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99.急遽婚約式です

 アルフレッドとイリーナの婚約披露パーティーから二日後、急遽ミハイルとレイチェルの婚約式が行われることになった。


 今回はゲルグや犯罪組織の件に決着をつけることになっており、その決行日が定かではなかったことから婚約式は予定が組まれておらず、落ち着いてから行うことになっていた。


 だがガルドレア公爵をはじめとする二人の婚約を快く思っていない者達のことを考慮し、できれば建国祭前に行った方がいいだろうということで、神殿の予定を確認した上でこの日にねじ込んだのだ。


 ただ神殿の方はレイチェルがランメル王国を訪れているにも拘らず、何故婚約式の予定が入っていないのかと疑問に思い、万が一に備えて建国祭直前はいつ予定が入ってもいいように空きを作っていたので、こちらは特に問題がなかった。


 そしてフォレスト王家もランメル王家も、こういう事態になることを予測していなかった訳ではない。


 念の為ミハイルもレイチェルも、急遽婚約式が行われることになっても不備がないよう、しっかりと準備を整えていた。


 寧ろ予定より早く婚約式が行われることになり、二人とも大喜びしたほどだ。


 それは立ち会いをすることになっていたエドワードも同様で、当然彼も準備に抜かりはない。


 フォレスト国王にも遠距離通信の魔道具を使い、状況を説明した上でこの日に婚約式を行うことの了承を得ており、万全の態勢でこの日に臨んだ。


 立ち会いをしないリリアンナ達は、その時間は無事に婚約式が終わるよう、周囲に目を光らせ警戒していた。


 だが婚約式の情報を掴めなかったのかどうかは分からないが、ガルドレア公爵達が何かを仕掛けてくることはなかった。


 少々拍子抜けではあったが、何事もなく無事に婚約式を終えられたことに、誰もがホッと胸を撫で下ろしたのであった。


 その翌日、ガルドがフォレスト王国に移送されることになり、フランツとエレノアはこれに合わせて帰国した。


 それは当初からの予定であり、二人は建国祭には出席せず、ガルドの移送を担当することになっていたからだ。


 ガルドのランメル王国からフォレスト王国への移送は秘密裏に行われることになっており、馬車も罪人を移送する為の専用のものではなく、通常の馬車が使用されることになっている。


 ただその馬車には幻影魔法を付与した魔道具が使われており、中を窺い見ることは一切できない。


 そしてガルド自身は魔法により眠らされた状態で移送されることになっており、その上で別の馬車ではあるがフランツとエレノアが不測の事態に備え、それに同行することになっていた。


 当然そこにはガルドの身柄を引き受けにきたレナードも馬で並走しており、時折魔法を行使して馬車の中のガルドの様子を確認している。


 一見オルフェウス侯爵夫妻の帰国に見せ掛けたそれは、国境検問所を通過し、その近くにある転移魔法陣で王都郊外に転移するところまで続いた。


 そこには既にガルドを移送する為の騎士達が待ち構えており、オルフェウス侯爵家の馬車とはここで別行動になる。


 レナードは騎士達とガルドを乗せた馬車を騎士団に連行し、フランツとエレノアは国王への報告の為にそのまま王宮に登城した。


 ガルドはこの後、フォレスト王国の騎士団で魔法省の研究員立ち会いのもと取り調べを受け、それから魔法省へその身柄を移されることになっている。


 アンナとの再会は直ぐそこまで迫っており、ある意味これからが本当の苦難の日々であると思い知ることになるとは、流石にガルドも予想していなかった。


 正確には、そこまで酷いことになるとは思いも寄らなかったと言うべきかもしれないが。


 更にリリアンナとエドワード、そしてミレーヌの恐ろしさをその身で体験することになるのは、こちらこそ本当に予想外だったに違いない。


 これからのガルドに待っているのは、そんな日々だった。


 一方ランメル王国では、ミハイルとレイチェルの婚約式が行われた翌日に、ガルドレア公爵が漸くその情報を掴んでいた。


 これは、公爵家としては情報を掴むのが遅いと言わざるを得ないだろう。


 それは、ランメル王家の暗部の妨害があったとしてもだ。


 婚約式前ならばどうにかなると考えていたガルドレア公爵は、してやられたと激昂し歯軋りをしていた。


 だがそれで諦めた訳ではない。


 直ぐ様次の手を考え、協力者達に働きかけていた。


 そしてその標的には、レイチェルだけでなくリリアンナも含まれている。


 レイチェルを排除し、リリアンナを手に入れるつもりでいるのだ。


 ただランメル王家やリリアンナ達は直ぐにその情報を掴んでいた。


 こちらも当然、逆の意味でランメル王家の暗部の働きによるものである。


 リリアンナ達は直ぐ様それの対策を考え、それぞれに動き始めた。


 彼らが仕掛けてくるであろう建国祭で全てを片付ける為に、着々と準備を進めていたのであった。

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