作戦会議
現在デデンの街の冒険者ギルドでは緊急クエストの発令中であり、ニラダ達もその緊急クエストについての説明を受付嬢より受けていた。
「では現在発令中の緊急クエストについて説明させていただきます。現在発令中の緊急クエストは『潜む盗賊団』です」
「それはやはり最近冒険者から魔石やその他の金品を盗んでいる盗賊団に関してですか?」
「ええ、事態を重く見た当ギルドは緊急クエストにあたると判断し、ここに発令する事になりました」
「確か緊急クエストは国家から補助金が出てその分が報酬に上乗せされるはずです。国もこの事態を重く見たという事ですか?」
緊急クエストはギルドのみの判断ではなく、国家も事態が重いと判断する事で承認され、補助金が出る事で報酬も上乗せされるのだ。難易度こそ高い事が多いが、冒険者にとっては通常のクエストでは得られない報酬を得る機会でもあるのだ。
「私の方からはそちらの説明はできかねますが、解決の貢献度に応じて報酬が分配されます」
「つまりクエスト参加を希望し、何かしら貢献をすればわずかでも報酬はもらえるわけですね」
「ですがクエスト中これといった貢献がないと判断されれば報酬は渡しかねますのであらかじめご了承ください」
それからニラダ達は受付嬢の説明を受けた。緊急クエストは冒険者が力を合わせる事も前提にある為、他のパーティーといさかいを起こせば問答無用で両者ともにクエストの参加からは外される。それから現在分かっている盗賊団の動きも聞いたのだ。
「説明は以上になります、ご健闘を期待します」
受付嬢の説明を聞き終えたニラダ達はとりあえずギルドを出て、近くの食事処まで移動し、そこで自分達の動く方針についての話し合いをすることとした。
「あれからも数件、冒険者が狙われて魔石を奪われているという情報があるが、肝心の奴らの人数や特徴が今一つ分かりにくいな」
「冒険者を狙うのは主に魔石が目的っていうけど、お金以外になにかあるのかな?」
「盗賊団は金品が狙いだろうが、そいつらが魔石を売っている連中は魔石自体を何かに利用しようとしているかもしれないな」
「その何かって?」
ミヨモはニラダに対し疑問を投げかけるが、それについてティアが自分の考えを話す。
「盗賊団を捕まえてその裏を探るのもギルドや国家の目的だとは思うわ。とりあえず私達はその盗賊団を捕まえる事を考えましょう」
「ティアの言う通りだ、だが問題はどうやって……」
次の瞬間ニラダは何かをひらめき、その内容をミヨモ達に告げる。
「そうだ!盗賊の事は盗賊に聞けばいいんだ」
「え?」
ニラダの謎の言葉に戸惑うミヨモ達だが、ニラダの真意とは?