアオグさんとソヨカゼさんが、リーヴェの頭の上に飛び乗ってきました。


「リーヴェ様、次はあっし達の番ですぜ」


「でで、でも、あの距離だと倒せないと思います」


 レッドドラゴンは豆粒みたいに小さく見えてますし。


「大丈夫ですぜ、リーヴェ様。今回はあっしとソヨカゼのダブルうちわをしますから、単純に威力が二倍になりますぜ」


 あの時の二倍ですか!? そっ、それならアルドくんに聞いてみないとです。


「アッ、アルドくん! 」


「どうした、リーヴェ? 」


「うちわ猫のアオグさんとソヨカゼさんが、リーヴェに矢を射てって言っています。射っても良いですか? 」


「しかしあの距離では当たったとしても下手に怒らせるだけではないのか? 」


「大丈夫です、威力が二倍になっているそうです」


「二倍だと!? 猫がそう言っているのなら——」


 アルドくんが腕組みをします。その表情は真剣です。


「わかった。そしたらドラゴンの前足と前足の間、心臓を狙えるか? 」


「……心臓をですか」


 なんだかとても難しそうです。

 アルドくんのその言葉に狼狽えていると、アオグさんから声がかかります。


「なあに、今のリーヴェ様なら、あんな遠くに逃げているだけのドラゴンなんて屁でもないですぜ」


「わわっ、わかりました、頑張ってみます! 」


 そこで頭から飛び降りたアオグさんとソヨカゼさんが、うちわで風を送り始めます。

 私は矢を(つがえ)て弓を引き絞ると、呼吸を整え視野を広げたのちに上空のレッドドラゴンに集中します。そしてそこから更に集中を高めていって、心臓に狙いを合わせて——


 力強い音と共に矢を放ちます。


『ヒュウン』


 放たれた矢は前回より二倍以上早くて、空気を切り裂いて進んで行くのですけど、すぐ見えなくなって——


 そしてドシュッと大きな音が鳴りました。直撃したようです! よくよく見ると、狙った胸のあたりに大きな穴が空いています。そしてレッドドラゴンは重力に引かれて、キャラバン隊の後方に落下するのが見えました。

 そうして弓を犠牲にしてレッドドラゴンを倒したのですけど、それと同時にカザンさん達が盗賊の頭を討ち取ったそうで、盗賊たちは我先にと逃走を開始するのでした。

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