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告白

 四人はマンションの近所にある夜の公園にいた。


「こうやって四人で集まって話すのも久々だよな。しかし珍しいな桜が俺たちを呼び出すなんて」最後にやって来た章が口火を切った。


「うん。どうせ記憶を消しちゃうんだから黙って去ろうかとも思ったんだけど、なんとなく最後にみんなに話しておきたかったんだよね」そう言った桜の言葉に他の三人はポカンとしている。


「何々記憶を消すとか?らしくないな。なんか変な本でも読んだのかな?」環奈はちょっと心配そうな顔をして桜の方を見た。


「あ、今度の文化祭の関係かなんか?」雄大が聞いた。


「そういう話ならよかったんだけどね。ちょっと長くなるけど聞いてくれるかな?」

 桜の言葉に三人は頷く。


「信じられないと思うけど、私人間じゃないの…」

 それを聞いて何かを言おうとした環奈を章が制止した。


「ヒューマノイドっていうのかな?人間の形に作られた機械なの」


「それは流石に無理があるよね。今の技術でそんなことできるわけないだろう?」たまらず雄大が笑いながらそう言ったが、桜は表情を変えないで続けた。

「うん、現代の技術じゃないの。私は未来からこの時代にやってきたの」


「なんだよそれ、俺達このマンションで小学生の頃からずっと一緒に育ってきたじゃないか?そのヒューマノイドとやらは生き物みたいに成長するのか?」章が言った。


「ゴメン、そこは記憶を書き換えさせてもらったの。私があなた達と過ごしたのは二年位の間だけなんだ」


「信じたわけじゃないけど、じゃあなんでそんな事をする必要があるわけ?」環奈が聞く。


「あなた達三人は将来物凄いAIを創り出すの。それが飛躍的に科学を発展させて、遂にはシンギュラリティ…技術的特異点を迎えるんです。人間の知能を超えたコンピューターの自己進化は凄まじくて、科学技術も向上してこうやってヒューマノイドを作れば時間跳躍も可能になったんです」


「…それはここに来た説明にはなってないよね?」環奈が再び聞く。


 桜は環奈の方を見ながら話す。

「環奈が作ったAIは画期的だったの、私はそのAIを共に生み出した三人の大ファンで、どうしても一緒に過ごしてみたくなったの。どうやったらあのアイデアに辿り着けるのかもとても興味があって…」


「だからってそんな…」雄大は言葉に詰まってしまった。


「そのアイデアっていうのは何?」環奈が聞く。


「それまでのAIはただ機械的に情報を学習し続けるだけだったんだけど、環奈はそこに『偏り』というアルゴリズムを加えたの。自分が興味を持ったことに対してはとことん研究、追及していくっていう感じかな。それがAIをより人間らしい存在に進化させたんです」三人はそれぞれがちょっと思い当たるところもあって黙ってしまった。


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