表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

雄大と桜

 翌朝も部活の朝練があるので雄大は朝の6時半には家を出た。そうして珍しくこれから登校する桜と出くわした。


「おはよう。珍しいねこんなに早く?」特にいつもと変わらずに雄大は桜に声をかける。


「うん、おはよう」普通に挨拶を返してくれる桜に対して、昨日の事もあって雄大は少し後ろめたさを感じていた。


「ちょっとね文化祭の準備があるんだ。田辺君はいっつもこんなに早いんだよね」ニッコリと微笑む桜を見て、後ろめたさはどこかに飛んで行ってしまった。どうして中学生の頃はこの気持ちに気が付かなかったんだろうか?中学のうちに告白なりをしておけば、同じ高校に通うという可能性もあったかもしれない。


 昨晩あれから、章の行動を環奈に言うべきかどうかを少しだけ考えた。結論はすぐに出た。自分があの屋上に行って桜の部屋を見ようとしていたことを、彼女に知られるなんて事はあってはいけない。章と環奈は好き同士なのにすれ違っているだけだから、特に問題という程の問題ではないだろう。まかり間違って将来同棲や結婚という事にでもなれば、プライバシーも何もあったもんじゃない。でもやっぱり良くないような気もしていた。


「どうしたの?なんか悩み事でもあるの?」桜は雄大の心の内など全く分からない様子で、屈託のない笑顔で彼に問いかける。


 雄大は平静を装って答える。

「何?俺そんなに悩んでいるような顔してる?そういえばさ、章と環奈って高校に入って付き合ってるのかと思ってたけど、違うみたいだな」咄嗟に出た言葉だったが、結構昨日の出来事の影響を引きずっている気がし無くもない。


「ああ、それは付き合ってるって言うのとはちょっと違うみたいだね。早くくっついちゃえばいいのにね」そう言って桜はくすくすと笑う。その笑顔があまりに魅力的過ぎて雄大は一瞬見とれてしまったが、すぐに気を取り直して、

「じゃ、俺部活の朝練遅れちゃうからもう行くね」と言ってその場を後にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ